小麦粉を挽く
猛暑の太陽をいっぱいに浴びせ 小麦がしっかり乾燥できたので
新しくあつらえた電動粉挽機を動かして 初めての小麦粉を挽く
スイッチを入れ麦粒を上皿に注ぐと 上下一対の溝切石が回転し
ガリガリと大きな音を立てながら 白い粉を吐き出していく
電動でこそあるけれど 粉を挽く原理はまんま昔の石臼
そんな道具の不思議さに 幼子のように心を奪われていると
みるみるうちにサラサラと 降り積もっていく滑らかな粉
麦粒を播いて、発芽を喜んで、麦踏みをして、
追肥を施して、草丈を伸ばし、出穂を待って、
実が結び、実が太りだして、鳥避網を施して、
麦秋を迎えて、刈取りをして、梅雨を避けて、
天日に干して、脱穀をして、籾摺りをして、
麦粒を干して、しっかり乾かしてから、
石臼で挽いて、ようやく粉になる
手間暇をかけてようやくできた
吾家謹製の小麦粉がくれたのは
タイパやコスパでは測れない
自分史上 最上級の満足感