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ハタチのきみへ、ハタチのぼくへ

思えば、あの頃は少しでも早く大人になりたいと願っていた。

少しでも早く自分の足で立ち、

誰にも頼らず自分の力で稼ぎ、

自分ではない何者かになりたいと。


ふるさとの優しい人々の絆が

自分を縛りつける足枷にしか思えず、

誰も知らない大きな街で、

自由に自分の力を試したかった。

それまで歩んできた道のりの確かさよりも、

自分の前に広がる可能性の無限さを憧れた。


人生の道程の半ばを経過したいま、

過ごしてきた時間、選んできた分岐点に

決して後悔はないけれど、

あの日の自分に声をかけられるとするならば、

たった一言、伝えたい。

先を急がず、今この時を、この瞬間の出会いとふれあいを、

何ひとつ無駄と思わずに大切に、ていねいに生きなさい、と。


一日遅れの成人の日に思うこと。


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