しゃあない、しゃあない
細い1kmほどの一本道。
道のまん中を灰色の軽自動車がトロトロ走っています。
運転しているのは、おそらくおじいちゃん。
もしもあなたが急いでいる時、その車の後ろを走っていたなら、どうしますか。
距離を詰めて「はよ、行け!」と急かしますか ?
それとも、ほほえましく思いながら、「しゃあない、しゃあない」とゆっくりついて行きますか。
もちろん道徳的に考えると、ゆっくりついていった方がいいですが、距離を詰める人もいるのではないでしょうか。
私もやったことがあります。
やはり自分の行動を妨害されると「イラッ」ときますし、後ろの車に迷惑をかけないという自分の常識から、怒りがこみ上げるのも仕方ありません。
しかし、急かしたところで大して変わりませんよね。
逆に事故を起こして動けなくなる可能性もあります。
そして、さらに悪いことに、自分を悪人に一步近づけてしまうのです。
脳内の「攻撃」回路や「イライラ」回路を強化するのですね。
世の中は色々な人の意思で動いているので、自分には、どうしようもないことがたくさんあります。
もしこの細い道を人生だとすれば、「イライラ」回路を強化し続ける人は、人生の終点までずっとイライラするでしょう。
そして周りの人を不幸にし続けるかもしれません。
しかし、それに気付いて、自分の回路を変えようとした人は変わっていきます。
「しゃあない、しゃあない」回路に。
「しゃあない、しゃあない」は、自分でどうしようもないことは、受け入れるということですね。
人生において、自分の力ではどうしようもない相手も受け入れてあげる。
すると相手の心の中に、ポッと幸せの灯がともる。
あなたの人生は、周りを幸せにする人生になるかもしれません。
軽自動車でトロトロ走っているおじいちゃん。
心にポッと幸せの灯をともし、「ありがとう」と言っているかもしれませんね。