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オールタイムベストアルバム①【メロキュア】

 オールタイムベストアルバムといってもまさか10枚、30枚なんて選べるはずもなく、せいぜい僕に選べるのは4枚ほどで、しかもその4枚の中でランキングなんか付けることができない。音ゲーの最高難易度みたいな? 譜面定数すら付けられないような? それはともかく、この4枚のほかに並べられるものがないわけです。
 まず1枚目を紹介します。

メロディック・ハード・キュア

 岡崎律子・日向めぐみによるユニット、メロキュアによる2004年のアルバム。2004年版では16曲1時間8分、2014年版では28曲2時間3分。

 まず、タイトルのメロディック・ハード・キュアっていうのが素晴らしい。メロディック・ハードコアのもじりなんだろうけど、プリキュアみたいな可愛らしさがまじってすごい回復させてくれそう。
 二人が背中合わせのアルバムジャケットもいい。この時代のポップソングは一人で歌っている印象が強いからデュエットは珍しいのかも?

岡崎律子

 美しく優しいウィスパーボイスと類稀な作曲センスの持ち主。最初はメロキュアのプロデューサーを務めるつもりらしかったのだが、メンバーが見つからず結局歌うことになったそう。個人的には岡崎律子に歌ってもらわないと困る。その上、ウィスパーボイスでのコーラスがあまりにも映える。彼女が亡くなる前のほんの二か月前にこのアルバムは発売された。

日向めぐみ

 自分の中ではカードキャプターさくらの「Catch You Catch Me」を歌った人のイメージ。「空色デイズ」とか「恋愛サーキュレーション」なんかの歌詞も書いている。岡崎律子亡き後もメロキュアを一人で続けていて、アニサマ2015でメロキュアとして初出演を果たし、同年メロキュア全楽曲をまとめたメロディック・スーパー・ハード・キュアをリリースしている。

円盤皇女ワるきゅーレ

 本アルバム収録のメロキュア代表曲「Agape」は2019年の平成アニソン大賞の大賞・特別賞を受賞した。円盤皇女ワるきゅーレというアニメの挿入歌である。僕は曲から入ってこのアニメを全部見てしまったが、挿入歌として流れるシーンに感動したのを覚えている。
 このアニメ、面白かったんだけどどうも前後に見たまほろまてぃっくと感じが似ていて混同してしまいがち。
 二期OPの「めぐり逢い」も岡崎律子の作曲だが、この少し壊れた感じが僕にはたまらない。彼女の作曲でラブひなのOP「サクラサク」というのがあるが(林原めぐみ歌)、こちらもイントロからぶっ壊れている。

キミの生活の一部になりたい。

(上記はアルバムのキャッチコピー)

 岡崎律子の作詞には「愛」と「生」の二つのテーマがあると思っている。彼女はどうしてこうもこんなに愛を歌うことができるのか。日向めぐみの歌詞も好きだ。「ふたりのせかい」での口語的な可愛らしい歌詞なんか特に。
 でも岡崎律子の歌詞はまず愛を歌う。生活の一部に溶け込ませるように愛を歌う。

大事に思うよ 続けていこうと
情熱のあと 思った
木枯らしの舗道を 花の咲く春を
幾度 二人で歩こう

メロキュア - 木枯らしの舗道を 花の咲く春を

 「二人」っていうのだってそれは恋人でなくても構わない。兄弟だったり両親だったり友達だったりするだろう。これこそ聞く人すべてに向けられたアガペー(無償の愛)ではないか?

どこにいたって聞こえる
君がくれるAgape

メロキュア - Agape

 どこにいたって聞こえるのは岡崎律子のアガペーなのだと僕はずっと思っている。亡くなってもなお世界に発信され、いつまでも歌の中に残り続ける愛。

笑わないで聞いてね 無限を信じてる
誰かのココロ深く 何か 残したいんだ

メロキュア - Pop Step Jump!

 さて、まず1枚目を紹介したわけだが、僕は古今東西のクラシックやジャズからロック、ソウル、エレクトロニカ、アヴァンギャルドな音楽まで聞いてきたし、もちろんビートルズやレディオヘッドやマイルスやコルトレーンやショパンやバッハだって好きだけど、こういう時にアニソンのアルバムを僕は惜しげもなく提出できる。だって好きなんだから別にいいだろう。それに、ジョン・レノンが歌う愛よりもこっちの愛の方が僕には信じられるように思えるのだ。


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