最後の試験
最後と決めた芝居の試験の日、
課題は2つ。
当日、与えられた絵コンテを見て自分でその商品のCMを作って発表。
もう一つは1週間前に渡された2人芝居の台本をどちらの役も準備してくること。
2つ、精一杯やった。その時、できることをやった。
いつもだと自分の演技が終わった後はすぐ頭の中で繰り返してもっと
うまくできたかもしれないと何度も繰り返して頭が働くのだけど
その時は終わった後何も頭の中に動きがなかった。
みんなの芝居を見てても何も感想がなかったし、その日一番よかったと
言われていた組の芝居を見てた時も何も感じなかった。
これで終わったっていう感覚だけだった。真っ白だった。
芝居の後、審査員の1人からひとこと言葉をもらった。
13年間、1番長く教わり、自分が反抗的に向かった時も必ず返してくれた
意味がわからなかった演技っていうやつを少しづつ教えてくれた先生から
「やりきった感あるな」
これで辞めるとかそういうことは誰にも話していなかったから
すごくびっくりしたと同時にもう辞めていいよと背中を押してもらった気がした。
そのたったの一言で全部が間違ってないって強く思えた。