「恋も知らないで」あとがき
「漂流」を経て、次に何を書こうかとなったとき。
最も自分が得意なものはなんだろうと振り返りました。
挑戦はした!次は、得意を伸ばしてみよう!ということです。
そして「ラブコメ」というのが浮かびました。
暴走して、転んで、すれ違って・・・そんな男女の恋愛がやりたいと思い「恋も知らないで」は生まれました。
振り返ってみます!
昭夫の誕生
(phot byイワタナオ)
登場シーンからヤバイ男です。好きな人の職場に不法侵入したまま居眠り…というころから物語はスタートします。昭夫のストーカー気質は書いててたまらなかったですね。こんなやついないだろってなりますけど、要素はみんな1ミリくらい持ってるはずです。私は0・5リットルくらい持ってます(爆)
大村は、好きな人に会ったあと必ず日記をつけて心を整理する人です。一緒にいる時間が嬉しくて尊くて、相手には絶対読ませられないような暴走日記を書きます(根暗でしょうか)。オープニングでモノローグが爆走してる昭夫くんのような人が私の中にはいまして(アキコ?)。
「恋知ら」ではそいつを外に出してやろうと思ったんです。
あとは、THE主演!という人を、HitoYasuMi以外の人にやってもらったらどうなるんだろうというワクワクと、男性が主人公の話を書きたい!ということもあり、昭夫が生まれました。
主演を務めてくれた市川大貴くんは、最高でしたね。清潔感と気持ち悪さの交わった魅力。これを見事に表現してくれました。(ご本人は気持ち悪くないです。とても爽やかな好青年です)
実際に便利屋さんで働いてみました。
知り合いが働いていたので、どんなもんかと興味はあったんですが。
物語を書くのに、多分一回働いてみないとわからない…と思い登録。
そう、私が行ったところは登録制みたいな場所でした。派遣のスタイルというのがちょっと肌に合わなくて2回くらいで辞めてしまいましたが。でも勉強になりましたね。「今日のクライアントさん、気をつけたほうがいいわよ」なんて言われてすぐクライアントさんと二人きりになってしまったりとか(おばあちゃんと倉庫の整理をするというお仕事でした)本当に人の役に立ちたいと思う人が働いてるんだろうなというのも感じました。普通に飲食店や販売店に臨時スタッフとして配属されることもありましたが。
オフィスチェルシーみたいな、少人数でワイワイやってる便利屋さんがあったら楽しそうですね。
賑やかなキャラクターたち
チェルシーには女性スタッフが四人。男性オーナーが一人。そこへ昭夫くんが新人として入ります。
今回はとにかく当て書きの要素が強かったですね。半分くらい書いてる時にキャストが決まって、それからそのキャストに合わせて書き直したりしました。素敵な個性を持ったキャストさんが出演してくれたので、当て書きはとても楽しかったですね。
百合香…飯坂泰子の女が見たい!と思って書きました、あざといくらい肉食女子です。それでいて仕事できる感じなのが格好いいですよね。実はとても面倒見が良くて優しい女性だと思います。ハイライトは、昭夫と事務所で二人きりになる夜のシーンです。
久美子…オタク系女子です。オタっこちゃんです。自分の好きな漫画についてたくさん語るというシーンが書けなくて残念。漂流の時と真逆の役が、大村はやりたいなと思って書きました。賑やかしです。最後に神山とくっつくというのが気に入ってます!
神山…昭夫をビビらせる存在が必要!と考えたキャラクターです。全然怖くないんですけどね。彼もまた、みはるに恋する男の一人。健気にUFOキャッチャーをしにゲーセンに通います。職業は弁護士。ギャップです。最初仲が悪かった久美子と最後にくっつくのはお気に入りです。どうやって仲良くなったんでしょうね。
みはる…女の嫌なところを凝縮させたいと思って作ったキャラクターです。演じた田中愛実ちゃんが天使のような女優さんで、嫌な女のはずなのにとても愛せるキャラクターでした。欲しいものは欲しい、嫌いなものは嫌い。女友達は少なさそうですが一本筋の通ったキャラクターです。
桃園…便利屋さんの特集番組を見てる時に、女装家さんのお話をやっていて。センシティブな問題にもなっていくとは思ったんですが描きたかったキャラクターです。というのも、彼を演じてくれた松浦康太くんの色気!これを乗っけるに中性的な役が合うんじゃないかと思ったのでした。
このキャラクターに関しては色々な感じ方があるんだなと感じました…。学生の頃から私の周りにはLGBTの友人がいたのでなにも思わないのですが、桃園が女の格好をするというシーンで本番時に爆笑が起こった時…複雑な気持ちにはなりました。「お前それ着るのかよ」という感覚は、思ってるよりもまだ根強く悪気なく存在してるのか、と。私が可愛い服を来た時に、みんなに笑われたらきっと傷つきます。でも、宣伝文に「女装コスプレ」といういかにも笑ってくださいというような表現を入れたのも私…。
笑って欲しかったのか、どうだったのか。
センシティブなものを表現するというのは難しい。誰も傷つかない表現をこれからもう少ししっかり目指して行きたいですねえ・・・。
ただ、どっちの魅力も持ってるというキャラクターはとっても気に入ってます。
佳恵…オーナーの奥さんです。上田うたちゃんという京都出身の若くて色っぽい女優さんになったので!関西弁盛り込みグイグイ系のキャラクターを書きました。お気に入りは金属バットのシーンです。おしとやかなはんなり奥さんが金属バットを振り回しながら高笑いして浮気相手を追いかける…なんともエンターテイメントなシーンですね。実際にあったらトラウマになりそうです。
桐子…完全にこれも当て書きです。天野なつ子という女優に惚れた私が書ける、最大限のキリちゃんでした。昭夫と二人の掛け合いは気に入りすぎて、台本も、そこまで無料公開にしています。ある意味小学生同士のような二人の会話は、スルスル書けました。役者の動きがイメージできるというのは当て書きの強みですね。
千堂…男の人の弱さとか格好悪さとかダメなところを盛り込んだキャラクターです。同時に、人間らしい魅力をたっぷり詰めてます。男性からはどう見えるんでしょうね、こういうキャラって。でも、こういう人が職場にいると楽しいですよね。奥様が若くて美人なのも良き。だらしないのに仕事ができるのも良き。
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