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戦争からの復興〜トゥアス港自動化CT、そして日本は。

第二次世界大戦は世界的な規模の大惨劇であり、シンガポールも例外なくその影響を受けました。
1942年2月15日から1945年9月12日まで日本の占領下におかれていたシンガポールでは、50,000人を超える人々が犠牲になったと言われています。

ビーチ・ロードのパダンの東に位置するウォー・メモリアル(市民戦没者記念碑)は、第二次世界大戦の民間人犠牲者を追悼し、シンガポールの4つの民族(マレー系、中華系、インド系、ユーラシアン)の団結を記念するものです。シンガポール初代首相リー・クアンユーにより除幕式が行われたのが1967年2月15日であり、この記念碑は2013年にナショナル・モニュメントに指定されています。シンガポール建国の父といわれるリー・クアンユーの独立時の演説が聞け、シンガポールの歴史が学べるシンガポール国立博物館。

Xユーザーの河野太郎さん: 「シンガポールのトュアス港の全自動クレーンと全自動運搬車の視察とリー・クアンユー記念館。 https://t.co/TktcYGSYnU」 / X (twitter.com)

河野太郎デジタル大臣は、リー・クアンユー記念館と言われてますがお写真は国立博物館でしょうか。素敵な階段ですね。トゥアス港の視察もされたということで非常に興味深いです。

トゥアス港は、シンガポール海事港湾庁が次世代港湾として位置づけており、シンガポール港西部で開発が進められています。国内5カ所にコンテナターミナルがありますが、最終的には全ての港の機能をトゥアス港に集約する計画です。トゥアス港が注目を集めている点は、AIや自動ロボティクスを活用した移動車両やクレーン、ドローンなど完全自動化された世界最大のコンテナターミナルであることに他なりません。

2015年から開始された第一期工事はすでに完了し、2022年9月1日より正式開港しています。トゥアス港は4段階で開発し、2040年代の最終完成時には世界最大級の完全自動化コンテナターミナルとなる見通しであり、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出ゼロ(ネットゼロ)を目指しています。

2023年のResearch Nester Inc.による、「自動コンテナターミナル 市場」に関する調査では、自動コンテナターミナル市場の規模は2025年に約110億米ドルと記録され、2036年までに市場の収益は約210億米ドルに達すると予測されています。

また、自動化別の全自動セグメントは、2036 年に約 60% までの最大の市場シェアを獲得すると推定されています。現在、アメリカの商業港 360 港のうち、4~ 5港に完全自動ターミナルが設置。 開発の進展により、この数は今後数年でさらに増加すると推定。

他にもロッテルダム港のECT Deltaターミナル・ECT Euromaxターミナル・APMTMaasvlakte2ターミナル、ロンドン港、バルセロナ港など世界中に自動コンテナターミナルの流れは広まっています。
自動化の導入の目的は、●効率性・生産性の向上(1時間当たりの処理能力の向上、省力化) ●安定性の向上(自然環境に左右されない安定した荷役能力の実現) ●安全性の向上(無人化/遠隔化による死傷事故の削減、有人/無人エリアの分離) ●労働環境改善(無人化/遠隔化による死傷事故の削減、有人/無人エリアの分離) ●環境負荷軽減(電動作業車の採用や無駄を排した作業パターンによりCO2排出を抑制)、と整理できます。

いずれも顧客である船社 にとってのメリット(定時出港)を念頭に置いた、 効率性・生産性の向上や安定性の向上を一義的な 目的と位置付けているようです。例えば、安定性の向上の具体例として、ある自動化ターミナルでは、近隣の従来ターミナルでは風速 が16~18m/sになると作業を中止しましたが、自動化ターミナルでは、機械のオペレーターの安全確保 のためのマージンが不要なため、風速25m/sまで作業可能となったそうです。

また、濃霧に見舞われた日であっても自動化ターミナルでは通常通りの荷役を行われているとのこと。自動化されることでのメリットは大きく、初期投資が巨額であるにも関わらず自動化コンテナターミナルは増えています。
運搬業界も、生き残りをかけた生存競争での切り札としているのかもしれません。

では、日本における自動化コンテナターミナルの現場はというと、残念ながら遅れています。国土交通省が2030年までの実現を目指す「AIターミナル」構想はあるものの、2023年段階でガイドラインが作られた程度。

唯一、名古屋港が「自働化ターミナル」として稼働。名古屋港では、リアルタイムに港の状況を把握しながら、保管エリアは自動運転、荷役エリアは手動遠隔運転と切り替えて運用。

これは国内で陸送するトラック・トレーラーの情報がアナログに処理をされており、港から出る際のゲート処理では、搬出入票を提示、それをスキャンして担当者が照合・一部情報を入力する必要があり、自動化ができていないからです。

「AIターミナル」構想では、ゲート処理もカードのタッチのみで通過可能にするそうなので、アナログな部分を完全にデジタル化できれば、「自働化」ではなく「自動化」にできるでしょう。

改めて見てみると、日本の遅れは大きいと感じます。先進的な技術が氾濫していても、それを実用化するには国家レベルでの努力が必要です。
河野太郎デジタル大臣は、今回の視察で何を掴み、日本の将来にどのように活かしていくのか、今後の展開を期待して見守りたいと思います。

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