街の温度 #2
春がスキップしたみたいです。心踊るほうではなく、こないだまで肌寒いと思っていたのに今はもう初夏のような今日この頃。昨日ついに探し続けていた扇風機のリモコンを発見し、今年度扇風機デビューを果たしました。
夏生まれの私ですが冬が一番好きで。逆に春が一番苦手です。夏は痩せやすいしどこへいくのも暑いですけどなんとなくテンションは上がるし、とにかく春が終わったのかと思うと少しホッともします。雨も好きなので梅雨の時期も基本的には楽しめます。
このご時世、関西どころか他の地域のライブやお仕事も次々にキャンセルで、一日中家の中で過ごし、朝昼晩しっかり家でご飯を食べる日々。先日、友人のカメラのレンズを借りに久々車で高速道路を運転しました。今までなら片道1時間なんて一瞬だったけど、久々に運転するとちょうどいい距離でした。
高速に乗る瞬間や途中で寄るサービスエリアでのワクワク感、帰宅前にガソリンスタンドによって給油をする。よく使うガソリンスタンドのカードを、久々財布の左上ポケットから引っ張り出す。毎週変わらず送られてくる値引きクーポンを使う。それだけの動作なのにすべてが懐かしくて。ふと、遠征でいろんなところへ行っていたことを思い出しました。
基本的には運転が好きなのと、荷物が多いことと、運転中にいいフレーズや歌詞を思いつくことがあるので、ある意味半強制的に遠征はだいたい車です。だけど、例えばお仕事で経費が出る時だったりすると、最近は本をたくさん読むようになったこともあり新幹線で向かうことが増えました。
その時にふと、新幹線から見える景色に温度を感じるんです。
みなさんあんまり考えたことがないかもしれませんし、これは私だけの感覚なのかもしれませんが、街に温度があるように感じるんです。
普段車で通るような場所を歩いてみるとたくさんの発見に気づきます。知らない間に家が建っていたり、道が舗装されて道路上の文字がくっきりと白く浮かび上がっていたり、アスファルトにも花って咲くんだなぁって感心させられたり。
歩くならではといえば、匂いです。夜になるにつれて街の中は生活の匂いが徐々に漂います。ご飯の支度、お風呂、しっとりと湿ったような葉っぱの匂い、場所によっては土の匂いもより強く感じるのではないですか。
そしてその逆、新幹線や電車から見る景色というのは冷たく感じます。
夜になってもきらめく街、あの家は寝てるのかな、でもあの下の部屋の人はまだ起きてるなぁ。赤と青の光が連鎖して、1秒も眠らずに街の中は止まれと進めを繰り返して時間が過ぎている。マンションやアパート、家から漏れる光。そこには必ずひとつの命があって、みんなそれぞれ悩みを抱えて毎日必死に生きてんだよなぁ、と、いつも新幹線に乗ると思うんです。
死にたいくらいに思える日もあるでしょ。狭い部屋の中でなんにも希望を持てなくて。でも現実から目を背けることができなくて。
だけど、新幹線や空の上からみる生活の光ってめちゃくちゃ小さいんです。自分はもうこれ以上にないってくらい苦しんでいるのに、外から見るとちっぽけなものなんですよ。私はそれを悲しいとも感じてしまう。
時速4kmと時速300kmからの世界。
皆さんもぜひ、気にかけてみてください。皆さんの感じる街の温度はどうですか。