巡り巡る恵みとわたし
情けは人の為ならず。
(巡り巡って嬉しさ万倍。
☆
先月、20代くらいの華奢な女性業者さんが、作業の途中で体調不良を起こした。
蒸し暑い屋外と冷房のきいた室内とを行き来し、
重い荷物を運び続けて身体が参ってしまったようだった。
「いつもの腹痛なので大丈夫です」
と仰るものの、
何度もトイレと作業場を往復し、青い顔をして脂汗までかいている。
…ああ、いかん。
こちらの訊き方が悪かった。
「大丈夫ですか?」と訊かれても、無理しがちな人ほど「大丈夫です。」と返事してしまうのだよね。
どう見ても大丈夫じゃない。
ので、ひとまず常温の水を渡して、いったん落ち着くまで休んでもらった。
この状態で次の現場に行くのは過酷すぎるだろ…と、
上司や会社に体調不良の旨を連絡した方が良いよ、病院に行った方が良いよと伝え、正露丸を渡すも案の定断られ。
「そしたら、飲まなくても良いから、帰るまでのお守りとして持っといて!」
半ば強引に押し付けた渡したのだった。
…でっかいお世話だというのはわかっている。
言われなくても自分で対処できるわい!構ってくれるな!だったかもしれないし、
客からモノを受け取っちゃいけない規則があるのかもしれない。
月に1度顔を合わせる程度の、
事務的なやり取りしかしない赤の他人から薬を受け取るのは怖かったかもしれない。
迷惑だったかもなーなどと、猛烈な後悔とカモ🦆の大群が押し寄せそうになったが、
あの時の自分はそうしたいと思ったから、そうしたのだ。
(ほぼ反射で)やっちまったもんはしょうがない。
他にも、この時期は特に、宅配業者さんや工事作業員の方に、
キンキンに冷えた飲み物を渡すという余計なお世話を発動させてしまうのだけど、
これもどうなんだろうなあ。
父が屋外現場の多い職人なもんで、夏場に飲み物をもらうと嬉しいと言っているのと、
実際飲み物を渡して断られたことがないから、そのまま継続するけども。
そんなこんなで本日。
先月具合の悪かった業者さんが再びやってきた。
ああよかった、今日は元気そうだ。
帰り間際、
「あの!もしよかったら!」
差し出されたのは可愛い観葉植物。
「先日、たいへんお世話になったので、お礼です!助けていただいて、本当にありがとうございました!」
元気な姿とまさかの言葉に、思わず泣きそうになる。(涙もろいんだ俺は。
彼女のこの言葉によって、
わたしのあの日の行動は『大きなお世話』かつ、『迷惑行為』ではなくなった。
伝えてくれてありがとうだよ。
おかげさまで、自分を曇らせていた『◯◯かもしれない』認識が、良い確信へと変わりました。
☆
我れ人にかけし恵は忘れても
ひとの恩をば長く忘るな。
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