私自身の、"本当にやりたいこと"を見つける旅へ
数ヶ月前、内省をしていて”わたしの本当にやりたいこと”が見えてくるような出来事がありました。
──途上国で、ものづくりをする
それは、わたしが中学生の頃にはじめて、途上国で生きる少年少女の生活を見た時のイメージが、今もなお強烈に焼き付いていたことがことの始まり。
ずっと忘れてしまっていたのに、そのことがまた、大きなメッセージを伝え始めたように思いました。
──
好きなことを仕事にしているはずなのに、ありがたいほどにたくさんの夢を叶えてきているのに、自分の人生に、いつも見逃せない”モヤモヤとした感覚”、いわゆる違和感、がありました。
目標としていることがこんなにも達成されているのに、「本当にずっと、このままでいいのか」という迷いが拭えない。
そのモヤモヤを克服するために考えた一つの結論は、「自分自身が、とことん成長すること」。
なぜなら人生を楽しむ鍵は、わたしにとって「成長」だと思っていたから。
成長できる場所に身を置き直そうと思ったのが、パリ移住をしようと思ったきっかけでした。
わたしにとって最も難易度の高い場所が、パリだったから、難しいところに住めば成長できるだろうという気持ちが強かったんです。
過去に1年住んだパリは、私の34年間の人生の中で、トップ3に入るくらい、難しくタフで、成長をたくさんできた1年だった。そして、”できないこと”があまりにも多い1年で、積み上げてきた小さな自分の自信を、ガタガタと自分で叩き崩すような1年だった。
だから、またパリに行けば成長できるだろう、と考えたんです。そしてそれはmaruoというブランドの成長にもつながるだろうし、お客様にも喜んでいただけるものづくりをお届けできるだろう、と考えたんです。それが、今年2023年3月のこと。たった、1年前のこと。あの気持ちに全く嘘はありません。
だからこそ思うのは。たった数ヶ月でこんなにも思考は、人生は、目まぐるしく変わるのか、と思うのです。
“違和感” って、本当の自分からの、心からの叫びのメッセージ。
パリに行こう、と決めてから、VISAの取得に取り掛かり始め、そして、それと同時進行で、パリ行きを決めても消えない"違和感"の正体を探るべく、内省や読書を続けました。
あらゆる本を読み漁り、あらゆるワークをして、私は人生で本当にしたいことは何なのか?という問題に真剣に向き合いました。
その中で出会ったのが、「 #スタンフォード式人生デザイン講座 」という一冊の書籍。
この本の中に出てくるワークで、わたしは自分が「本当にやりたいと願っているのに、できていないこと」が炙り出されてきたんです。
皆さんの中にも、自分の人生になんとなく閉塞感を感じる、という方や、「このままでいいのかな」と感じる方がいらっしゃるかもしれません。私もその一人でした。
そして、そのモヤモヤや違和感の理由は、とてもシンプルだったのです。
自分自身の「人間性」と、「大切にしていること」と、「自分の行動」が一致していないときに、人生にモヤモヤするんだそう。それはこの書籍の中でいう、人生に"一貫性がない状態"だという。この3つをイコールで繋げることが、モヤモヤを取り払い、自分の人生を納得感をもって楽しめる基盤となるんだということを学びました。
そこでハッとしたんです。わたしは、自分の大切にしていることと行動が一致していないから、ずっとずっと違和感を感じていたんだ、と。目から鱗が止まりませんでした。
ずっと、途上国で何かしたい、という気持ちがあったのに、それができていないブランド運営を続けていました。募金でも寄付でもなく、彼らと一緒に何かがしたい。そんな想いに気づきなおしたんです。
そして。中学生の頃はクリック募金しかできなかった私も。「今なら、直接現地に行けるじゃないか」「もしかしたら。仕事をつくることだって、今ならできるんじゃないじゃないか」
そんな声が、心から聞こえてきた。
世界がもし100人の村だったら。わたしはたった一人の、大学を出た人間であり、たくさんの人が飢えで苦しむ中、家の中に小銭が落ちているたった一人の人間でもある。
たまたま、こんなにも偶然なラッキーで恵まれた環境にいるのであれば、「私は彼らに何かできるんじゃないか」という感情が芽生え、「途上国へ行こう」と思い立ったのです。
時期が来たんだ、と感じたんです。
──
でも、何から始めていいんだろう。
わからない中で、ひとつだけ、明確に思いついたこと。
それが、
「モロッコのムーレイイドリスに、リナさん @rina_kamochi に会いに行こう」ということでした。
それは、私の知っている方の中で、実際にわたしがやりたいと願うことを、実際になさっている方がだったから。
登りたい山を見つけたら、山を登ったことのない方ではなく、もう登ったことのある方に教えを乞う。それが私の中の大切な教えのひとつ。
リナさんは、現地の美しいものづくりを、現地の女性たちと行ない、現地の雇用を創出し、その素晴らしい品々を日本に届ける。そんな素敵なエシカル刺繍ブランド @dar50350 をなさっています。
“わたしのやりたいこと”をリアルに実践なさっている方がリナさんで、
私はリナさんが拠点を置くムーレイイドリスにいって、美しいものづくりの裏側にいる方々に直接お会いしたい、会いに行かなきゃ。半ば確信めいたものを感じました。
彼らがどんな方々で、どんな生活をし、どんな環境で、どんな想いでなさっているのか。
リナさんと、そして一緒に働く女性たちに会いに、日本から30時間近い時間をかけて。
ムーレイイドリスに行ってきました。
──
ムーレイイドリスでの2日間の体験は、一言では筆舌に尽くしがたい、でも確かに、確実に、間違いなく。私の人生を大きく変えるであろう節目となる2日間になりました。
惜しみなくリナさんが見せてくださった現地のリアルは、
私の持っている概念の斜め上をいくものばかりでした。
2日間、みっちりと時間をかけてたくさんの方にお会いし、アラビア語でカラフルな感情と共にお話しするリナさんや現地の方々から、本当にたくさんのことを学ばせていただきました。
人生の教えになるような美しい言葉たちや、美しい価値観。私の内側の引き出しに、次々とたくさんの新しい概念が埋まってゆく。そのことを消化するのに、自分の理解に落とし込むのに、味わい直すのに、数日という時間がかかり、それまで何も投稿ができないでいました。
自分がいままで、いかに自分のためだけに生きてきてしまっていたか。
本当の豊かさとは。暖かさ。人々の優しさ。
深いつながりを作ることの力強さ。偉大さ。
当たり前だけれど忘れてしまう、豊かさをつくるのはお金じゃない、ということ。今を味わうこと。
突発的な「リナさんに会いにムーレイイドリスに行きたいです!」という希望を、温かく迎え入れてくださったリナさん。
見ず知らずのわたしを、ふわふわのタオルで包むように迎え入れてくれたムーレイイドリスの方々。
こんなにも心が豊かな人たちが存在するのか。こんなに美しく、あたたかい生き方が、人生が。存在するのか。
感情がこんなにも揺さぶられ、こんなにも何度も涙を流した2日間はありません。
帰り際、ムーレイイドリスからフェズに向かうタクシーの中、ずっとずっと、涙が止まりませんでした。
素晴らしい出会いへの感謝と、新しい未来への希望と、これまでの道のりの幸運と、これからの軌跡の励ましのような。
そんなさまざまなものが入り混じった内側からの喜びの涙は、止めようとしてもあとからあとから、たくさん溢れて止まりませんでした。
──
自分の歩むべき運命に、私を求めてくださる場所へ進むことに、やっと、出逢い直したような。本当の私に還り、大きな何かに導かれたことを、スタートをさせるような。
そんな神秘的な体験をした旅でもありました。
ムーレイイドリスで、形あるものないもの、たくさんの体温のこもった素晴らしいものをいただき
この素晴らしいたくさんの出逢いをくださったリナさんに、心からの感謝をお伝えしたいです。
新しく進みたい道が、少しずつ見えてきました。
──
ムーレイイドリスに実際にいき、現地の心の豊かな方々との時間を過ごす中で、気づいた大きなこと。
それが、自分のとんでもない傲慢な感覚と、烏滸がましさ。
「途上国で何か(貢献)したい」という発想が、いかに自分本位であるかということ。現地にいって私の感覚は180度翻って、むしろ彼らに私の人生の希望をいただく大きな、大切なきっかけとなったんです。
もともとは「 ”途上国“でものづくりがしたい」とか、「何か(恵まれない環境にある人たちに)貢献したい」、みたいなわたしの傲慢な気持ちがきっかけで、学びを得るべく今回ムーレイイドリスへ訪れたのですが・・・
そこで見た景色、生き方、世界は、私の日本でのそれらとは全く異なるものでした。
実際に彼らのあまりにも心が豊かな生活をみて、私が何かする、なんてとんでもなく烏滸がましいことだと痛感したんです。
自分の心の貧しさに直面せずにはいられなかった。
わたしの方がむしろみなさんから、たくさんたくさん人生の学びを得させてもらいました。こんなにも豊かな美しい暮らしがあるのか。
日本でせかせかと生き、見えない何かに向かって努力して走り続け、
”より多く”、”より遠く”が良しとされる社会で数字を追いかけ続け、
仕事にばかり追われ翻弄される日々。
そんな空虚を彷徨っていた私に、人として本来大切にすべきものたちを、リナさんを通してムーレイイドリスの皆さんに見せていただいたんです。
誰かと比べるのではなく、何かを得ることに必死になるのでもなく。
あるものを分かち合って、時間をともに過ごす。
ないものではなく、あるものに感謝をする。
自分のためだけに、ではなく、”一緒に”わかちあって喜びを共有する。
こうして言葉にすると、なんとありがちな言葉になるんだろう、と悔しくなる。
でも、頭ではわかっていたことが、今回、心の奥底から手触りのあるものとして知ることができたんです。
これは、私の人生にとって本当におおきなことだった。
だからこそ。人生を変えるような旅になったんです。
日本という、もっといえば、自分の周りに見えている世界が全てだと思っていたけれど、
それは全くのうそだった。
世界はこんなにも広く、こんなにも美しく豊かで、希望にあふれた生活を送る人々がいる。
見えないもの、知らないものは、知らなければ存在していないものになってしまう。
今いる世界が全てだと思っていました。
でも、違った。知ってしまった。知ることができた。
こんなふうに生きたい、と心の底から思ったんです。
そして。そんな彼らの姿に心底、救われている自分に気づきました。
「何かしたい」という気持ちは、とっても傲慢な発想だとやっと気づいたんです。
彼らはわたしよりもずっとずっと、豊かだ。
リナさんに見せていただいた美しい希望の世界に、わたしは生きる活力をいただいて、人生で初めて「もっと生きたい」と思えたんです。
わたしは、途上国でものづくり云々以前に、わたしの生きる希望を探してたんだ、と帰国してようやく気がつきました。
だからこそ、こんなにも素敵な人たちと暮らしと世界があることを知れたのが本当に嬉しくて。
わたしもこんなふうに、リナさんみたいに生きたいし、誰かとこんな関係を作って生きていきたい、わたしが本当にやりたいのは、これなんだ、見つけられた、と思ったからこそ。ムーレイイドリスから旅立つあの日、タクシーの中であんなにも涙が止まらなかったんだ……と今になってようやくわかったんです。
心の豊かな方々に、私も人として、少しでも近づきたい。もっと豊かな心を持って生きたい。だから、そんな彼らと一緒にものづくりをして、そういう温かい希望の輪を少しずつ広げていきたいんだと。ストンと気付けたんです。
リナさんがなさっているエシカル刺繍ブランドDAR AMAL (ダールアマル) @dar50350 は、アラビア語で、希望の家。
わたしは文字通りその”希望の家”で、明日への希望と、生きる希望を見つけることができた。
「今いる世界が全てではない」、とリナさんがおっしゃってた言葉が本当に、実際にムーレイイドリスに行ったからこそ実感を持って本当に納得します。
数年前から葛藤していた頃のわたしに、
生きててもいい理由を探し続けていたあの時の自分に伝えたい。
そして、今、もがいているあなたにも伝えたい。
世界を見て、と。
今見えている世界が、すべてじゃない。
──
ムーレイイドリスで2日間を過ごし、マラケシュに向かう出発の朝、リナさん @rina_kamochi が別れ際に、お手紙とお守りのタッセルと、そして1冊の書籍をくださいました。
その本は、「アルケミスト」。
リナさんと一緒に滞在させていただく中で、何度かアルケミストのお話になりました。
この本、私も6年ほど前に一度読んでいるのですが、ほとんど内容を忘れてしまっていて。
自分の読書記録を見ると、相当に感銘を受けている書籍であることには間違いない。
ただ、リナさんがお話されるアルケミストの内容を聞いても「あれ、全然覚えてない・・・」と、ほとんど内容を忘れてしまっているらしいことに気づいたんです。お恥ずかしい・・・
でも、どうも、これはこのタイミングで再読した方がよさそうだ、とお話の中で強く感じていて、ムーレイイドリスを発ったらすぐに読み始めよう、と思っていたんです。
その流れでの、リナさんからの思わぬプレゼント。
しかも、大切な紙の書籍。
言葉になりませんでした。
ムーレイイドリスからマラケシュに飛び、濃密な時間を経たあとの一人の時間。
数日余裕があったので、ゆっくりと腰を据えてこの本を読もうと、滞在先のリヤドに引きこもって読みました。
共有スペースの、小さなプールサイドにある日陰のモロカンソファーに寝っ転がりながら、42度近い外気の中で、一歩もリヤドの外に出ず没頭して読みました。
本って本当に不思議なもので。
読むべき本というのは、読むべき人のところへ、読むべきタイミングで巡ってくるものなんだなあ、と改めて思わされます。
ページをめくるごとに、言いようのない感覚に包まれ、手が止まり、思いを巡らせる必要がある。
それくらい、今の心に刺さる文章があまりにも多く、まさに今の自分のために書かれたかのような本で、「ここに全てが書かれている・・・」と思わざるを得ない感覚。
このタイミングで、私にこの本を授けてくださったリナさん。感謝という言葉では済まされないほどです。本当に。ありがとうございます。
導かれている、としか思えない内容でした。
少し読んでは天を仰ぎ、プールサイドにやってきた小鳥たちのさえずりをBGMに、風で揺れる熱帯の植物の葉っぱをぼうっと眺め、文章の意味を咀嚼する。
この本と、ムーレイイドリスでの時間、そして今の私と。あまりにもシンクロしすぎていて、こんなことってあるのか、と呆然とする。
過去に読んだことがあったはずなのに。もうすっかり忘れてしまっていました。
結末も全く覚えていなくて、わたし自身へ語りかけてくれているかのようなこの本を、とてもとても新鮮な気持ちで、丁寧に丁寧に読み進めました。
リナさんからいただいた紙のアルケミストに、鉛筆で線をひきながら、特に大事だと思う部分には丸い印をつけて、何度も見返したい部分はきちんと折り目をつけた。
そんなふうに丁寧に読んでいると、受験時代みたいだ、と思い出して可笑しくなる。もっと言えば、あの時よりも真剣だ。ちゃんと学びたいから一文一文溢さずに読んだ。こんなことをするのは村上春樹さんの本と、アルケミストくらい。そんな贅沢な休日を過ごし、読み終えたアルケミスト。
アルケミスト。
宝物を探しに少年が旅に出るお話。
夢を見て、自分の運命に気づき、心の声に素直に耳をすませ、前兆を見逃さず、前兆にしたがって進むこと。
そうすれば、すべてのことが、あなたに力をかしてくれる。
その自分の運命を生き、強く実現しようと願い行動するとき、あなたはあなただけの宝物を見つけることができる。
運命とは、自分が、ずっとやりたいと思っていること。でも、いろいろな理由で隠れて見えなくなっていたもの。
この本を読んで、わたしは今、ようやく”運命”を見つけたんだ、と。ストンと納得したんです。
このアルケミストを読んだことで、「なんだかすごい体験をしてしまった気がする」というムーレイイドリスでの言葉にならない時間は、なるほど、それは私が見つけた運命を生きる、その大切な旅のはじまりの日だったからなんだ、とハッとしたんです。ああ、だからこんなにも揺り動かされたんだと。
そして、そうして整理できると、全身が痺れるような感覚に包まれました。
アルケミスト。
少し前までのわたしのように、人生に彷徨うあなたにぜひ読んで欲しい。
この世界には、あなただけの宝物が必ずあるし、あなたを求めている場所が、世界が、必ずあると、背中を押してくれる。そんな本。
私が想像もできないような未来を作るために。
人生は、たった一度。
心の声に従って、進んでそれでうまくいかなくたって、「やりたかったことをやった!」という素晴らしい経験が残る。それは何にも変え難い財産。そういったものを、築いていきたい。
──
今日もお読みくださりありがとうございます。
時間がかかってもいいから、温かいものづくりを届けていきたい。
ということで……
この旅の記録も、ここでひと段落です。
長い文章にお付き合い下さいました皆さま、本当にありがとうございます。
今感じていること、考えていることは、今の自分だけが持てる新鮮な感覚。二度と出会えない今の自分を記録していく意味でも、このような記録を残して行きたいと思います。
暖かいコメントをくださった皆様、反応くださった皆様。本当にありがとうございます。本当に本当に、新しい道を歩む上での、大きな活力になっています。
maruoが見る景色を、旅を。これを読んでくださったあなたと共に歩めましたら、幸いです
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私がリナさんとムーレイイドリスで体験したことを、リナさん視点からの言葉でお話なさっていて、それがすごく素敵で、新鮮で、面白くて、みなさんにとっても温かい気持ちになれるものがあると思うんです。
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