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MECE(ミーシー)具体例と使い方:モレなくダブりなく分けるとは

ロジカルシンキング基本フレームワークの一つがMECE(ミーシー)です。日本語ではモレなくダブりなく。

MECEはシンプルな概念ですが、使いこなすには深い理解が必要です。本稿ではMECEの定義、使い方を具体例付きで解説します。

1.MECE(ミーシー)とは

MECE(ミーシー)は「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略です。「モレなく、ダブりなく」ともいいます。つまり、必要な要素を網羅しており、かつ重複がないようにする考え方です。

MECEを意識することで、全体像を正しく捉え、問題解決やコミュニケーションに活かすことができます。

MECEはダブりがない

ダブりの有無によるMECE具体例です。

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「男性と女性」という分け方はダブりがありません。MECEな分け方と言えます。

一方、「男性、女性、子供」という分け方はどうでしょう。子供には、男性の子供もいれば、女性の子供もいます。言い換えると「男性かつ子供」「女性かつ子供」があり得ます。ダブりありなので、MECEではありません。

MECEはモレがない

次にモレの有無によるMECEの具体例です。

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「20代、30代、40代、50代以上」。消費者向け商品企画では、ターゲット検討にこのような世代別分類がよく使われます。MECEの視点でみると、この分類方法では「20歳未満」が考慮されていません。モレありなので、MECEではありません。

MECEとは分け方の指針

「分けるはわかる」という言葉があります。物事を分類することは、対象を理解することと同義であるという意味です。ロジカルシンキングの本質の一つが「分けること」「構造化すること」です。

MECEは枠組み自体を示すものではありません。物事を分け、構造化するにはロジックツリーやピラミッドストラクチャーのようなツールを使います。

MECEはロジックツリー、ピラミッドストラクチャーなどのロジカルシンキングのツール使って分類するときの指針、考え方といえます。

2.MECE具体例

MECEとは何か。具体例で見てみましょう。

MECEとMECEでない分け方比較

MECEとMECEでない分け方の比較を示します。

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MECEな分け方具体例

MECEな分け方の具体例を示します。

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MECEでない分け方具体例

MECEでない分け方の具体例を示します。

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3.ロジックツリーとMECE

ロジックツリーはツール、MECEはツールを使うための指針と述べました。具体例を使って解説します。

MECEなロジックツリー具体例

消費者を「性別」「年齢」の2段階で分けたロジックツリーの例を示します

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ロジックツリーの1つ1つの階層をMECEにする

ロジックツリーでは、複数の階層で対象を分解していきます。例では、性別と年齢別の2階層で分類しています。

このとき、「1つ1つの階層を厳密にMECEにすること」がロジックツリー作成のポイントです。各階層が厳密にMECEであれば、どんどん深掘りして分解することができます。しかし、途中の階層でモレやダブりがあるまま、階層を深くしていくと大きなモレや大きなダブりにつながってきます。

ロジックツリーを使った構造化を高い精度で行うための指針がMECEです。

MECEでないロジックツリー具体例

MECEでないロジックツリーの具体例を示します。

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先ほどのロジックツリーと似ていますが、1階層目は大人と子供に分けています。一見MECEのように思えますが、大人と子供の境目は曖昧です。このような分解をすると2階層目で困るはずです。例えば、18才は大人でしょうか?子供でしょうか?また、そもそも大人と子供の境目は年齢でしょうか?精神の成熟度で分かれるかもしれません。

このようにロジックツリーを何階層か分解した具体例をみるとMECEの大切さがわかります。特に上位の分解がモレやダブりが多いとあとで苦労します。ロジックツリーは上流の分解ほど厳密なMECEにこだわるようにしましょう。

4.ピラミッドストラクチャーとMECE

ビラミッドストラクチャー作成ではMECE感が重要です。

ピラミッドストラクチャー具体例

「自社が自動車部品市場に参入すべきか」という論点に対するピラミッドストラクチャー例です。

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ピラミッドストラクチャーは「MECE感」が重要

ロジックツリーではMECEをできるだけ厳密に適用します。一方、ピラミッドストラクチャーではMECE感を意識するのがコツです。つまり、MECEに気を配りますが、多少のモレ、ダブりは許容することも必要です。

例えば、先のピラミッドストラクチャー具体例では、第1階層を市場、競合、自社の3Cで分類しています。3Cは全体像を掴みやすいフレームワークですが、分類に厳密性はありません。1つの情報が解釈次第で、市場と自社の両方に分類されることもあります。つまり、3Cは厳密にはMECEではありません。

ピラミッドストラクチャー作成の目的は、相手にわかりやすく納得感を持って伝えることです。厳密にMECEを追求すると伝えるべき要素がどんどん増えます。要素が多すぎると聞き手が説明意図を掴みにくくなります。

例えば、「自社は自動車市場に参入すべきです。理由は15個あります。」と伝えたら論理が正しかったとしても伝わりません。ピラミッドストラクチャーは、聴き手が「大体モレもダブりもなさそう」と思うMECE感を意識して作成します。

5.MECEなフレームワーク例

ロジックツリーやピラミッドストラクチャーで分けるための指針としてMECEを使うことをおすすめしました。

しかし、世の中には元々MECEを考慮して作成され、かつ比較的汎用に使えるフレームワークが存在します。MECEなビジネスフレームワーク具体例をいくつか紹介します。

MECEなフレームワーク例① PEST分析

PEST分析は、業界を取り巻くマクロ環境を網羅的に捉えるフレームワークです。PESTとは、Political(政治)、Economical(経済)、Technical(技術)、Social(社会)の頭文字をとったものでMECEに分かれています。

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MECEなフレームワーク例② 3C分析

3C分析とは、市場、競合、自社の視点で業界を網羅的に把握するフレームワークです。3Cは、Customer、Company、Competitorの頭文字を取ったものでMECEに分かれています。

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MECEなフレームワーク例③ 4P分析

4Pとは、Product、Price、Place、Promotionの頭文字をとったものです。製品、価格、流通、プロモーションがMECEに分かれています。行動計画・実現手段を整理するのに最適なマーケティングフレームワークです。

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(補足)フレームワークはMECEとは限らない

なお、フレームワークは厳密にはMECEとは限らないことを注意しましょう。

フレームワークとは、分析などのノウハウを汎用的に使える枠組みとしてシンプルにまとめたもの。厳密性より覚えやすいこと・使いやすいことを重視しています。

よって、フレームワークはMECEを意識して作られているが厳密にいうとモレやダブりがあります。ビジネス実務では、モレやダブりは運用しながら柔軟に対応することになります。

たとえば、3C分析において「顧客企業A社向け売上高」は、「自社」にも「顧客」にも分類可能です。このように同じ事実が見方次第で2つの枠に重複して入ることもあり得ます。


(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原 一司)

https://project-facilitator.com/mece/


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