晴れ女 #5
これだけ雨が降るといよいよ梅雨に途中したなぁと思う毎日。それと同時に本格的に夏が目の前に来ていると実感します。
昔じゃ考えられないけれど、今になるとやっとこの梅雨の時期の晴れの日がいかに嬉しくて貴重かが身に沁みます。雨の日は嫌いではないのですが、晴れの日は洗濯物はなにも考えずに干せるしどこかへ行くのも手が空いているし、服装も好きなものを着ることができるのでやっぱり晴れてほしいと思ってしまいますね。
突然ですが私は晴れ女です。
占いもあまり信じないし、"偶然"も実は"必然"だったと考えてしまう私は、正直"晴れ女"も"雨女"も"晴れ男"も"雨男"も信じていないんですよ(笑)
だけれどもやっぱり絶妙なタイミングで雨が止んでくれて、降ってくれている気にしかならないのです。
思い返せばあれは約15年以上前の話になりますが、その日も今日のようなバケツをひっくり返したような雨の日でした。そこまで降ると逆に気持ちのいいものですが、その時に母と遠く離れた駐車場へ向かって歩いていました。
ちょうどその数年前に祖父が亡くなり、祖母や母の影響でなるべく毎日お経を読んでいた時期ですね。写経もしていました。数ヶ月で飽きてしまったんですが。
なにを思ったのか私はふと駐車場に向かう途中にお経を読み始めたのです。怖いですよね、雨の日に小学生がお経を読み始めたのです。ほぼ毎日読んでいるとある程度までは暗記しているんです。
「帰命無量寿如来〜南無不可思議光〜法蔵菩薩因位時〜在世自在王仏所〜」
あのまま私はそれなりに修行をすれば、日本で最年少のお導師さまとして脚光を浴びていたかもしれません。
お経読み始めて2分ほど経った頃、豪雨が嘘かのようにピタッと止んだのです。本当にピタッと。漫画のなかでこのシーンが出てくるとすればまさしく「ピタッ...」という文字と同時に、登場人物の後方・足元から空を見上げているアングルで、頭越しに輝く月、髪の毛はぱらぱらと束が踊り、手元の傘はふわっと風に舞って飛んでいきそうな1コマだろうなと思います。
それからと言うものの私は、例えばライブで自分の出番だけ雨が上がって、歌い終わった瞬間に雨、家に着いた瞬間に雨、電車を降りれば雨が止む、という奇妙な現象が度々起こるようになりました。
根拠のない自信というものは時に必要だったりします。
お経を読んだあの日以来、私は晴れ女なのです。
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