見出し画像

憲法とは何か~書籍「檻の中のライオン」~

本書との出会い

私の記事では何かと「市民運動とは何か」「今のままで良いのか」を問うことが多い。
社会に無関心な人が多い中で一所懸命に発信することは根気がいる。

しかし、その一方で「市民運動の基礎」である「憲法」の知識が足りていない活動家もいるのではないか。
「改憲」「護憲」の議論だけに溺れ(もちろんそれも大事ではあるが)憲法の基礎、本質を知らないのではないか。

今振り返れば私も実際そうだったと思う。
でもそのねじ曲がり、著者の言葉を引用するなら「汚れていた心」を浄化してくれて、真に訴えるべきことを伝えてくれたのがこの本。

『檻の中のライオン 憲法がわかる46のおはなし』
著者:楾大樹(はんどう・たいき)(弁護士)
かもがわ出版から2016年6月20日に発行され、私の手元にあるものは2022年1月1日発行の第19刷という、憲法本にしては異例のベストセラーだ。

「憲法」
日本に住む私たちが平和に、自由に暮らしていける理由。それが憲法のはず。
護憲なのか改憲なのかに囚われず、最初に知りたい、いや知るべきこと。
私は書籍の内容を基にした講演会で本書の存在を知った。

余談だが、講演会は全国各地で1000回以上行われ、私も飯能市で主催したことがある。
もしこの記事で本に興味を持っていただけたら、本を読むだけでなくぜひ著者・楾大樹さんのFacebookで講演会開催予定を見てほしい。
弁護士業そっちのけで憲法について講演会を続ける楾大樹さんの話は、聞く価値が非常に高い。

前置きが長くなったが、本の紹介及び感想を書いていく。

憲法を学ぶ上で最も重要なこと

この記事で「檻の中のライオン」を始めて知った方の中にはこんな疑問を抱いたことだろう。

「著者の楾大樹さんって右? 左?」
「楾大樹さんは護憲派ですか? 改憲派ですか?」

まず言いたいのはそもそもこの話は憲法の基礎知識であるため、右も左も、護憲派も改憲派も存在しないこと。そこの解釈は絶対に間違えないでほしい。

本にもあった例えを引用する。

相撲でいうと、憲法は「土俵」にあたるものです。「右」の力士と「左」の力士が相撲を取って、どちらが勝つか、これは政治問題。どちらの力士を応援するかは人それぞれ自由です。しかし、力士は決められた土俵の上で(憲法という枠の中で)相撲を取らなければなりません。いくら最強かつ大人気の横綱でも、土俵の形を勝手に変えることはできませんし、行司の裁きには従わなければなりません。

「檻の中のライオン 憲法がわかる46のおはなし」(著者 楾大樹・かもがわ出版2016年発行)「はじめに」の2ページより引用

つまり、本来憲法の基礎知識に「右」「左」「護憲」「改憲」なんてワードは登場しない。
それでも信じられない方はまあまず読んでみるのが一番だ。

本書の出発点はどこだろうか。
まず、これを読んでいる方々全員に共通するものとは何か?
政治思想は皆違うし、性自認も好きなものも嫌いなものも、身長や体重だって違う。

じゃあ何が共通しているのか
答えは「人間」であるということ。

本書はこの「人間である」ということが大事なポイントになってくる。
「人間である」ことが出発点。当然だが大事なことだ。

そして、本書ではもう一つ大事なキーワードがある。
それは「自由」だ。

憲法にはいろんな「自由」が出てくる。
「職業選択の自由」「言論の自由」「思想の自由」「表現の自由」など「自由」というワードがたくさん出てくる。
なぜここまで「自由」が書いてあるのか、その真相はぜひ本書を読んでみてほしい。

また、「なぜ?」と問うことも非常に重要なことだとまえがきに書いてある。
主権者は私たち国民だから「なぜ?」「どうして?」を考える、知ることでよりより社会になるはずだ。
今、「なぜ?」と考えることはできているだろうか。

中学卒業までに読みたかった!

私は護憲運動の仲間を通して本書を知った。
でも、叶うのなら憲法改正論を知る前に本書と出会いたかった。

それほど大事なことが書いてあるし、何なら小学生や中学生のうちに出会っていたい、いや出会うべき内容だった。
出会ったのが20歳以降、選挙権を持っていくつかの選挙に投票した後だったことが非常にもったいない!

「不断の努力」ができていないことも痛感したし、これから何ができるか、何をしなければならないのか本当に考えさせられた。

応用編も政府見解を中心に論じていて政治思想要素が少なかったし、何より基礎編はイラストがあって「憲法=カタい」というイメージが薄いし、わかりやすい!
こんな憲法入門書、他には中々ないのでは?

そして、本書は小学校高学年から読めるはず。難しい漢字にはふりがながついているので「漢字多くて読めない!」なんてことはほとんどない。

それに、この本は個人的に何度も読み返すのがいいと思う。そりゃ人間だから忘れることだってあるし、ふと気になる政治問題があるときに何度も読み返すことで「あ! この法律はおかしい!」などと思える気がする。

「憲法は難しいもの」という概念を取っ払ういい本だと思う。
だって、文字だらけじゃなくてイラストがあるし、極力難しい表現は避けてあるらしいから(楾大樹さんの努力に脱帽です!)

憲法の基礎知識を学んだら、次は応用へ!

本書にも応用編として2016年頃までの時事問題が書いてあるが、その後の時事問題やそれに連なる時事問題を取り上げた書籍もある。

しかし、それはまた次の機会に紹介させてもらう。
なぜならその本は「檻の中のライオン」で基礎知識を知ってからの方が面白いから……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?