#016_【倫理的リーダーシップとボトムライン・メンタリティ】足の引っ張りはすべてを台無しにする(#7-6)
この論文の目的は?
ボトムライン・メンタリティの環境で働く従業員は、目標を達成することに主眼を置いており、そのような環境では、同僚間に競争が生まれ、周囲で働く他者への配慮が低下する。結果、倫理を犠牲にして要求を満たすという、従業員の社会的弱体化につながるとされている(Shepard, 1965)。
・・・ではどうしたら??
ということで、倫理的リーダーシップに注目しています。
倫理的リーダーシップの創成において、リーダーを動機付ける方法とは?
中間管理職や直属の上司に対するフォロワーの信頼と認識はどのようなものか?
トップマネジメントのボトムライン・メンタリティの認識と、それが中間管理職の社会的弱体化にどのようにつながるか?
は?
POINT1. 倫理的なリーダーとは?
Brown and Treviño (2006)およびBrown et al. (2005)は、倫理的リーダーシップとは、個人的な行動や対人関係を通じて規範的に適切な行動を示し、双方向のコミュニケーション、強化、意思決定を通じてフォロワーにそのような行動を促すことであると定義している。
また、従業員は、リーダーを観察し、彼らがどのように倫理的に行動するかを観察することで、組織における倫理的行動を学ぶ。
POINT2. 社会的弱体化(Social Undermining)
Wolfe (1988)によれば、BLMは組織の従業員と経営陣の間に対立をもたらす可能性がある。
つまり・・・利益だけに集中するということは、ボトムラインの目標により多く貢献した者が勝者になる。その結果、従業員は協力するよりもむしろ競争するようになる。
「あいつの数字を奪ってやれ!」
「数字を達成するためには、この情報は隠しておかないと」
こんな絵にかいたような足の引っ張り合いがあるかどうかは置いておいて・・・
同じ組織で働く他の従業員を犠牲にして、組織の最終目標が達成されていることもあるだろうと言われています。(悲しいですね😿)
トップのボトムライン・メンタリティから生まれる足の引っ張り合いのことを社会的弱体化(間違った情報の提供、地位競争、仕事の遅延など)と言います。
社会的弱体化を防止するためにも、倫理的リーダーシップが実践されるべきであり、中間管理職の役割は重要である。とされています。
POINT3. 結果
パキスタンの繊維工業において質的調査を行っています。
二つのテーマからサブテーマが導き出されました。
<ボトムライン・メンタリティ>
サブテーマ:タスクの性質(困難・容易)
タスクが容易だと上司のふるまいも良くなり、困難だと社会的弱体化につながる。
<従業員の認識と信頼>
サブテーマ:リーダーの性格、SOP(業務の標準化)の認識、仕事のプレッシャー、虐待行為
フォロワーの認識を形成する際には、リーダーのパーソナリティがより重要になることが明らかになっています。また、フォロワーがリーダーに対して「良い人だ」「良い人格だ」という認識を持つと、自動的に「倫理的に行動している」と考えることが観察されている。これは、実際「倫理的な行動をしている」とは関係がない!
いずれにしても、ボトムライン・メンタリティ>足の引っ張り合い>社会的弱体化>業績の悪化(業績は悪化しなかったとしても雰囲気の悪化など)につながる、ということは認識しておく必要がありますね。
感想
パキスタンでの質的研究ということで、日本にどこまで適用できるかは未知。とはいえ、エッセンスは変わらないと思います。
毎回思うのは「実際どうか」ということよりも「ふるまい」が大事だということ。実務的にはわかりみです。