クリぼっちを放っておいて

今日は12/25、クリスマス本番だ。

カップルにとっての本番はもう過ぎたが、それでも町に出れば笑顔の恋人同士や家族の姿がある。中には友達同士なのか、仲の良やそうなグループやペアの姿もある。

ひと昔前は“恋人がいない奴は悲惨”なんて散々な事を言われたものだけれど、“クリぼっち”などと自虐ネタが流行り、最近は恋人がいない事をそこまで悲観する人も、またそれをからかう人も少ないように思う。

さて、話が変わるが、私は22歳の女である。今年から新社会人として働き、一人暮らしを始め、ワンルームのマンションの一室でひっそりと暮らしている。

仕事先はかなりブラックで、年次休暇を好きな時に取れない。よって冬季のこの時期は上が社員全員の休みの日を決める仕組みになっている。

けれどまあ、上司に孫が生まれたためか、今年の若手に女子社員が多かったせいかなんなのか、上司が12/25に全員休みを取れるように休みを作った。上司も同僚もほとんどの人が歓喜したように思う。私も休みが取れた事に安堵して、ゆっくり寝坊できると喜んだ。

「ねえ、ほほえみさんはクリスマス何する?」

12/24の仕事終わり、同僚の女の子が言った。

「え、いや、ふつーにゴロゴロします」

私が正直に応えると、同僚は面食らったようにえっ、と声を上げた。

「え、でも、彼氏とか」

「いないですね」

同僚はそうなんだ、と答え、少し目線を彷徨わせてから続けた。

「でも、じゃあさ、友達とケーキ食べるとか、しないの?」

「しないですね」

同僚は言葉を失ったように黙り込み、そして最寄りの駅まで終始無言だった。別れ際、ぎこちない笑顔で別れを告げた彼女は確かクリスマスに彼氏とデートする予定だったはずだ。気まずくさせてしまったかなと少し反省する。

しかし、その時の私の頭の中といえば、無駄に気遣わせてしまった事への申し訳なさが3割に対し、めんどくせえという感情が7割を占めていた。

【クリスマスに一人】

この言葉は、世間の皆様にとってはとんでもなく悲惨で、異常なものに思えるようだ。

最近は確かに恋人のいない人への風当たりはマシになったが、それ以上に友達とさえ一緒にいない人への当たりが強くなった気がする。

一人でいるだけで、まるで恋人がいなくても友達といればいいのに、まるでそれすらできない異常者扱いだ。

よく考えて欲しいのだが、キリスト教徒でもない人の中で、クリスマスに対してそこまで思い入れがある人はどれぐらいいるのだろうか。私はない。某キリストが復活した日で赤ワインはキリストの血扱いされるぐらいの認識しかない。

私にとってクリスマスはただの平日だ。

もちろん、キリスト教じゃない奴がはしゃぐな、楽しむななんて狭量な事は言わない。

要は、クリスマスを楽しみたい方々にお願いしたいのは、私のようにいつも通りの日々を過ごしたいだけの人間を巻き込まないで欲しいという事だ。

いつも通りでいるだけで勝手に寂しい奴扱いされてはたまっものではない。

私にとっての楽しいイベントは別日にあるだけなので、どうぞご心配なく、こちらの事は放っておいてくれ。

と、起き抜けの頭で愚痴をこぼした次第だ。

どうか、クリスマスを楽しむ方も、そうでない方も、どちらにとっていい一日になりますように。



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