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10月25日に、政府の新予算が発表されました。オーストラリアの会計年度は7月から6月までで、通常ですと毎年5月に予算が発表されます。しかし今年は選挙があり、政権が変わってしまいましたので、今の時期に新しい予算が発表となりました。

予算発表は、伝統的に、政権のTreasurer (財務大臣にあたる)が、国会の議長に対してと言う形で、予算発表の週の火曜日に国会で演説を行います(↑にの写真は私撮影のオーストラリアの国会議事堂です)。そしてその日に予算の詳しい内容がTreasurerのウェブサイトなどを通して発表になります。

その後、木曜日に野党第1党の党首が演説を行います。予算に関して批判したり、新たな提案を行ったり、また同意する点を述べます。

Tresurerの演説もこちらから入手できます。

演説のおおまかな構造としては、まず初めに政権のビジョン、その後経済の概観が続きます。今年は、特にラニーニャ現象のためにオーストラリアの各地で大雨・洪水の被害がありましたのでそれに関するサマリーも経済の概観の後に述べられました。そして今エネルギーコストが非常に高くなっておりますので、それに関しても触れられました*。

その後、各項目ごとにいくら予算がついているかとその理由が述べられます。

5月の選挙までの前政権では、ビジネスに重きが置かれましたので、教育及び研究機関に対する予算は、大幅に削られてきました。現政権では、もちろん公約の目玉であった、Climate Changeに関する予算が多くなる事は予想通りですが、教育・研究に関しても、今後かなり考慮がなされることが期待されます。

今回の予算で、特に教育分野の、大学に関することでは、経済的、文化的に不利な状況にある家庭から大学に進学する学生20,000人に対して支援がなされることになりました。その予算4億8500万ドルです。
以下は演説の引用です。この20,000人には、アボリジニの家庭や、貧困家庭からの学生を含みます。

‘And we will invest $485 million to create 20,000 new university places over the next two years for students from disadvantaged backgrounds –

Because no Australian should be denied – by poverty, by postcode, or by lack of privilege – their chance at a better future.’

オーストラリアは、継続的にこうした学生への支援を行ってきました。
「つまり国民全体の知的レベルを底上げする。」ということです。

オーストラリアは、資源が豊富ですので、まだまだ資源を外国に売って対価を得ると言う経済モデルを保ちつつあります。しかし、これがいつまでも続くわけではありません。国民全体の知識レベルを底上げして、科学技術を発展させること、これが大きな課題であることに変わりはありません。

今回の予算は、教育に関してはこれ以上の発表はありませんでしたが、今後研究などに投資がなされることを期待しています。また、今回の予算による奨学金で来年進学してくる学生と共に勉学に励むことを楽しみにしています。

*この演説の構成は、英語のスピーチの典型例ですので、これを見るだけでもプレゼンの参考になります。


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