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冬枯れの山にて

熊鈴を響かせて冬枯れの山を歩く

陽だまりの尾根道で汗を拭い

北斜面で寒風に煽られながら


頼れるのは己の小さな一歩だけ

降り積もった枯葉の下の細道を

靴底で確かめながら踏みしめる


人気ひとけのない山懐に身を沈めながら

しんしんと湧いてくる想いは

生き物としての人間のか弱さと

この一歩の先に明日があるという

ささやかでも力強い真実


山頂いただきを超えてふもとへと辿り着く頃

ぼくはまた少し未来に向かう

確かな自信を身につける


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