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伸びしろのある職場
今日は、私が若い頃に体験しておいて良かったと思うことのお話をさせてください。
実は、パン屋を開業するずっと前、都内の飲食店で働いていた時期がありました。
そのお店は駅から近く、外観もスタイリッシュでおしゃれなのに、なかなかお客様が入ってこない。
そこには「お店のコンセプトが定まっていない」という、シンプルだけど重大な問題がありました。
当時の店長さんやスタッフ仲間と一緒に「じゃあどうしたらいいのか?」というところから話し合いを重ねて、
最終的に「カレーが美味しいお店」という柱を据えてリニューアルしようという結論に行きついたんです。
カレーならば、スタッフの一人がスパイスから本格的な味を生み出せるという強みを持っていて、それを活かそうと。
そこからはもう、試作を繰り返し、メニュー表も作り直して、いかにお客様に「カレーならここ!」と思ってもらえるか、知恵を絞る日々でした。
正直、はじめは慣れないオペレーションに戸惑って、カウンターの中で右往左往してしまったり、スパイスの調合が上手くいかなくて泣きそうになったりもしました。
でも、その試行錯誤の先に「これだ!」と思えるカレーが完成し、お店が「都内のカレーが美味しいお店」として雑誌に取り上げられたときは、本当にうれしかったです。
この体験を通じて感じたのは「これから伸びる企業」や「変化の真っ最中にあるお店」に、自分も一緒に飛び込んでみる面白さです。
大手企業のようにマニュアルが整った環境で学べることもたくさんありますが、
私の場合は動きのある現場で、コンセプトづくりから運営までを自分事として考えられたことが、今のパン屋をやっていく中で大きな糧になっています。
時々「ひとみ店長って、どうしてそんなに大胆に新商品を出せるんですか?」と聞かれることがあります。
私には決して大胆な性格なんてないんですけど、あの頃の「自分たちでイチから考えて作り上げる」経験が背中を押してくれているんだと思うんです。
もし若いうちに職場を選ぶなら、ひとつの選択肢として「まだまだ伸びしろがある」場所に飛び込んでみることもオススメです。
そこには、先が見えないから「ワクワクする」挑戦が待っているかもしれません。