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コンプレックスへの考察、わたしがダンサーを愛する理由

わたしの大好物といえば、最前列でバレエやコンテンポラリーダンスを観ること。映画と同様、最前列だと首が痛いし、特にダンスの場合、振り付けの全体像が見渡せないという欠点はある。だけど、それでも最前列で観たいのは、ダンサーの息づかいや筋肉の動き、時には汗の飛び散る様子を一瞬でも見逃したくないからだ。
わたしがそうまでしてダンサーを愛する理由がある。それはただ単純に、彼らの肉体美を間近で拝んでニヤニヤしていたいだけなわけじゃない。

わたしは、十代の成長期に拒食症をわずらった。三年ほどかかって、身体的には“普通”といわれる体型に戻ったけど、そのころからずっと自分の身体と向き合って、理想の体型とは?という自問自答を繰り返してきた。
痩せすぎてガリガリだった時は、誰が見ても不健康なのに、そんな自分の体型がけっこう気に入っていて(完全に正常な判断を失っている)、縛られたルールの中でしか食べるという行為を楽しめなかった。

前回の投稿で、
別視点からの拒食症克服から自分を受け入れるまでのお話。

日本にいたときは、痩せている=イケているみたいな、右ならえの思い込みみたいなのからどうしても抜け出せなかった。けど、ヨーロッパに来て、体型は本当に人それぞれで、個性であるということを認識できるようになった。
それから、五年前にヨガに出会った。その時から、自分の身体と以前とは違う角度から向き合うことが出来るようになった。
ヨガをとおして、わたしの身体にはどんなアビリティがあって、どこに筋肉が足りなくて、何が出来て、何が出来ないのかを理解していく上で、自分の身体のことを、本当の意味で好きになってきた。痩せすぎて不安定な身体つきより、しなやかで強靭な身体に憧れるようになった。姿勢が良くなって、筋肉量も増えたから、食生活をめいっぱいエンジョイしても、体重の増減が一定になってきた。
これまでずっとツイストされていた自分の身体への意識が、絡まっていた糸がほぐれて、やっと直結したような気がした。

この一連の意識の変化が、ダンサーの方たちの身体との向き合い方にリンクしたんだと思う。
彼らはプロフェッショナルとして、自分の身体を熟知している。コンプレックを自分のキャラクターに変えているダンサーもいる。
これだけ自分(心)と身体が直結に繋がっている人たちって、単純に美しいと思った。

鍛え上げられた身体と心から発せられるムーブメントは、一瞬も見逃したくないほど、ただただ美しい。毎日ひたすら心と身体を繋ぐ作業をしている、その繰り返しがよりしなやかで強靭な心身を作り上げる。

わたしの永遠のミューズ、フランス人ダンサーで既に現役を引退したシルヴィギエムは、
「いろいろなことを体験させてくれた自分の身体に、毎日感謝しています。」
と言っていた。

わたしの愛するダンサーはみんな、
自分の身体に自信を持ち、
自分自身を愛している人たち。
そしてその自信を持ち続けるために、
常に多大な努力をしている人たち。
その姿を舞台で見せてくれることによって、
考えをシェアしてくれることによって、
わたしはいつも勇気をもらうし、
魂の美しさに感動する。


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