HSPブームの功罪を問う
唐突だが、
頭痛がして病院へ行き、
医者から「原因不明」と
言われたらどうだろう?
気持ち的に
モヤモヤしないだろうか。
「片頭痛」など
名前がつくことで、
少しはホッとしないか。
*病名にもよりますが^^
・
では、生きにくさはどうだろう?
コロナ禍もあり、
未知の症状に
人々の不安は高まり、
私たちの生活は一変した。
またコロナ禍前から続く、
日本社会の閉塞感もある・・・。
なんとなく生きにくいが、
原因がわからない。
これでは、モヤモヤは続くばかりだ。
ただ、この原因が
HSP(繊細さん)だ
と言われたらどうだろう?
・
HSPとは、とっても
感受性が高い人のことを言い、
アメリカの心理学者エレイン・アーロンによって
HSP(highly senstive person)
と名付けられ、5人に一人がHSPと言われる。
つまり、生きにくさの原因は、
わたしが普通の人より
感受性が高いからで、
いろいろなことを感じてしまう、
だから生きにくいのだ。
生きづらさに
名前がつくことで
やっとホッできるのである。
そういう背景もあり、
広がっているのが、
今のHSPブームだ、という。
・
しかも、HSPは、
「繊細であるがゆえに、
人よりも物事の
良いところに気づき、
感動したり共感したりする
ことができる」という
ポジティブ面にも
スポットがあたる。
さらに、有名人がSNSで
自らHSPを公言する人も
いるので、受け入れやすさもある。
・
が、物事には表裏はある。
『HSPブームの功罪を問う
~繊細さんがもたらす危うい流行~』
(飯村周平著)では、
その功罪もしっかり述べている。
HSPは医学的ラベルではないため、
医師による検査や
診断の対象にはならない。
だから保険の効かない
自由診療で
治療行為を行なっている。
そもそもHSPかどうかを
診断する基準が存在しないのに、
それがまかり通る矛盾があると。
また、
HSP資格ビジネスだったり、
カルト団体だったり、
マルチ商法だったり、
消費のターゲットにも
されているという。
・
HSPブームをきっかけに
生きづらさから解放されるような
社会的風潮であれば、
それはそれでよい現象だという。
ただ、HSPの明確な基準がないのに
それをビジネスとする
弊害があることだけは、
認識しておきたい。
ちなみにここではHSPと「繊細さんの本」(武田友紀著)の繊細さんを
同義語としていますが、わかりやすくするためにそのようにしております。
本書『HSPブームの功罪を問う~繊細さんがもたらす危うい流行~』 (飯村周平著)は、とってもバランスよく、HSPの功の部分、そして罪も部分にメスを入れた本です。