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学生のプレゼンテーションスキルをどう上げるか

また投稿が滞ってしまいました。昨年のセメスター2の後半は、怒涛のような毎日でした。その怒涛のような毎日に、学生のプレゼンテーションの採点を多くこなしておりました。

そして、いよいよ今年も新学期が始まります。今週は当大学は新歓行事で賑やかです(上の写真)。

大学でよく出される課題のひとつに、プレゼンテーションがあります。これは、社会に出て最も大切なスキルのひとつだからです。プレゼンは、練習によって磨かれるもので、急に上手くできるようになるわけではありません。私も大学の教員を19年やっていますが、初めて教壇に立った時は、何を言っていいのかわからず、クリアに話せていなかったように思います。プレゼンテーション力を学生のうちから磨いていただくために、私の講義では、プレゼンテーションを重要な課題と位置付けています。5分、15分、20分と長さは科目によって違っても、求められるものは基本的には同じです。

私のプレゼンテーション課題の採点基準は大体以下のようなものです(科目によって重視する点は異なりますが)。

- An ability to critically analyse information - 30%
- A clear understanding of the key trends and factors - 30%
- A good expression and discussion skills -30%.
- Engagement with audience - 10%

これらを達成するためのTIPSをシェアしたいと思います。


1. まずはきちんと文献をあたってレビューをする。データを入手して分析する。

たいていの課題は、単に文献で得た知識をまとめるだけではなく、自分で分析をすることが求められます。この際データは信頼できるソースから取ること、分析方法も統計処理や定性的データの分析など色々な方法がありますが、分析の目的に合った方法を求められます。尚、生成AIの使用には大体どこの大学でも厳重な規則がありますから、必ず注意深くチェックしなければいけません。

2. 分析結果やまとめた内容をプレゼン用のフォーマットに整理する。

ここでPPTなどのプレゼン用のファイルを作ります。注意しなければならないのは、1枚のスライドに多くの情報を詰め込みすぎない事です。あまり多くの情報を詰め込みすぎると何を最も伝えたいのかが聴衆には分かりにくくなります。目安は1スライド辺り1分で説明できる量です。また、学生がよくやりがちなのですが、プレゼンの「セリフ」をそのままスライドに書かないこと。図や表をどこかから引用するときは、必ずソースを明記する事。

3. 見直す。

毎回思うのですが、「絶対見直してないよね」というものをそのままプレゼンの本番に使う学生が非常に多いです。全体の流れはこれで良いか、欠けている情報はないか、また一つの事に偏りすぎていないかをみます。また誤字・脱字も必ずチェックしてください。

4. 練習する。

練習をしない学生も非常に多いです。実際に自分が作ったプレゼン資料を使って声に出して練習をしてみると、「あれ、このスライドはもっと後に来た方が流れが良いかも」とか、「これを付け加えた方が良いかも」、「この情報は必要ないかも」など、見ただけでは気づかなかった点に気付きます。また、自分のプレゼンが限られた時間内に収まるかどうか、あるいは、短かすぎるかもチェックができます。練習は何回でもしてください。そして、できればご家族や友人に見てもらって、建設的なフィードバックをもらってください。練習はプレゼンがうまくなるためにするのではなく、「自分に自信をつける」ためにするのです。「これだけやったから本番もきっと上手くいく」と思えることはとても大事です。逆に、練習もせず、自信がない学生は、それがそのまま本番のプレゼンに表れます。

5.そして本番:原稿を読まない。

学生がする一番大きなミステイクです。大抵の学生が原稿を読んで、それが故にプレゼンテーションを台無しにしています。この「原稿を読む」行為の一番の問題点は、プレゼンに慣れていない人ほど原稿を読むことに集中してしまうことにあります。プレゼンは目の前の聴衆に伝わらないと全く意味がありません。(*そして、留学生に多いのが、原稿を読むと、彼らの母国語のアクセントがキツく出てしまうことです。何故かはわかりませんが・・・)

原稿を読むことに集中する行為は、聴衆を無視した行為と考えてください。どんなに「自分が」上手く、一字一句間違えずに「読めた」としても、聴衆に伝わっていないと意味がありません。プレゼンをする時、原稿を見ないのでは、どこを見て良いのかわからないという学生もいますが、PPTを指しながら、時々聴衆の方を振り向くのが一番自然で良いです。PPTのスクリーンだけを見る、あるいは聴衆だけを見る、というのもちょっと不自然ですよね。私は講義中に何度も注意していますが、それでも原稿を棒読みにする学生が毎回何人かいます。原稿を全部覚えなくても良いように、PPTを用意するのです。少々何かを言い忘れたり、間違っても、気にせずにプレゼンを続けてください。あなたが何を言おうと思っていたかなんて、あなたしか知らないのですから。もう一度、言いますが、原稿を読んだ時点でプレゼンの質は台無し(半減あるいはそれ以上)だと思ってください。良いプレゼンをしたいなら、原稿は読まない事です。実際に、私の評点は「原稿を上手く(と本人が思っている)読んだ」学生よりも、途中で詰まったり、止まったりしても、原稿を見ずに聴衆に向かって自分の考えを伝えようとした学生の方が高いです。4.にも書きましたが、自分が自信を持てるまで練習をしてください。

以上、プレゼンテーションTIPS(*注:大学生の課題向け)を書きましたが、最初からプレゼンが上手な人なんていません。皆さん、練習をして、失敗をして、段々と上手くなっていくのです。学生の時の課題のプレゼンは、社会に出た時のための練習だと思ってください。どんな企業や団体に入っても、かなり高い確率でプレゼンテーション力を求められることがあります。そう思えば、決して無駄な努力だとは感じないはずです。頑張ってください!


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