『田舎から始まる表現規制』
※この論考およびその筆者は、現実の児童に対する虐待をいかなる場合にも肯定するものではありません。
鳥取県が募集するパブリックコメントが話題となっている。
その対象となる青少年条例改正について、私が最初に認知したのはこの記事であった。
一見して疑問の多い「改正案」である。
ちなみにXで言われているのは、すでに日本法(国法)上存在する「児童ポルノ」という用語を異なった定義で二重使用することの問題であり、誤解や混乱を招くというものである。
まず、子供に対して自身の裸の写真など性的な画像を要求する行為――これならば、子供たちはそうした要求を上手くかわしたり断ったりするスキルが乏しく、考え無しに送ってしやすいかもしれないから……と理屈が立つかもしれない。
しかし「顔」の画像となると入手は子供でも成人でも非常に容易で、フェイクで作られた自分の顔を、他人の(あるいはAI製の)体と合成されてポルノを作られ流通されれば迷惑を被ることについても、おとなもこどもも、おねーさんも同様なはずである。
成人と未成年で区別する必要のない規制を、なぜか青少年条例にだけ、つまり児童対象だけにぶち込もうとしているわけだ。
これは立法者側の「動機」に不純なものを見いだすのに十分な行動パターンである。
つまり、大人の問題であれば慎重な検討がなされ棄却されてしまいそうな何らかの欠陥のある規制を、児童保護の名のもとに作ろうとしている可能性が非常に高い。
この疑いが非常に強まっているのは、鳥取県がパブリックコメントの募集開始後も、条例改正案そのものを一切明示しないからだ。すなわち何に対する意見を募集しているのかを曖昧なままにして、「パブコメ募集をした」という既成事実のみを作ろうとしているのである。
そもそも、である。
小児性愛者にとって、顔を特定の実在児童にすることにこだわるのにどれほどの意味があるのだろうか、ここが非常に疑問である。小児性愛者にとって大事なのは、AIで作られた裸体の体つきが児童であることではないのか。
記事によれば「実在する子供の顔を使ったディープフェイクポルノ」を取り締まるというが、もともとAI画像そのものに、それが何を学習して作らせた画像かが記録されているわけではない。
であればこのような条例ができたとして、鳥取県内の小児性愛者は普通にランダム生成した「児童ポルノ」をAIに作らせるであろうし、実効性はほぼなくなってしまうであろう。
考えられる例外としては、その小児性愛者が特別にどこかの実在の児童に執着を抱いており、その子のポルノを顔写真から直接AIで作る(プロンプトなどを細かく調整してよく似た顔に作るのではなく)といったケースだ。
しかし顔写真を横目で見ながら「もう少し痩せて」「もっと目をぱっちり」と調整して新たな顔フェイクを作って実在児童に似せるといったAIも、技術的にいくらでも可能だし、おそらくとっくに存在しているだろう。
逆に、もしもこの条例に実効性を持たせるために「実在する児童に似ていたらどんな作り方をしようとAIポルノは有罪」などとしたら、冤罪の山ができてしまう。
いずれにせよ。
この条例案は「抜け穴がいくらでもある」か「完全に架空のポルノにいくらでも罪を吹っ掛けることができる」かのどちらかになるようにしか思えない。
ライター業、連絡はDMでどうぞ。匿名・別名義での依頼も相談に乗ります。 一般コラム・ブログ・映画等レビュー・特撮好き。