夢破れた私が、葬り去っていた野望
今日、自分にとっての原体験にもつながる
大きな気づきがあったので
記録として残したいと思います。
:
学生時代の私の夢は、
ファッションの業界で働くこと、でした。
:
でも、夢だったファッション業界は
あまりにもブラックで、あまりにも苦しくて。
逃げるように退職した、26歳になったばかりの5月。
精神もすりきれ、
お金もほとんどそこをついていた当時。
そんな状況で決めていた唯一のことは
「もう会社勤めはいやだ」、ということ。
そんなネガティブな理由から、
私は独立し、
フリーランスとして生きていく、と決めました。
:
元々ファッション業界でずっと働いていたので
フリーランスとしてできることといえば、
ファッション関係のこと。
:
でも。
お洋服は作れども作れどもお金にならず、
ファッション、それこそお洋服の世界で
自分の名前で生きていくのは
とてつもなくハードルが高く、
むしろ、シンプルに飢え死んでしまう。
一着作っても、時間も生地代もかかって、
スズメの涙程度にしか手元に残らない。
:
「服に、
ファッションに、しがみつくのは
もうやめよう」
それが、その時私が下した決断でした。
:
ファッションが好きで
ファッション業界に入って、
売る側も届ける側も、
そして作る側の中の部分にも携わって、
ファッションというものに夢も希望も自信も
たくさんもらってきた人生だけれども。
そこに居続けることに
精神的にも金銭的にも体力的にも限界を迎え、
心がぽきっと折れてしまいました。
私はファッションに関する業界で生きていくだけの
才能もスキルもないんだ、
と、大きな大きな挫折を感じました。
:
それで心機一転始めたのが
ブライダルのヘッドドレスブランドでした。
これが、今の @maruo_vintage の原型にあたります。
さまざま試行錯誤、紆余曲折、
トライアンドエラーを繰り返し、
現在のヴィンテージの
コスチュームジュエリーブランドになりました。
:
時々、思うんです。
アクセサリーが大好きで始めたわけではい、
このジュエリーブランド業。
ファッションでは全くうまくいかず、
ろくに稼げもせず、歯が立たなかったのに。
アクセサリーに切り替えてから、
ここまで長く続けられ、
法人化し、代官山に店舗も構え、
毎年買い付けにいろんな国へ行き、
社員さんを雇い入れるまでに至ったわけで・・
どうして、
こんなにも長く続けられているんだろう、と
本当に不思議に思うことが度々ありました。
:
長く続けてこられたこと。
もちろん、
その背景には、さまざまな要因があります。
シンプルに、始めた頃に、
時代が追い風になってくれたこと。
お客様に恵まれたこと、
素晴らしい人材に恵まれたこと。
私のあらゆる得意なことが、
たまたまこのブランド運営において、
多角的に発揮されるスタイルだったこと。
「デザインで勝負しても勝てない」
といういい意味での諦めとコンプレックスが、
お客様にちゃんと
「ブランドのストーリーを届ける」ことに
真摯になれたこと。
そして何より。
これが一番大きい、と今日気づいたのですが……
私は、私自身の作ったアクセサリーに、
とんでもない自信を、
自分自身が一番もらっていたからだということ。
そのことに、ようやく
気がついたんです。
:
私は、自分がアクセサリーブランドを始める前、
特にアクセサリーオタクでもなんでもなければ、
アクセサリーをコレクションする、
なんてこともありませんでした。
どちらかというと、服の方が好き。
ファッションに関してはオタクと言えるレベル。
でも、そんな私がアクセサリーブランドを始め、
そして、ここまで続けてこれていたのは。
それは、私が元来、
とても自信がないタイプだったからだ、
ということに思い至ったんです。
:
そもそも私が“ファッション”に魅了されたのは、
身に纏うだけで簡単に自信を纏えるその魔法。
自分で「いけてる」と感じるお洋服を着ているときの
あの高揚感と、万能感。
そして、
自分がいつもよりちょっと強くなっている感覚。
:
私は、
自分の作ったアクセサリーを纏うことで、
当時ファッションからもらっていた自信を、
maruoのアクセサリーに
毎日与えてもらっていたんだ、と
今更ながら気がついたんです。
わたしにとってアクセサリーは
好きとか云々の前に、
纏うことが、自信を纏うことと同義だった。
だから。
これを肌身から離す、なんて選択肢がそもそもないんだ、
とハッとしたんです。
わたしはずっと、
“自信”を求めているんだ……──
:
大きなものばかり作るのも、
目立つデザインを組み合わせるのも、
その方が、私を守ってくれる鎧のようになり、
強さの表れのように感じたからなんだ……
妙な納得感を感じたんです。
自分が作ったアクセサリーが
私に魔法をかけてくれている。
だから、こんなにもずっと、長く。
続けてこれてきているんだ、と。
:
そして、9年目に入り思うんです。
今、もう一度。
ファッションに、
お洋服に、リベンジしてみたいな、
と。
毎週月曜日&火曜日 stand. fm 更新中
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