携帯電話との出会い
高校卒業を控えたある日。
父がわたしにシルバーの折り畳み携帯電話を差し出しながら言った。
「これでええがの」
※讃岐弁で「これでいいだろう」の意
まだ携帯電話を持っていなかったわたしに、父が新規で契約してきたのだ。
4月から進学のため、京都で一人暮らしをすることになっていたわたし。
下宿に固定電話を引かず、携帯電話だけで済ませる人が増えていた頃だった。
父が新規0円で契約してきた機種は、N501i。
前年にサービス開始したiモード対応機種だったので不満はなかったが、すでにCMではヒロスエが
「カラーiモード、人気だよ!」
と502iシリーズを宣伝していた時期のこと。
「型落ちか……」
とややがっかりしたというのが正直なところである。
きっとそのがっかり感が顔に出ていたのだろう。
父は
「1年この機種を使ったら、来年好きなモデルに機種変更すればいい」
と言ってくれた。
それからである。
来たるべき機種変更の瞬間に向けて、携帯電話各機種のリサーチをしまくるようになったのは。
とりあえず1年この機種で我慢して、来年満を持して納得できる機種に変更する。
こうしてN501iとの付き合いが始まった。