『信じられるか?これ学者と絵描きなんだぜ。』2022-03-12
冷めやらぬどころか真っ只中のウクライナ危機のニュースに押され、今年の3月8日国際女性デーは、比較的ひっそりと迎えられた。
女性達の空気を読まずに馬鹿正直に「平等」を唱えてしまい、フェミニストに噛みつかれてしまったデニーズのツイートも、前年の【岩波書店 2021年国際女性デーのツイート】とまったく同じパターンである。
またフェミニスト労働組合なるものが企画していた「何の要求も無くただ男を困らせるためだけに有休をとって行う”ストライキ”」なるものも、ツッコミどころ満載ながら事前予告当時に散々いじられていたため飽きられ感が否めなかった。
そもそも表現の自由の擁護側にとっては、ロシアによる情報統制と、逆に西側によるロシア関連メディア・アーティスト等へのキャンセルという大きな事態が浮上していた。またフェミニスト達……というか彼らの母体である左派も、今までのお花畑な九条論や、かつての共産主義大国ロシアの擁護に大わらわだったのが実情だろう。
そんな中せめてもの存在感を示したのが、東京新聞が掲載した「フェミニストの炎上擁護」の対談である。対談者は小宮友根氏と「ふくろ」というイラストレーターだ。
実はこの両名、以前にも同じような主張をして『シンカ論』でも取り上げたことがある人物だ。2019年12月、いわゆる【宇崎ちゃん献血ポスター事件】の直後に書かれたものである。当時は小宮氏がもっぱら文章を書き、ふくろはそれに都合のいいイラストを提供していただけのようだったが、今回は「対談相手」に出世したようだ。
これには私や白饅頭こと御田寺圭氏によって、またツイッターでも散々なまでに突っ込まれている。
さて、小宮氏は前回つっこまれた課題に対し、どのような答えを準備したのだろうか?
結論から言うと、何も成長していなかったのだ。
安西先生も冷や汗をかき、妖魔司教ザボエラに説教されるべき状態である。
いや、むしろ劣化している。
今回も前回も「エロが問題ではない!性差別が問題なのだ!」という流れは変わっていない。
しかし前回はまだ、その性差別とは【性的対象化】と見つけたり!として、その性的対象化とはどういうものなのか、マーサ・ヌスバウムやキャサリン・マッキノン、アン・イートンら海外のフェミニストの著作を援用して説明を試みていた。
しかし肝心のフェミニスト達が、彼らの理論がまったく当てはまらない相手に無軌道な表現叩きを繰り返しているので、小宮氏が紹介した彼らの理論はむしろ表現の自由派による武器になってしまったのである。
残念ながら新しい対談で小宮氏がしたことは、マッキノンやヌスバウムに代わる新しい「性的対象化」の要件を打ち立てることでも、いやこの表現はマッキノンらの定義に当てはまっているのだと強弁することでもなかった。
それら「要件」の話をまったくスルーして、ただただ「性差別だから問題だ!」と宙に浮いた言葉を繰り返すだけになったのだ。
完全な劣化である。
それ以外にもこの対談はわずか1ページの短いものであるにもかかわらず、ツッコミどころの嵐である。
当たり前のことだが、強制性交だろうがなんだろうが犯罪の有罪無罪は証拠と法に基づいて決められるものであり「無罪なんて差別!」などと言えるものではない。
実際にフェミニストは2019年、「これ以上の無罪判決を許さない」とスローガンを掲げていた。ふくろ氏の発言はその流れを汲むものである。
いかにフェミニストというものが「公正な判断」というものに全く関心がないかが良く分かる事例である。
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