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【Superman: Son of Kal-El】
アメリカンコミック・ヒーローの代表格である「スーパーマン」のコミック版シリーズの一つ。2021年に開始され、2022年12月での終了が発表されている。
題意は『スーパーマン:カル=エルの息子』。
カル=エルとは、1978年に大ヒットした劇場版で世界的に知られるようになった初代スーパーマン(地球名クラーク・ケント)のクリプトン星人としての名前である。すなわちこの題名は本作の主人公がクラークの息子ジョン・ケントであるということを表している。
本作におけるスーパーマン(ジョン)は、社会運動・政治運動に関心を持ち気候変動陰謀論者などを敵とし、また環境保護デモにスーパーマンとしての姿で参加するなど「意識高い系」な方向性が付与されている。いわゆる"woke(ポリコレに目覚めた)”なスーパーマンである。
特に第5巻で、彼がバイセクシャルであるという設定がついたことはネットニュースで世界的に報じられ、賛否両論を呼んだ。
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しかしこの方向性は人気を獲得することができず、D.C.コミックスは2022年12月での終了を発表。
結果としてジョン・ケントの物語は新シリーズとして仕切り直されることとなった。
バイセクシュアルのLGBTスーパーマン、4月12日発売の10巻も圏外。
— サトリ🕹🎮叩かれてる連呼の表自マン (@satori_Lv35) May 4, 2022
1巻34位
2巻圏外
3巻圏外
4巻44位
5巻6位⇦カミングアウト
6巻42位
7巻圏外
8巻圏外
9巻圏外
10巻圏外⇦今ここ
結論、両性愛スーパーマンは売れなかった。もう追わなくていいよね。https://t.co/TB6gr4xs3x https://t.co/knNrw8wdqE
上記ツイートは各巻発売月の月刊ランキングをまとめたものだが、バイセクシャル設定がついた5巻が報道効果で一時的に6位に上り詰めたが、このとき買ってみた読者がまったく定着しなかったことが分かる。
お決まりのようにこうした「ポリコレ改悪」を施された作品の支持者は、批判者に対し差別主義者のレッテルを貼るものであるが、本作をめぐる議論でもこうした攻撃が盛んにおこなわれた。
それだけなら「いつものこと」であるが、本作ではポリコレ派の人々は本作の売上不振を事実と認めず「デマだ!」とまで叫んでいる。
他ならぬ本作原作者のトム・テイラー氏がその筆頭であり、彼は「デマだ!Amazonランキング1位だ!」と画像を貼り付けたものの、1時間ランキングから取った瞬間的な画像に過ぎず、月間の売上ペースは巷間語られている通りである。
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実際に調査会社Comichronによると、第1巻の売上は6万8800部であったが、4巻は3万7500部に急落し、16巻に至っては3万4000部にまで落ち込んだ(最終巻は18巻となる予定)。
もともとD.C.コミックスでは人気が『バットマン』に一極集中する傾向があったが、それでも他のスーパーマン・シリーズのコミック売り上げ部数は10万部程度で推移しており、残念ながらかなりの不人気作であったことがうかがえる。
ちなみに日本のアカウントでこの「売り上げ低迷はデマだというデマ」をプッシュしているのが「アメコミ通信社@amecomi_tsushin」というアカウント。
同アカウントは本作の売上が芳しくない状況を否定しようと、必死に火消しを繰り返している。
以前のアメコミ通信社のデマはもっと酷い。LGBTスーパーマンが売れていないというニュースを「まだ発売されていない」と言い張ってデマ扱いした、本当はLGBTスーパーマンは5号からでとっくに発売されて結果がランキング結果が出ていたのに、表紙をすげ替えて並べて見せて6号からだと誤認させた。 https://t.co/mXxeWuxphg pic.twitter.com/ZrJZPZPQDa
— サトリ🕹🎮叩かれてる連呼の表自マン (@satori_Lv35) October 15, 2022
ホモスーパーマン打ち切り騒動まとめ
— 無駄マン (@mudamudamudamen) October 15, 2022
「ホモカミングアウトで売上落ちた?それは5話でカミングアウト回は6話や!」 ←ホモカミングアウトは5話でした
「売れてるのに売れてないデマ流すな」←売上半分になる
「Amazonランキングで1位や ほれスクショ!」←瞬間ランキングでその後すぐに圏外 pic.twitter.com/rLNmult85M
また「元から低い売り上げだったのだから、ポリコレの罪ではないということ」という意見もある。
しかしバイセクシャル設定こそ5巻からだが、前述のとおり元々ポリコレ路線であった。「両性愛者になったら売れなくなった」という筋を微妙としたとしても、ポリコレそのものは常に本作の不人気と共にあったと言ってよいだろう。
残念ながら本作は【Get woke,go broke.】(ポリコレはコケる)の好例になってしまったというのが大方の見方である。
多くの作品でポリコレ化が非難されるのは、本来愛されている作品をポリコレ化し、その名声にただ乗りしようとする姿勢と、その結果として原作をの魅力を減じてしてしまうことである。
彼らは決して(本作の支持者たちがレッテルを貼るように)LGBT差別者が言い訳として作品のポリコレ化を批判しているのではない。
しかしこうした「ポリコレによる干渉」への反感が、もしもだんだんと拡大してLGBTの登場そのもの、ひいては現実にLGBTである人々への反感へと変化していくのであれば、それは極めて不幸なことである。
本作の場合、ゲイではなく両性愛者にすることで、過去作のジョンとの(イメージ的にはともかく)「明確な矛盾」を減らそうとした姿勢は、ある程度は評価されるべきではないだろうか。
新たに始まるシリーズの題名は”Adventures of Superman: Jon Kent”。別世界の複数のスーパーマンが登場する活劇重視の作品となる予定とのことである。
トム・テイラー氏とスーパーマンがその名誉を挽回せんことを、海の向こうより祈念するものである。
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参考リンク・資料:
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