日常とスイーツと事件
11年越しに刊行された米澤穂信の小市民シリーズ「巴里マカロンの謎」
私が前作を読んだのは5~6年ほど前であり,それほどの時間が経過していたことに驚く。
登場人物である高校生の小鳩くんと小佐内さんは,「小市民」――平和な学生生活を送るという目的――を達成するため手を組んでいる友達とも恋人とも違う特別な関係。そんな彼らの前に現れる日常の謎を平和にかつ平穏に何事もなかったように過ごすため,彼らは活動しスイーツのように甘く青春のほろ苦さを味わっている。
今作は,過去雑誌で掲載された短編3作と書き下ろし1作であった。
今作は短編小説であるため,過去作のような青春のビターさというよりもスイーツ的な甘さが味わえる。小佐内さんの好奇心と小鳩くんの推理が相互に作用する。スイーツから始まる小さな冒険はきっと読者を楽しませてくれる。
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