五月の残酷

モーニング俳句 2019.5月

気づいたらもう6月半ばですね……
4月中頃から始めた毎朝一句の俳句はまだ続いています。

5月は、『通販生活』内の「俳句生活 よ句もわる句も」にて一句選んでいただきました。夏井先生、ありがとうございます。

手あそびの影くつきりとこどもの日  兼題[こどもの日]人選



では5月に詠んだ朝俳句をまとめておきます。

風船のひとつたりずに共に持つ
春駒のひづめのあとの匂い立つ
どんたくの音は遠くて床に髪
背のびして苗代きのうより緑
あそび疲れてよく眠る端午の子


手ぬぐいは十時に乾く夏きたる
蓋裏が筍めしの香を放つ
水溜まりあめんぼと空ひとつずつ
松落葉悔いはすき間に残るもの
草笛に耳の角度を変える河馬


速報にレース編む手の止まりけり
母の日の子の手硬貨の香のふわり
吾子ねむる若葉日ごとに濃きうぶげ
薫風に加わりたがるダージリン
行間に人の死を知る木下闇


翡翠の飛沫オフィーリアを飾る
席譲るごつい指輪の鬼虎魚
ドミノ倒れゆく青蔦うらがへり
残されたソーダ水やや苦くなり
郭公のむすめ日毎に母に似て


小満の雨あたらしい傘まわす
冷蔵庫主任のみやげあと二つ
目高にも身あり底には淡い影
天道虫飛び立つあとの草ゆらり
きり出せず残るビールの苦いだけ


俎板にあかき筋あり初鰹
草刈のあとに転がす泥団子
海のこと聞いてないふり山椒魚
陰までも吸われ万緑が憎い
杣人の老鶯に手の止まる
餡蜜に探る腹までみたされて

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西藤智/おもに短歌
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