石破政権についての心配事 (2)政権はマスメディアに振り回されず、日本経済を再生できるのか?(IMF報道官発言記事の不適切性について)
前回記事で下記の朝日新聞DIGITAL記事を紹介しました。私自身、この記事に大変驚きましたし、同じように驚かれた方が少なくなかっただろうと思っています。「何で、IMFが独立国(日本)の金融政策に干渉、あるいは指図するような発言をするのか?」という疑問です。
このことがどうしても納得がいかず、IMFサイトを参照し、事実を確認しましたので共有します。結論から言うと「朝日新聞DIGITALの記事が不適切」ということです。
***<前回記事からの抜粋>***
<朝日新聞DIGITALからの引用>
国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は3日、「日本銀行は政策金利を徐々に引き上げるべきだ」と発言した。
・・・・・中略・・・・・
コザック氏の発言は、政治は金融政策に介入すべきでないとする「中央銀行の独立性」の原則を踏まえたものだ。
***<前回記事からの抜粋>***
朝日新聞DIGITALが伝えていること
改めて問題の「朝日新聞DIGITAL」記事が伝えていること要旨をまとめす。私の主観が入りこまないよう、chatGPTに書いてもらいました。下記のとおりです。
◇ 国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は、日本銀行は政策金利を徐々に引き上げるべきだと発言。
◇ コザック氏は、日本銀行は経済指標を重視したアプローチを続けるべきだと強調。
◇ 石破茂首相は、追加の利上げをする環境にはないとの個人的見解を示した。
◇ コザック氏の発言は、政治が金融政策に介入すべきではないという「中央銀行の独立性」の原則に基づくもの。
つまり、
「石破茂首相が日銀総裁との会談時、『個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは思っていない』と述べたことをもって、IMFが「中央銀行の独立性」の原則に反するものと問題視した。」
と伝える記事内容になっています。こんな記事を読めば「何でIMFが独立国(日本)の金融政策に干渉、あるいは指図するような発言をするのか?」と言う感想を持つのはごく自然ですよね。
IMF公式サイトの原文を読んでわかる事実
IMF公式サイトでこの時のやり取りが記録(動画とテキスト)されています。日本人と思われる質問者(ジャーナリスト、新聞記者?)がIMFのコザック報道官に意見を求め、報道官がコメントする流れです。
この時点で「え?」と感じませんか?「朝日新聞DIGITAL」記事からは「質問者」の存在は見えてきません。IMF報道官が独自に石破首相の発言情報を入手し、自発的に、石破首相の言動を批判しているように見えます。
しかし、これは全て「朝日新聞DIGITAL」の作文です。
実際のやり取りは、下記のもの(和訳文)です。記事下方に原文(英文)も記載します。
いかがでしょう?IMF報道官は石破首相や言動には一切触れてません。日銀が行うべきことを述べているだけです。従って、朝日新聞DIGITALが指摘するような「IMF報道官による石破首相発言への批判」は事実として起きていません。
そもそもIMF報道官は石破首相の発言詳細について情報を持っていないでしょうし、興味も示していません。
「IMF報道官による石破首相発言への批判」は、朝日新聞記者の妄想世界で起きたことと推測されますが、そのような妄想を公の記事として人々の目に晒すのは大問題ですね!
マスメディアは時々ウソをつく
私自身、10代、20代のころは分からないことだらけで、朝日新聞様、NHK様、TBS様等のマスメディア各社から、有難いことに情報、知識を伝授され、次第に世の中への理解を深めてゆきました。
しかし、より大人になるにつれ、自分が得意とする専門分野を構築し始めると、マスメディアからの情報が、時折、腹落ちしなくなります。
そんな経験をすると「新聞記者・ジャーナリストと呼ばれる人たちは、必ずしも確かな専門知識を持たずに記事を書いてるんだな。広範な分野の記事を書かなければならないのだから、やむを得ないのかな?」などと思うようになります。
単なる間違いや不正確さを記事の中に見つけている分には、そんな「やむを得ないのか」と言った穏やかな不満で収まるのですが、今回のように明らかに「誰かを批判する記事」である場合、その「不正確な記事」が「批判を意図して」作られていることが透けて見えてきます。
そもそも、マスメディアのビジネスは「人の関心を集める」が出発点になります。「人の関心を集める」ために「誰かを批判する」「誰かを悪者に仕立て上げる」ことが、しばしば行われます。
そもそも質問がおかしい
上のIMF報道官への問いかけとIMF報道官のコメントを再掲します。
質問者の質問中「石破新首相は先日、日銀の利上げについて警告しました。」は、続く文章「現在の状況、特に連邦準備制度理事会が金融緩和政策を開始したことを考えると、日銀は段階的な正常化政策を堅持すべきでしょうか。この点について、あなたの見解をお聞かせください。」
とは、全く繋がっていません。つまり、「石破新首相は先日、日銀の利上げについて警告しました。」は完全に不要な文章です。
そのためかIMF報道官も石破発言には全く触れずにコメントしています。しかし、朝日新聞DIGITAL記者の脳内で、このやり取りが「IMFによる石破批判」であるかのように再構成されたようです(笑)。
なぜこのような不自然な質問になったのか、また質問者が朝日新聞DIGITALの記者なのかは不明です。ちなみに、この記事の情報元はIMF公式サイトですので記事の下方にURLを共有します。IMF公式サイトには、上記和訳文の原文(英語)や質問者とIMF報道官が実際に質疑している模様が動画として掲載されていますので、ご興味があればご参照ください。質疑内容の文字起こしも掲載されています。
動画を見ますと、質問者はその風貌や、日本語なまりの英語から推測して日本人ジャーナリストと思われますが、朝日新聞DIGITALの記者なのかは不明です。
日本のトピック以外もカバーされていますが、「New Prime Minister Ishiba cautioned」ではじまり、「So, in sum, the BOJ should continue to be data driven in its approach. 」で終わるパートですので、文字検索していただければ、該当部分が見つけやすいかと思います。
また動画の位置は動画全体が10とすると前から2くらいの位置です。つまり、かなり早い時間帯です。
英語原文と情報元
最後に上記の和訳の元になった原文(英語)と情報元であるIMF公式サイトのURLを共有します。
英語原文
情報元(IMF公式サイト)
情報元へのリンクを共有します。リンク先には、対話の動画とその文字起こしが提供されています。
上記の通り、本記事で触れているパートは、「New Prime Minister Ishiba cautioned」ではじまり、「So, in sum, the BOJ should continue to be data driven in its approach. 」で終わるパートですので、文字検索していただければ、該当部分が見つけやすいかと思います。
ちなみに、質問者は2つの質問をしていますが、2つ目の質問と回答は朝日新聞DIGITAL記事でも触れられていませんので、本記事でも触れていません。
補足:
◇ イラストはDALL-E(chat-GPT)を利用し作成しています。
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