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スモールビジネスの事業計画とライフプランニング

(1)はじめに

スモールビジネスを始める際、多くの人がビジネスとして成り立つかどうかに集中しがちです。つまり、「収支が合うビジネス」かどうかが重要なポイントです。しかし、スモールビジネスの特性として、事業と個人の生活が密接に関わり合うことが多く、単にビジネスの成功を追い求めるだけではなく、生活全体の安定も重要な要素です。

本記事では、スモールビジネスにおいて、以下の2つの要素を組み合わせて考える重要性について解説します。これにより、より現実的で持続可能なビジネスプランを立てることができると思います。

  • 個人のライフプランニング(生活収支)

  • ビジネスプランニング(事業収支)

(2)ライフプランとビジネスプランの融合

誤解を恐れずに端的にお伝えすると、スモールビジネスの特徴の一つは、個人と事業の一体化です。

【スモールビジネスの特徴】
事業と個人の生活が一体化しやすい

この"一体化"には、メリットもデメリットもあります。

■メリット:柔軟な事業経営が可能
事業と生活が一体化することで、個人のライフスタイルに合わせて柔軟に事業を運営できる点は大きな利点です。
例えば、家族の都合に合わせて働く時間を調整したり、自宅を事業の拠点とすることで固定費を抑えることも可能です。

【留意点】
経理を「事業」と「プライベート」に分ける必要があるなど、必ず守るべき要素がある点は、補足いたします。

■デメリット:ガバナンスの欠如
事業と生活が一体化すると、外部からのフィードバックが得られにくく、客観的な視点を欠くことがあります。特に自己管理が苦手な人は、仕事と生活の境界が曖昧になり、計画性のない事業運営やモチベーションの低下を招く可能性があります。
例えば、100%個人株主での事業であっても、銀行借入れを行い、定期的な決算報告を通じて銀行からの視点を得られることは、有効なガバナンスと言えます。

この点は、詳しくお話しすると長くなりそうですので、また別の記事で解説しましょう。

(3)合算収支計画を作成するメリット

ライフプランニングと事業プランニングを統合した合算計画を立てることで、個人の生活と事業の両方を見渡し、将来の見通しを立てやすくなります。このプロセスにより、次のようなメリットがあります。

  • キャッシュベースの総合的な検討
    生活費を考慮に入れずに事業収支だけを見ていると、いざ事業が軌道に乗り始めた場合でも、生活資金が足りなくなることがあります。
    合算計画をキャッシュベースで検討することで、生活費も考慮した現実的な計画を立てられます。

  • 家族の説得
    "起業"と聞くと、リスクを伴う行為のように聞こえ、一般的には家族の説得を得られずらいケースも多いでしょう。合算計画を作成することで、数値ベースで家計も考慮した検討が可能となります。家族を説得し、時に一緒に事業を含めた将来を考える手段ともなり得ます。

  • 将来の目標設定の明確化(長期視点での検討)
    合算計画を通じて、自分自身の将来に対する目標や、事業を続ける中でのライフイベント(子供の進学など)を考慮に入れた計画が立てやすくなります。これにより、長期的な視点で事業を育てていくことが可能となります。

(4)事業計画作成スキル

事業計画は、収支の見通しを立て、資金繰りの計画を立てるための重要なツールです。特に、収支計画に基づいて、どのように利益を上げ、どのくらいの期間でビジネスが収益化するかを明確にすることが重要です。

ライフプランと事業プランを統合した計画を作成することで、個人の生活と事業のバランスを保ちながら、持続可能なビジネスモデルを検討することができます。

(5)おわりに

スモールビジネスにおいて、個人の生活と事業を切り離して考えることは、難しいケースが多いです。だからこそ、ライフプランニングと事業プランニングを統合して計画を立てることが、ビジネスの成功と個人の幸せの両方を実現するための重要なステップとなります。

現実的で持続可能な事業を目指すために、合算計画を取り入れ、長期的な視点で事業を作り上げていきましょう。

■ライフプランの視点も組み込んだ、スモールビジネス向け事業計画書作成講座については、以下を参考にしてください。

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公認会計士・藤田崇紘
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