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『「いいね罪」わかるとイイネ!』2022-10-22
衆議院議員の杉田水脈氏と、伊藤詩織氏との高裁判決がツイッターを沸かせている。
杉田水脈氏が、伊藤詩織氏を侮辱する内容の投稿に「いいね」したという行為を高裁が「名誉感情を害する意図をもって」された「社会通念上許される限度を超えた名誉感情侵害」であるとし、不法行為を認定したのである(損害賠償額55万円)。
ネット上の侮辱や名誉毀損を巡る裁判は近年珍しくないが、この裁判が注目されたのは両当事者が有名人であるというだけではない。従来の裁判例ではツイッターの「いいね」は(特段の事情がないかぎり)違法にならないとされていた。
その判断が覆されたという事実はツイッターユーザーには衝撃的であり、「いいね罪」という言葉も広まった。
この「いいね罪」はキャンセルカルチャー、つまりいわゆるネットの魔女狩り的な行為を揶揄して少し前から使われていた言葉だった。
キャンセルの支持者たちが、炎上させたいネットユーザーが彼らの「敵対勢力」にいることを示すための証拠漁りとして、いいね欄を漁っている姿を言い表したものだ。
すでに彼らによって嫌われているユーザーに「いいね」していれば、そのいいねした人も悪人となる。敵の敵は味方ならぬ、敵の味方は敵というわけだ。それがいわゆる「左派」の思考回路だ。
呉座勇一氏が北村紗衣氏を批判したことによってキャンセルカルチャーの餌食となり失脚させられた事件では、特にこの行為が目立った。
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しかし今回は、民事裁判とはいえ「司法判断」として、本当に「いいね」に実質上の刑罰ともいえる、損害賠償責任を認めてしまったのである。民事の損害賠償であれ刑事の罰金であれ、当事者にしてみれば同じようなものだ(特に法学に触れたことのない人には区別すらあまりつかないだろう)。
特殊な例だからイイネ?
「いいね」が違法になるとなれば、我われのネットライフに重大な支障が生じる。批判を予期してか、伊藤詩織氏側の代理人弁護士は「火消し」に躍起なようだ。
代理人の佃克彦弁護士は「この判決が『いいね』が不法行為になったという先例として世の中に広まっていくのは本意ではない。特定の事例における判断で、人の悪口に『いいね』を押せば損害賠償と言っている判決ではない」と強調した。(略)一方であくまで今回は杉田議員と伊藤さんとの関係やこれまでの経緯に照らして「いいね」が違法と判断されたものであり、「特定の事例における特定の判断だと認識してもらいたい」と話した。
これを真に受けて「これは特殊例」「一般人には関係ない」「いいね罪なんてネットミーム」などと主張する向きもみられる。
しかし、それには筆者は賛同できない。
今回、杉田氏の行為を違法認定するために裁判所が認定した要素は極めて雑で、おそらく「特殊事情があるから杉田氏が例外的に違法認定された」というより、
「違法認定するため、杉田氏にたまたまあった事情を適当に並べ立てた」
という方が近いからだ。
なんで裁判官がそんなことをしたのかは分からない。
おそらく裁判官が、伊藤氏を「性被害に遭った世にもカワイソウな女性」とみて変な騎士道精神を発揮したものか、あるいは最初から左派系に思想的にシンパシーを持つ人だったのか、もしくはいいねされた中傷発言の中に裁判官自身の琴線に触れてしまったものがあったのか。
しかし、この「たまたまあるだけのどうでもいいことを、さも『ポイント』であるかのように後付けする」というのは多くの表現規制問題に共通するレトリックであるので、これを機に覚えておいてほしい。
どんなケースもそれぞれ違っており「他と違うところ」は探せば見つかるものだからだ。あとはそれを重大事であるかのように言葉を付け加えればいい。
さて、そうした「ポイント」は、手嶋海嶺さんのこちらのnoteに分かりやすくまとめられている。
地裁と高裁の変化をまとめると、こんな感じ。
・「いいね」では好意的・肯定的とは限らない→杉田議員は伊藤氏を自身のツイートで批判していた"背景"があるので、好意的・肯定的と受け取れる。
・25件の「いいね」は執拗とまではいえない→25件は執拗といえる。
・国会議員であることやフォロワー数の多さは関係がない→国会議員であること及びフォロワー数の多さは関係がある。
いや運のみかよ!! 裁判官さんの気分に依存しすぎるのだわ!?
ここで一つ注意を促しておきたい。
ここで手嶋氏がまとめている要素の多くは、単に伊藤詩織氏の名誉感情の侵害を「結果としてもたらした」だけの話ではなく、杉田水脈氏が名誉感情の侵害を「目的とした」と認定している根拠なのである。
それがどのようにおかしいか見ていこう。
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