どれだけ頑張っていようが稼ぎのない男は働いていないのと同じである
7月7日。七夕の今日はうだるような暑さ。
机の上に置いてある温度計付きの時計を見ると、33度と表示されている。
とても服なんて着ていられない。半裸でいても汗が吹き出してくる。
33度という気温だけをみたら「まぁ暑いな」くらいかと思うけど、まぁめちゃくちゃに暑い。
原因はこのジメジメとした湿気だ。
日本の夏は世界一暑いと思う。
身体にジトッとまとわりつくような、気持ち悪い暑さ。
あぁ、こんな暑さのなかで働いている人もいるなんて信じられない。
ほんと労働者の皆様には頭が下がります。毎日ご苦労さまです。
だが、俺もそろそろ労働者にならなければいけないときが近づいてきている。
そう、もう金がないのだ。
この世界で生きていくためには金がかかるんだ。
旅をしながらたまに働く、という悠々自適なバンライフをしていた俺だけど、ゴールデンウィークの頃に愛車のバモスが廃車になってしまい、バンライフ強制終了になってしまったので「とりあえず一旦帰ってきたよ」とサラッと実家に帰りそのまま居ついていた。
どうせまたすぐにどこかへ行くんだろうと思っていたであろう両親と、一向にどこにも行く様子もなく、ダラダラと2ヶ月間も実家にお世話になりっぱなしの俺。
「もうずっと家にいるけど、これからどうしていくつもりなの?」
「うーん、今はとりあえず自分でやること色々とやってはいるんだけど。車買うお金もないしなぁ。こんな田舎じゃ車ないと仕事もないしね」
「自分でやることやってるってあんた、怪しいことじゃないの?お金は稼げてるの?」
「うん、まぁ・・・、小遣い程度は稼いでるよ」
(2ヶ月で200円ほどとは言っていない)
実際はまったく稼げていないにもかかわらず、5万くらいは稼げてるよ!感をだしているのは、親になるべく心配かけさせたくない思いからのせめてもの親孝行のつもりだ。
そうです。
家に気まずい空気が流れています。
両親はふつうの田舎で暮らす昔の人なので、『働く』といったら外で労働して汗水垂らしてお金を稼いでくること、という価値観しかない。
いくら朝から晩まで1日中パソコンとにらめっこして作業をしていて、自分的には1人ブラック企業状態なくらいに働いているつもりでも、両親からみたらそれは『働いていない』のと同じなのである。
いや、まったく稼げていない時点で、それは誰が見ても『働いていない』と同じなんだろう。
そんな状態なので、口にこそ出さないが「とにかく働け!家に金を入れろ!もういい加減家から出ていけ!」という空気感が半端じゃない。
家に全然お金も入れないで毎日なにをしているかもわからない30もこえた息子を持つ親の気持ちになってみれば当然の話しだが、晩御飯のときに顔を合わせるのが最近非常に気まずくていよいよたえられなくなってきた。
さすがの俺も「なんとかしなければ!」と思い仕事を探すことにした。
よし!リゾバというものに応募してみよう。
これからの季節、夏のリゾートバイトがたくさんあるはず。
結構時給もよくて寮費が無料とか、まかないつきの食事がでたりだとか、かなり条件はいい。
何件か応募すると電話がかかってきた。
「ご希望の条件でお仕事ご紹介させていただきますので、これまでの簡単な経歴と写真を送ってください」
言われたとおりに書類を送り、しばらく返事を待っていると、ピコンとメールが届いた。
「選考の結果、お客様にご紹介できる求人はございませんでした」
なんでやねん!
電話をかけてみる。
「あっ、もしもし?すいません、僕のなにがいけなかったんですか?」
「ご希望にそえなくてすみません。紹介している仕事が接客業ということもあり、髪を切っていただかないと紹介できるところがございませんので…」
送った写真はついさっきiPhoneで撮ったばかりのものだ。髪もボサボサだし、ヒゲも伸びている。服装もブラジルの真っ黄色のノースリーブタイプのユニフォーム。
写真くらいもう少しちゃんとしたものの方がよかったかな?と思いつつも、
「あぁ、髪ですか?べつにそう言ってくれれば全然切りますよ。そちらの条件に合わせますので、他にも条件があれば教えて下さい」
そういうことで話しがまとまり、また紹介できるところをピックアップして連絡してくれるという。
連絡を待とう。
ピコン。
メールがきた。
「選考の結果、お客様にご紹介できる求人はございませんでした」
だからなんでやねん!
そっちの言う通りに髪も切るしヒゲも剃るって言ってるやん。
そんな数分で書き終わるような簡単な経歴で俺のなにを判断したんだ?
髪はサッパリしていないとダメ、ヒゲはダメ、茶髪NG、アクセサリーNG、タトゥーNG、etc…
100歩ゆずって接客業だから仕方ないっていうのもわかるけど…
…いや、わかるか!ただの差別やん。
見た目とかどうでもいいじゃん。そんなもの仕事に一切関係ないし。
それはもう「わたしたちは人を見た目で判断する差別主義者ですよー」
って言ってるようなもんだよ。
それを恥ずかしいことだとも気づかずに堂々と言える無神経さ。
これが日本のレベルか…
価値観が昭和、平成から全然変わっていない。
世界が目まぐるしい勢いでどんどん進化している中、日本はずっーと変わらないな。
まぁ、仕方ない。
そんな差別者たちと一緒に働くなんてこっちから願い下げだ。
気を取り直して他の仕事を探す。
すぐに寮に入れて給料もいい仕事はーと、やっぱり工場系が給料も高く、個室寮完備で条件がよさそう。
何件か応募してWEB面接へ。
1時間くらい根掘り葉掘りこと細かくいろいろな質問をされゲッソリ。
まるで警察の取り調べ。
はぁ、めちゃくちゃ疲れた…
そしてさっき散々Zoomごしに説明したのに、また改めて履歴書を細かく記入して提出しなければいけないと。
うわっ、めんどくさ…
履歴書書く時点でもうめんどくさすぎて心折れそう。
何年に中学卒業したとか覚えてる人この世にいんの?てかそれと仕事となんの関係があんの?
てか俺職歴20件くらいあるけど全部書かないとダメなの?もう名前も全然覚えてないって…
もうゲロめんどくさい…
かなり適当だけど、一応一通り書いて提出し、あらためてWEB面接で話ししながら希望の職場を紹介してくれるという。
やっと仕事紹介してくれる…
「頑張れば社員にもなれますので、頑張ってくださいね!」
「え?社員?いや、社員にはなるつもりないですよ?短期で2,3ヶ月働きたいだけなんですけど」
「お仕事の紹介は長期で働ける方のみとなっております。最低でも1年以上働くことを約束していただけないのならお仕事の紹介はできません」
マジかよ…最初に言ってくれよ…
苦労して履歴書書いたりしたのに…
とりあえずちょっとだけ働きたいだけなのに、働くまでのハードルが日本は高すぎるんだよなぁ。
正社員とか契約社員だとか重すぎるわ。
なんでちょっと働きたいだけなのになんの思い入れもない会社にそんな忠誠を誓わないといけないんだ。
「御社に志望する動機はなんですか?」
「金に決まってるだろ!金だよ金!それ以外にあるわけないだろ!」
なんてことは絶対に言えない…
ちょっとお金欲しい人と、ちょっと人手が欲しい人の需要が一致してるんだからもうそれでいいじゃん。
契約だとか年金だとか、知るかそんなもん!
日本はシンプルなものをなんでも複雑にしてしまう。
無駄が多すぎる。
もう俺には履歴書が必要なところで働くことは不可能なのかもしれない。
はぁ、やっぱり農業しかないかぁ。
でも農業するならやっぱり車がないと仕事も探しずらい。
「とにかく車がないと先に進めないだろ。一旦金は出してやるから車探せ。自分じゃどうせローンも組めないんだろ」
ローンも組めないからどうしようもなく困っている俺を察したのか、親父がこんなことを言ってきた。
これは手切れ金ということか…?
これでいますぐ家を出ていけと…?
いや、さすがに縁を切るとかの大げさな話しではないが、とにかく家から出てどっかで働け、ということである。
ごもっともです。
親にお金を借りるということだけはしたくなかったが、どうやら他に選択肢もないようだ。
車は維持費もかかるしなるべく持ちたくなかったが仕方ない。
やっぱり車がないと生活もできない。
となるとなんの車を買うかのだけど、やっぱり軽バンがいいよな。
なるべく車にお金をかけたくないけど、かといって前回みたいにボロすぎて半年で廃車になるような車ではかえって高く付くだろう。
なのでそこらへんの見極めが重要だ。
とにかく、親に借金をすることになるし、車を買ってしまったらまたしばらくは日本から離れられなそうだ。
はやく労働しなくてもいいように自分で稼げるようになりたいなぁ。
あー、海外行きたい。
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