【BR #2】翻訳できないせかいのことば
#1で取り上げたシリーズでこちらも面白そうだったので手に取る。
イラストやフォントに目が行く。著者・訳者・イラストいずれも前回とは違う方なのだけど。翻訳には学生時代にチャレンジした経験がありとても興味がある世界。
前回の記事はこちら
ちなみに翻訳にチャレンジしたのは、中学時代に友人に勧められて読み始めた「ハリー・ポッター」シリーズ。
当時とても話題になって、次回作をみんな書店で予約して買っていたように記憶している。
次回作が待てず、都心の書店に出向いて英語版の原書を買い、英和辞書片手に翻訳をしながら読んだ記憶がある。めちゃくちゃ時間がかかる上に、文章の組み立てや文脈を読むことなど、スキルが足りなさ過ぎて頓挫。
でも、とてもいい経験だった。
レビューに話を戻して。
本の内容はこちらもタイトルそのまま。翻訳できない=一言で当てはめることばが見つからない、ということらしい。Apple=りんご。の型にはまらないことばをこちらも50近くピックアップしている。
読み始める前の「準備体操」メモ
読書の前の「準備体操」の時間のメモです。
本の世界に没頭するための頭のストレッチです。なかなかいい働きをしてくれる時間だなと、気に入っています。
Lost In Translation 原題から考えるニュアンス
原題を見た時に、聞き覚えがあったので調べた。
映画のタイトルにあったな。観たっけ?
スカーレット・ヨハンソン出てたなとか。思い出した。観てみよう。
本書は原作から日本語に訳されている。翻訳の仕事はしたことがないけれど
翻訳を齧ったものとしては、出来るだけ原作にも自分なりに触れたい。
翻訳できないと表記されているけれど
「翻訳の中で失われるもの」の方が近いのかな。一言では言い表せない、捉えきれない。
そんな感じ。
同じ日本語を話していても「なんだかうまく伝わらない」が増えた。
同じ言語でも「言い換える」「視点を変える」必要性をとても感じる。
なんでもスピードやコスパが求められる昨今。
現代人は忙しいから、相手の時間を奪ってはいけない。簡潔に素早く伝えねば!みたいな焦りが生じてくる。
そういう場面(仕事とか緊急時)があるのは理解できる。
それは業務連絡であって「ことばのやりとりを楽しむ会話」ではないよね。
その境界線やTPOが曖昧になってきている気がする。
個人的には「マスター、いつもの」みたいなのは
そこに至るまでの日々、重ねられた信頼関係があってのものだと思うの。
この考え方はもう古いのだろうか。(笑)
親近感を感じるドイツのことば
著者のエラさんの感性で選ばれたことばの数々。視点が面白くて何度も笑ってしまった。
国が変わっても人の悩みや楽しみは似通っているなぁと感じることばもいくつもあった。
その中から個人的に面白いと思ったものをひとつ紹介したい。
わたしはドイツに行ったことがない。
ドイツ語を習いたいと思ったこともない。
(難しそう、発音とか)
だけど、なんだか印象が変わった。
ケーブルサラダと聞いたときに、あの埃っぽい地味にいや~な状況をサラダに例えるなんて、ドイツ人にとってのサラダの立ち位置とは…(笑)
ウインナーとビールが美味しすぎるのか。
他にも懐かしい感じのことばや、笑っちゃうようなことば、ちょっと後ずさりするようなことば、などなどに、本書も出会うことが出来た。
日本のことばもいくつかあった。
そうか他の国にはないのかと、取り上げられたことばの意味を改めて調べたりして、面白かった。
おわりに
ことばシリーズを読んでいて、個人的に気が付いたことがあった。
英語を話せるようになりたいと思って、学生時代は英米語を専攻してた。話せるようにはなれず。
実用性ばかりに目を取られて、そのうちに勉強が面白くなくなってしまった。自分は飽きっぽい性格なんだと、終わらせていた。
でも、もしかしたら実はそうではないかもしれないと、思い始めた。
ことばは入り口、ことばは切り口と前回じぶんで書いた。
ことばは入り口でしかない。切り口、断面でしかない。
その向こう側にある、広がる、まだ知らない世界や人々との出会いに10代のわたしはワクワクしていたんではなかろうか。
著者のエラさんは19歳でこの世界のことばに関する投稿を始めたらしい。
ちょうど懸命に英語漬けの日々を送っていた頃のわたしも19歳。
やはりことばが好き。ことばを大切にしたい。
自国のことばもほかの国のことばも。
コミュニケーションを大切にしたい。
できればもっと楽しみたい。
これって一番簡単で身近な世界平和かも。
そんなことを思った。
#2終わり! また来てね!