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【ワレリー・ゲルギエフ】

 ロシアのサンクトペテルブルグ音楽界を代表する世界的指揮者(1953~)。ヴァレリー・ゲルギエフとも表記する。
 ロシア連邦大統領ウラジミール・プーチン氏と親交が深く、2012年の大統領選に対してTVCMでプーチン氏の支持を呼び掛けたり、2014年のクリミア併合にも率先して支持を表明し、ロシア世論に影響を与えた。

 2022年2月からのロシアによるウクライナ侵攻に伴い、世界中の音楽界で彼の解任や公演の中止が相次いでいる。
 以下はその例。

2月23日
・ミラノ・スカラ座「スペードの女王」(指揮者)3月5日から交代。
2月24日
・翌日予定のカーネギーホールでのコンサートを降板、交代(併せて露ピアニストのデニス・マツーエフも交代)
2月28日
・フィルハーモニー・ド・パリがサンクトペテルブルク・マリインスキー劇場管弦楽団(4月予定)の公演中止。
・ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団(名誉指揮者)関係解消。
・スイス・ヴェルビエ音楽祭のフェスティバル・オーケストラ音楽監督辞任。 
3月1日
・ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(首席指揮官)解任。
3月2日
・バイエルン国立歌劇場総裁、彼と【アンナ・ネトレプコ】両氏との関係を断ち切ると発表。

 ゲルギエフ氏がウクライナ侵攻に積極的な支持を表明したわけではない。むしろ彼は沈黙を守っており、それこそがこれらキャンセルの理由になっている。

 ミュンヘン市のライター市長は「彼がロシアの支配者に対する非常に肯定的な評価を再考し、修正することを期待していたが、彼はそうしていない」「オーケストラや聴衆、市民、市政への明確な意思表示がなければ、一緒に活動を続けることはできなかっただろう。そうならなかった以上、残るは即刻の別れしかない」と発表した(朝日新聞)。

 ロシア国内での反政府的な抗議行動には重大なリスクがつきまとうことを忘れてはならない。西側の富裕層がキラキラした自分を求め、笑顔でデモに参加した後カフェで一服して安全に帰宅し、嬉々としてSNSにデモの画像をアップするのとは話が違うのだ。

 またゲルギエフ氏だけではなく、アーティストに対する「ロシア人であること」自体によるキャンセルも続発している。欧州放送連合加盟放送局によって開催される2022年の【ユーロビジョン・ソング・コンテスト】が、ロシア人の参加及び投票を拒否したのもその一例である。

参考リンク・資料:

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