富裕層向け会員制レストランの話その2

富裕層向け会員制レストランで、もう一つ思い出した。

ハワイのワイキキに行ったときに、知人とご飯を食べることになったのだけど、場所を教えてくれと言っても、たぶん、場所わかんないから、ホテルまで迎えに行くと言って、場所を教えてくれない。

ちなみに、ショートパンツとTシャツはだめだから、襟付きと長ズボンで来てねと。いやいや、そんなの言われても、ハワイなんてTシャツとショートパンツでしょと、とりあえず、ポロシャツと長ズボンを買ってきて、ホテルで待ってると、彼の運転する車が車寄せにやってきた。

乗って、行き場所を聞くのだけど、まあ、着いてからのお楽しみと言われ、着いてみると、着いたってどこよという感じ。

いやいやいや、ここ?

ここにはお店ないでしょ?と思っていると、ドアが開いて、お店の方が迎えてくれる。

ドアの中は薄暗くて、洞窟のよう。

暗闇の中に個人ロッカーのようなワインセラーがいっぱい並んでいる。なんでも、会員になると、ロッカーを一つ与えられて、そこに自分のワインを保管しておいて、食事のときに開けてもらうらしい。

店内には、ピカソはじめとするアート作品とバカラのコレクションが展示されていて、開けた部屋には、テーブル席が並ぶ。フランス料理のコースを頼まれる方は、アートに囲まれたこの空間で食事をするのだろう。

その奥にひときわ明るいカウンターがある。寿司屋のカウンターだ。

今日は鮨のコースらしい。
板前さんは日本人で、ここはハワイなのかというくらい日本な感じ。

飲み物はどうするかなと悩んでいたら、ワイン飲みますか?と。最初は白からはじめるが、1本が空いたところで、大トロに向けて、彼のロッカーから、オーパス・ワンを出してもらい、開ける。

客は、カウンターに我々ともう一組。
隣の方が話しかけてくる。話をしているうちに、もちろん、僕も知っている有名な会社のオーナーであることがわかった。世界中に家を持っていて、季節によって家を回っているらしい。

これぞ、富裕層という感じ。

日本にも東京と京都に家があるらしい。
いろいろ話をさせてもらって、名刺交換。こういうところには、謎の出会いがある。

食べ終わって、会計は?というと、会計は大丈夫という。ツケみたいな感じなのか、カードを出すそぶりもない。会員制だからなのかな。

帰りに、ロッカーをみせてもらった。他の人のロッカーにあるワインが見える。実物を初めて見るような年代の有名ワインから、ナパのカルトワインまで所狭しと入っている。前回の会員制バーと同様、すごい世界だなと思ったのを思い出した。

どうも、このお店自体は、世界にあって、ローカルの会員は、ローカルごとに値段が決まっているらしく、ワイキキの店舗のローカル会員は、個人は5万ドルと言っていた。ドル高いから、750万円近い。法人は、その10倍というから、港区のタワマンのワンルームくらいの価格。

グローバル会員は、ドルベースで桁がもう一個上らしいから、どんなシステムなのか、もはや想像もつかない。

ここでも、また、お誘いを受ける。
会員の空き枠あるみたいですよ。入りますか?

いえいえ、めったにハワイなんて来ないんで。
といいつつ、昨年は2回行きましたけど、行くとか行かないとかじゃなくて、身の丈の問題ですから。