レッスン

約13年、日曜日はだいたい東京で芝居のレッスンに通った。

毎週欠かさず行っていたとは言えないけど、

与えられた課題、自分に足りないこと、先生に指摘されたこと

たくさんのコンプレックス、それを日曜日に人前で克服できるよう

平日は習いこどをして、何かを頑張っていたのは13年間続いていたと思う。

とにかくその時その時に要求されたことに応えられるように、

それが自分の中の目標みたいなものだった。

でもいつもうまくいかなった。今日はちゃんとできたと思ったことは

本当に数回しかない。日曜日の夕方はこれじゃだめだと帰りの電車の中で

暗い気持ちになっていたのがほとんどだった。

芝居を始めた頃、何度読んでも台詞が覚えられなくて全く覚えないで

映画監督しているという先生の前に座った。

もちろん言葉は出ない。そして、先生から

「女性としてだらしない」と言われた。なんだかその言葉がすごく

衝撃的で、恥ずかしくて、「女性として」という表現に体が反応したことがあった

それからはどんなに覚えられないとしても覚えることを諦めなくなった。

そして台詞を紙で読むのではなくとにかく何も考えず録音した登場人物全て

の台詞を耳で聴くことで少しづつ言葉の音が体の中に入っていく感覚を覚えた。

そして自分の台詞より自分以外の言葉を聞くことで自分の台詞が出てくることも

わかった。これは自分が演技する時に一番大事なことになった。

そうやってできない問題が生じるたびに考えて

やり方を見つけていくのを覚えたのは

日曜日のレッスンがあったからだと思っている。