人間の、とくに女性の肌について、その白さを維持または増進すること。またはそうされた状態の肌を指す。化粧品の広告や商品名に頻出する。
特に2020年のBLM暴動をきっかけに敵視されるようになった概念・擁護のひとつ。
日本では古来より女性の白い肌は魅力的な特徴と考えられてきた。「色の白いは七難隠す」という言葉があるほどである。
これは人種差別とは何の関係もない。日本人が黒人種というものを知るずっと前からそうであった。
おそらくは農民をはじめとする庶民階級の女性は、野外で労働をすることが多かったためが、身分の高い女性・裕福な女性はその必要がなかったために日焼けが少なかった。そのために白い肌は「お嬢様」「お姫様」の特徴としてあこがれの対象となったのだと考えられる。
2020年に海外の医薬品大手ジョンソン&ジョンソン社がアジアで販売されている一部の美白用化粧品を販売中止にした。
中止されたのはNeutrogenaブランド「Fine Fairness」(アジア・中東での販売)とClean&Clearブランド「Clear Fairness」というシミ消し用のクリームである。宣伝に”fairness*1 or white as better than youa own unique skin tone”(元の肌よりいっそう白く)という言葉が使われていた。
この当時、J-CASTニュースは日本の大手化粧品4社(資生堂・花王・コーセー・ポーラ)に、同様の動きがあるかと「美白」についての見解を問い合わせている(「美白」と人種問題、J&J一部「終売」で議論 国内メーカーはどう考える?大手4社に聞いた)。
このときに4社のなかで最も長々と「ポリコレアピール」的答えを返したのが花王である。
2021年3月、花王は「美白」という表記を、新商品発売やリニューアルなどのタイミングで順次消去すると発表した。
一年前のポリコレアピールを(BLM暴動を受けて)いわば実行に移したわけだが、ジョンソン&ジョンソン社と花王には大きな違いがある。ジョンソン&ジョンソンは一部とはいえ商品そのものを販売中止とした。しかし花王は「表記」をなくすのみであり、美白用の化粧品そのものをなくすのではない。
つまり花王は「白い肌が美しい」と考える人が落としてくれるお金による儲けを捨てるきはさらさらなく、ただ表記だけを取り繕おうとしているだけなのである。
冒頭で述べたように、美白化粧品の用途は必ずしも全身的な肌の漂白ではなく、シミやソバカスの予防・消去であることが多い。
そもそも肌の美しさを「平等」に称えたいなら、白い肌の美しさを強調する言葉を消去する必要はなく、黒や褐色の美しさを表現する言葉も用いれば済む話である。美黒とでも造語を作ってもいいし、「小麦色の肌」というような褐色肌に対する以前からの賛辞もすでにある。
黒や茶色の肌、あるいは黄色や赤い肌をたたえるのではなく、「白を称えるのを禁ずる」それも真にそういう気持ちを反省するのではなく言葉だけを隠し立てしようとする――「多様性」と全く反対の姿勢がここにある。
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