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ジェンダーギャップ指数と実情

近年、世界中で男女平等を求める運動が活性化しています。日本も例外ではなく、女性の働き方や社会進出を求める声が上がっています。
「日本は男女不平等だ」という方たちが声を挙げる際によく用いられるものが、世界経済フォーラムが毎年発表する「ジェンダーギャップ指数」です。2019年12月に発表された最新版によると、対象国153ヵ国中、日本はなんと121位。これを見ると日本はなんて遅れている国なんだ!と誰もが思うでしょう。しかしこの指数は果たして信用してよいものなのでしょうか?

世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」とは

まずこの指数は、①健康 ②教育 ③経済 ④政治 の4つの項目で審査されます。
これらの項目の比重は均等ではなく、④~①の順に評価されていきます。日本は①健康と②教育はトップレベルですが、そこで高ポイントを獲得してもランキングにさほど影響が出ません。
そして最大の欠陥として、男性と女性との間の差だけに焦点が当てられているため、男女ともに低所得であったり、教育が受けられていないとしても高スコアが出る仕組みになっています。また、男女ごとの選択の嗜好やそれぞれの国の事情も考慮されていません。

さて、ランキング上位の国を見てみましょう。


1位アイスランド
2位ノルウェー
3位フィンランド
4位スウェーデン
5位ニカラグア
6位ニュージーランド
7位アイルランド
8位スペイン
9位ルワンダ
10位ドイツ


121位日本

北欧諸国が上位を独占していますね。この理由は高ポイントが出やすい④政治の項目の数値が高いからです。例えばフィンランドでは34歳女性のマリーン氏が首相に就任し話題になりました。
首相以外にも多数の女性議員がいるため、政治面でのポイントが高いです。また、政治家は給料も高いので、政治家の女性比率が上がることが女性の賃金向上(③経済の高ポイント)にもなるのです。
一方で日本の政治で女性は稀で、歴代総理大臣にも女性はいません。この差はなぜ生まれるのでしょうか?

フィンランドと日本の政治

まずフィンランドは人口500万人の小国です。歴史も長くはないため政治的な課題は日本よりはるかに少ないので、フィンランドの政治と日本の政治を同等に語るのは難しいでしょう。また、人口の少ない国では比較的実績が十分でなくともトップになれる可能性は高いです。特に日本の政治家は
フィンランドも首相こそ女性ですが、歴代首相や大臣はほとんどが男性です。実質的な決定権は男性が持っていると言えるでしょう。政治の新しさが求められているフィンランドでは革新的な政党が票を集めやすいです。そのため「女性」という注目度狙いの切り札として使われているのだとしたら、この登用について素直に喜べません。
日本でも女性比率を上げるため、イメージ戦略として女性議員を登用するケースが見受けられます。女性議員で政治力を評価された人が今まで何人いたでしょうか?このような形だけの女性の進出は男女平等に近づいたと言えるのでしょうか?

アフリカ諸国の例

またランキング上位には、ルワンダ・ナミビアなどのアフリカの国がランクインしています。これらの国も女性政治家が多いことが要因となっています。これはなぜかというと、内戦や紛争により多くの男性が死亡したため、女性が代わりに働いているという状況です。
このような場合でも、女性の割合が高くなるのでランキングは一気に上がるのです。しかしこれは男女平等の成功例とは言えませんね。

性差による選択の嗜好

男女の選択の嗜好もランクに影響していると思います。果たして政治家になりたい女性は政治家になりたい男性と同じ数でいるのでしょうか?日本には女性が政治に関わる際に不利になるような法律はありません。もともと政治家志望の女性が少ないなら、比率が偏るのも当然のことです。政治家になって世の中を変えなくてもある程度の権利が保障されていて安全な生活を営めるからではないでしょうか。
管理職の女性比率の低さも同様です。女性には仕事で成果を挙げ一家を支える、もしくは経済的に独立したいと思う人と、結婚し子供を育てながら生活費くらいをなんとか稼ぎたいと思う人がいます。どちらが多いかは別として、選択肢が2つある時点で男性より管理職の人口が減ることは当然のことだと思います。この場合も、管理職に就くことだけが女性の幸せではないということです。むしろ管理職になれといわれるほうが苦痛を感じることも多いはずです。

北欧は男女平等な国?

女性を脅かす性犯罪について、ランキング4位のスウェーデンと121位の日本を比べてみましょう。
日本は人口1.3億人に対して、セクハラ被害が6,188件、レイプ被害が989件
スウェーデンは人口1,000万人に対して、セクハラ被害が28,700件、レイプ被害が3,200件報告されています。
10万人あたりでみると、日本がセクハラ4.76件、レイプ0.8件。スウェーデンはセクハラ287件、レイプ32件。日本の約40倍ほどにもなります。
親告罪なので、泣き寝入りしている被害者もいることは当然ですが、大きな指標になることは間違いありません。
この数字を見ると、スウェーデンが女性に優しい国であるとは思えませんよね。

まとめ
以上のことを踏まえ、この世界経済フォーラムの指数はあまり信用していいものだとは思えないのです。あくまでこの指数はジェンダーギャップを無くすための手段、指標であり、このランキングを上げることが最終的なゴール(女性の権利向上)ではないということです。
隣の芝生は青く見えるものです。それぞれの国の事情を知らずに、北欧はすごい!日本はダメだ!というような思い込みほど怖いものはありません。客観的に事実を受け止め、様々な要因を理解した上で自分の判断をしなければ、一方に流されてしまいます。

また、男女平等=女性の権利向上ではなく、男性・女性なりの幸福というものは必ずあります。人類が誕生してから男は狩りに出て女性は子供を育てるという文化が何万年前も前からあります。それが正しいというわけではありませんが、身体も考え方も異なる男女ではそれぞれが得意とする分野も違うのです。働いて高い所得を得ることが素晴らしいという考えこそ資本主義に毒されていると思います。男性にしかできないこと、女性にしかできないことに誇りを持ち尊重しあうことで本当の幸福・平和が実現するのだと思います。

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