深夜の夜風に当たりながら、今自分の脳内で考えていることを言語化してみる。#2
2年ぶりに母方の祖父母の家を訪ねた。
昨今のご時世のこともあり、元気かどうか心配していたが、実際に尋ねたらいつもと変わらない笑顔で出迎えてくれたので、安堵した。
祖父母の家までの約1時間の間、母が運転する車で揺られながら久しぶりの北海道の景色を眺めていた。
思えば、東京での一人暮らしでは空があまり見えなかった。
立ち並ぶ高層ビルや住居などで周囲は囲まれており、自分から見上げるという行為をしない限り空は全く見ることはできなかった。
でも、いざ地元に帰り母親の運転する車の車窓から見る景色は、見上げるという行為をせずともほぼ自分の目線と同じ高さで地平線が見えるのだ。
あまり街という街を通らなかったため、周りは田畑や牧草地が多く、緑があふれていた。
文字通り「のどか」だった。
祖父母の家からの帰り道、ふと私と母親で「旅行での交通手段」の話になった。
北海道は言わずと知れた「車社会」。札幌圏の通勤通学客あるいはいわゆる「鉄オタ」でない限り、道民は遠方への観光に行く際はほぼ確実に「車での運転」を選択するものである。
母親も御多分に漏れず、遠方への観光でも「車」を選ぶという。
分かったうえで、あえて理由を尋ねてみると「JR北海道は運賃が高い。」という返答が返ってきた。
その時は「まぁね。」と受け流したが、果たして本当なのだろうか。
2つの例を挙げて調べてみた。
1)札幌~旭川
札幌と旭川の距離は関東だと「東京~甲府」間とほぼ同距離である。
(実際は札幌~旭川のほうが約3km長い。)
札幌と旭川を結ぶ特急列車は「カムイ」「ライラック」「オホーツク(終点:網走)」「宗谷(終点:稚内)」の4種類ある。
運賃は2860円、さらに指定席料金として2360円。計5220円。
一方、東京~甲府間の特急は新宿乗り換えで「あずさ」「かいじ」の2種類が走っている。
東京~甲府間の運賃は2310円。新宿~甲府間の指定席料金は1580円。計3890円。
その差は1330円也。
両者ともに所要時間はほぼ同じ1時間半弱なのに、これほど運賃や指定席料金に差が生じるのは、やはりJR北海道の経営体質の問題なのだろうか?
2)札幌~函館
札幌と函館の距離は本州だと「東京~新潟」間とほぼ同距離である。
(実際は東京~新潟のほうが約15km長い。)
札幌と函館を結ぶ特急列車は2021年6月現在「北斗」のみである。
運賃は6270円、さらに指定席料金として3170円。計9440円。
一方、東京~新潟間は上越新幹線が走っており、2021年6月現在「とき」「Maxとき」の2種類が走っている。
(上の2枚の写真は、筆者が2021年5月8日に一人で新潟まで足を運んだ帰りに乗車した「Maxとき」の写真。「Maxとき」は引退が近いので、この光景を生で見たい方は早めに見ることをお勧めする。)
東京~新潟間の運賃は5270円。さらに新幹線指定席料金は5040円。計10760円。
その差は1320円也。
これに関しては、鉄道網や施設の発達の違いだと思う。
東京~新潟間は新幹線が開通しているため2時間前後で到着するものの、札幌~函館間は在来線特急(しかもディーゼル)のため、到着には3時間半から4時間弱もかかる。ゆえに、東京~新潟間の方が費用そのものは高いとはいえ札幌~函館間のほうが圧倒的にコストパフォーマンスは悪いと言える。
札幌~函館間の所要時間は今後北海道新幹線の札幌延伸により多少は縮むかもしれないが、その分運賃や指定席料金はとんでもない額になることになるだろう。(JR北海道のことだし。)
以上のことから、ほとんどの道民はJRを利用するくらいであれば自家用車あるいはレンタカーで運転していた方が、道路における交通網は発達しているうえに1~2回の給油で済むため、コストパフォーマンスも良いのである。第一、北海道の場合は都市部を除いては車でしか行けない場所も多いため、公共交通機関を使わないといった大きな理由もあるのだ。
筆者はこれから自動車運転の免許取得のため自動車学校に通うことになる。
東京での一人暮らしの時は、思う存分鉄道旅を堪能してきた。
だがこれからは、鉄道旅のみならず、車での旅を堪能することにもなる(はず、多分)。
これからは鉄道と車、双方の旅の良し悪しも考えなければいけなくなる時が来ると思うと、不思議とゾクゾクするものである。