有期労働者保護規定と上手に付き合っていくために

現行法上、有期雇用労働者を保護するための規制は多く存在し、例えば、①雇止め規制、②無期転換権、③同一労働同一賃金等である(引用したニュースは①②に関連するものである。)。また、再来年の4月1日施行(中小事業主はその翌年)の法改正により、パートタイム労働法の適用対象に有期雇用労働者が含まれることで、行政による監督の下、同一労働同一賃金に関するより多くの規制の遵守が求められることとなる。

政府の狙いは、有期雇用労働者の雇用と経済の安定にある。会社としては、長期間の更新や無期転換権の行使を認めることで、労働者が長く勤務してくれるというメリットもあるが、経営状態によっては労働者を削減する必要が生じることもあるため、全ての労働者を無期雇用又は実質無期とすることにはリスクがある。

そこで、上記の①②③についてきちんとフォローした上で、有期雇用労働者を雇用していくことが肝要である。

すなわち、有期雇用労働者には、一時雇用を前提とした人事制度の下、臨時的な業務や代替性の高い業務を、無期雇用労働者には、長期雇用を前提とした人事制度の下、事業の重要部分の業務を担ってもらうなど、無期雇用労働者と有期雇用労働者とで、業務内容、役割、責任等を明確に区別し、その上で、有期雇用労働者に対して、一時的な雇用であることや更新の上限があること等を明確に説明し、無期雇用でないことについてしっかり理解を得た上で、運用面においても無期雇用労働者と同じ扱いにならないように更新手続等を怠らないことが重要である。

なお、有期の中から優秀な人材を確保するという観点からは、有期から無期への登用制度の導入、制度の明確化についても検討するべきである。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34439080S8A820C1TCJ000/

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