HUNTER✖️HUNTERをWJに掲載する理由
私はHUNTER✖️HUNTERが好きだ。
だから、今回の連載再開は単純に嬉しい。
でも、ネット上の反応を見ると、ハンタの再開については賛否両論がある。「待ってました!」と喜ぶ声もあれば、「もうオワコン」「再開してもまた休載するんでしょ」という否定的な声も。
実際、我が家でも、
「冨樫?あ、あの仕事しない人?」(ダンナ)や、「ハンターハンター?話が中々進まないらしいから、終わってから読むよ。」(娘)と、お祭り騒ぎをしている私に対して、周りの反映は実に冷たい。
なぜハンタには、熱狂的な支持者がいる一方、否定的な人もいるのか。
理由は簡単である。
掲載しているのが週刊誌だからだ。
「冨樫は仕事をサボっているのに、編集者が甘やかしている。」という批判をする人がいる。他の漫画家たちが締め切りに追われながら必死に描いていることを思うと、批判はごもっともである。
もし、これが月刊誌やジャンプ+、あるいは単行本のみの発表だったら、こんな批判ももっと減るのでは、と思う。冨樫先生のペースで作品が発表されても、それほど非難されないだろう。続きを心待ちにしているファンは残念に思うかもしれないが、少なくとも、編集部が非難されるということはかなり減るだろう。
では、なぜ、批判を承知で週刊誌に掲載し続けるのか。
よく、「売れるから」「話題作りのため」という意見を目にするが、私は、それだけではないと思う。たしかに話題にはなるし、発行部数も少しは伸びるだろう。しかし、看板の商業誌にいつ再開するかわからない作品を置いておくのが(しかも批判も受けるのに)それほど商業的にプラスになるだろうか。私はそうは思わない。
ハンターハンターを、批判承知でWJに残しておく理由。私は「ハンターハンターという作品が、ジャンプのひとつの頂点の形だから」ではないかと思っている。
画力、コマ割り、技術、キャラクター作り、細かい設定、そしてストーリー。ハンターハンターは、どれをとっても一級品である。他のジャンプ掲載作家にとって、様々な部分でお手本になる作品なのだ。素人の私でさえ、その圧倒的な力量を感じるのだから、数々の作品に触れてきた編集者たちや自分が描いている立場にある作家たちにとっては、言わずもがなであろう。
もちろん、好き嫌いはあるだろう。それでも、作品の質として、ハンターハンターは文字通りジャンプ作品の「目指すべき最高峰」なのである。(ちなみにもう一つの頂点はONE PIECEだと思っている。)だからこそ、敢えてWJに残しているのだ。
時々「ハンタは新人の発表の場を奪っている」「冨樫は、やる気がないのなら潔く後続に道を譲るべき」という批判を目にする。
違うのだ。
後継を育てるために、批判承知で、敢えてWJに残しているのだ。
ハンターハンターがジャンプ本誌にあることで他の作家たちの刺激になり、誌面全体のクオリティが上がること。編集者たちはそれを願っているのではないか、と私は考えている。