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04 音を描こう 物語を奏でよう 2019

今回は「聴覚」がテーマなので、作曲家でピアニストの石垣絢子さんにお願いして、八重山の民話に子どもたちが持ち寄った鳴り物で音を作り、朗読に合わせて演奏するという内容でした。

石垣 絢子(作曲家・ピアニスト)

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石垣島出身の祖父母をルーツに持つ 北海道札幌市出身の道産子。4歳か らピアノ、6歳から作曲を始める。

東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、 同大学院修了。近年は合唱曲や朗読 付随音楽、写真コラボなど言葉や映 像に関わる作品を数多く作曲してい る。

また、プロオーケストラの編曲担当や音楽家への楽曲提供のほか子供 のピアノ指導も積極的に行っている。youtubeで自身の演奏によるオ リジナル曲やアレンジ曲を配信中。

八重山の木の由来

八重山にはたくさんの民話があります。その中から「八重山の木の由来」という民話を取り上げ、ここに登場するたくさんの「」の気持ちになって、それを一人一人が音で表現しながら、物語全体を奏でようというワークショップでした。

 みんなが面白いあるいはきれいだなと思う「音」がする物を持ち寄り、それがどんな「」の特徴を表現するか考えながら、イメージに合う音を演奏するという内容でした。ビーチのサンゴのかけらや砂、植物、生活用具、さらに八重山を代表する楽器など様々なものが持ち込まれました。

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 民話に登場する「」は八重山や沖縄を代表する樹木などで、一度は見たことがある身近な植物です。その木の心情や情景をどのような音でどのように表現したら良いか自由な発想で想像し、朗読と絵に合わせて即興で作品を創りました。

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おきなわのみんわ
やえやまのきのゆらい
02
むかしむかし、
かみさまがやえやまの
しまじまをつくったとき、
しまにはいっぽんもきがなく、
いわばかりでした。
そこでかみさまは、
やえやまのしまを
みどりのしまにしようと
きぎをよびよせました。
03
かみさまのもとに、
さいしょにやってきたのは
「フクギ」でした。
04
つぎに「マツ」。
05
そのつぎに「クワ」が
やってきました。
06
それから「タケ」。
07
「クバ」。
08
「アダン」がやってきました。
09
しまにやってきたきぎは
それぞれいいばしょにすもうと
けんかをはじめました。
これをみたかみさまは、
あわててけんかをやめさせて
きぎをあつめました。
10
いちばんさきにやってきた「フクギ」には、
「おまえはにんげんのやしきのまわりにならんではえ、
にんげんのいえをたいふうやかじからまもりなさい。」
といいました。
11
にばんめにやってきた「マツ」には、
「おまえはうつくしいのでむらをとりかこんで
びょうまやあくりょうからむらをまもりなさい。」
といいました。
12
さんばんめにきた「クワ」には、
「おまえのはっぱは、やわらかくて
おおかぜがふけばすぐにおちるが、
またはっぱもみもでるようにするから、
やしきのなかやはたけにはえて
にんげんやことりをたすけなさい。」
とかみさまはいいました。
13
すこしおくれてきた
「タケ」と「クバ」と「アダン」には
こういいました。
「タケはてんからふってきたあまみずを
すこしずつしたにおろし、ねをよこにはって
おおあめでもやまくずれしないように
じしんのときにじわれをしないようにしなさい。
にんげんのために、まきのかわりになり、
たけざお、ざる、かごになるために
しそんをたくさんふやしなさい。」
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「クバ」は
「そのおおきなひろいはっぱで、
うちわ、つるべになってよのためにつくしなさい。」
15
「アダン」は「かいがんがおおなみに
けずられないようにしまをまもりなさい。
そのかわりうしやうまにくわれないように、
とげをつけてやろう。」
とそれぞれのやくめをきめてやりました。
16
かみさまがあつまったき、みんなに
ようやくやくわりをきめてほっとしていると、
おくれてきた「ソテツ」が
「わたしはどこにすめばいいのでしょうか。」
とたずねました。
17
かみさまは、
「おまえはおくれてきたから
いわだらけのとちでがまんしなさい。
それからしまがききんになったときには
からだをなげだしてにんげんをすくいなさい。」
とめいれいしました。
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かみさまは、こんどこそみんなに
やくめをきめてやったからかえろうとしました。
するとそこに「アコウ」と「ガジマル」がやってきて、
かみさまにおそるおそるききました。
「わたしたちはどこにすんだらいいのでしょうか。」
おこったかみさまは、
「おまえたちはかってにいしでもだいていろ。」
といってかえっていきました。
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「アコウ」と「ガジマル」が
かいがんなどでいしにだきついているのは、
かみさまのよびかけに
おおはばにおくれてしまったからだそうです。
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こうしてやえやまはみどりのしまになりました。
おしまい。

 自分が担当する「」に音をつけたらグループごとに練習をして一つの作品に仕上げ、その後発表会を行います。

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みんなで演奏

発表会の様子は、Youtubeに動画として投稿してあります。

https://youtu.be/J0V0WkIAAQU

最後に今回のアーティストの石垣絢子さんが「八重山の木の由来」という同じテーマで作曲しピアノで演奏してくださり、ワークショップを終えました。

聴覚ポスター


東京と石垣島との2拠点居住を始めて20年になります。それぞれの土地と情報との中で人生を豊かにする暮らし方「スマートライフ」を実現しようと試行錯誤しています。それぞれの場所で日常の中に見つけた「暮らし」を発信しようと思います。