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誰もが知る一目均衡表
今どきネットで検索すれば、たいていのことは出てくるものだ。
もちろん一目均衡表だって例外じゃない。
そこで、ざっとウィキペディアをはじめ、いろんなサイトからここへコピペしてみた。
そのため重複している部分や表現、間違った認識で書かれたところもあると思う。さもコピペと感じるところもたくさんあるのでご了承ください。
文章をある程度分かりやすく多少の統一感を出すために少しだけ編集した。が、途中にで面倒になり、そのままにしておいた。
以下に示すそれらは「一目均衡表」とネットで検索すれば誰でも直ぐに知れることである。
けれど、そのくらいのことは一応ここでも網羅しておきたい。
しかし、これだけを読んでもざっくりとしすぎていて、実際に株を売買する時においては役に立たない気がする。何故なら、これらのことから、すぐに実際の売り買いする場面をイメージ出来ないからだ。が、ある意味これだけ分かればもしかしたら十分なのかもしれない。
ある意味、というのは以下に示す情報や知識を真実間違い無いものとして受け入れ、それらをもって自ら身につけるための教育プロジェクトを立ち上げ、身銭を切った実践で結果のほどを検証せねばならぬ。
しかし、これは大変だ。膨大な時間と汲めども尽きぬ情熱が必要だ。
さて、それではコピペしてまいる。
一目均衡表とは
一目均衡表(いちもくきんこうひょう)とは、ローソク足と5本の線で構成されたテクニカルチャートだ。
一目均衡表は、1936年頃に細田悟一氏(ペンネーム:一目山人)が発表。
都新聞社の商況部部長だった一目山人が約2,000人のスタッフと7年の歳月をかけて完成させ、「相場は買い方と売り方の均衡が崩れた時に大きく動き、どちらが優勢かが分かればよい。それを一目で知ることができる」という目的と由来により命名された相場分析手法。
日本はもちろん、海外のファンドマネージャーにも支持され、個人投資家の中でも最も人気の高いテクニカル指標の一つ。
一目均衡表は時間論・波動論・値幅観測論の3つの理論から構成されている。
転換線・基準線・先行スパン1・先行スパン2・遅行スパンの5本線を使用する。
一見難解に見えるが、計算方法はシンプルで、しっかり理解すれば、比較的誰でも使える便利な指標である。
【特徴】
時間軸に着目した相場の動きを捉える
「雲」と呼ばれる抵抗帯で、雲と株価の位置関係や雲の厚さなどで今後の株価を予測する
日本人発明のチャート分析法
【構成】
基準線:過去26日間の最高値と最安値の半値
転換線:過去9日間の最高値と最安値の半値
先行スパン1:基準線と転換線の中心を、26日先に先行させて記入
先行スパン2:過去52日間の最高値と最安値の中心を、26日先に先行させて記入
遅行スパン:当日の終値を26日前に記入
【活用法】
基準線と転換線の位置関係や、ローソク足と雲の位置関係から、相場の動向をチェックする
押し目買いや戻り売りの判断材料として活用する
基準線が重要で、基本的には移動平均線と同様の使い方になる。
基準線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド
ローソク足が基準線の上側にあれば買いが強く、売りが弱い。
基準線に転換線が下から上へ抜ける状態を「好転」といい買いシグナル。逆に転換線が基準線の上から下へ抜ける状態を「逆転」といい、売りシグナルとなる。
先行スパン1と先行スパン2
先行スパン1と先行スパン2に挟まれたゾーンのことを「雲(抵抗帯)」と呼び、「雲」とローソク足との位置関係で相場の動向がある程度分かる。
ローソク足が雲の上方にあれば強い相場、下方にあれば弱い相場と判断します。
ローソク足が雲を下から上抜けした場合は上昇サインとなり 「好転」、逆にローソク足が雲を上から下抜けした場合は下落サインとなり「逆転」。相場の転換点と判断できる。
※雲は抵抗帯と言われ、その名のとおり、厚い場合は突破には日柄を要し、薄い場合は、影響が少ないので抜けやすい。2本の先行スパンが交差した所(「雲のねじれ」と呼ぶ)は相場の転換点(トレンドの転換、もしくは加速)となる可能性が高い。
遅行線
遅行線は「売り」か「買い」かのタイミングを計る場合に見ます。 遅行線がローソク足を上回った場合を「好転」(買いシグナル)、逆に下回った場合を「逆転」(売りシグナル)と判断。
三役好転(三役逆転)
下記3つの条件が揃うと、非常に強い、買いシグナル(売りシグナル)になる。
転換線が基準線を上抜け(その逆)
ローソク足が雲を上抜け(その逆)
遅行線がローソクを上抜け(その逆)
計算式
5本線の計算式
基準線=(当日を含めた過去26日間の最高値+最安値)÷2
転換線=(当日を含めた過去9日間の最高値+最安値)÷2
先行スパン1={(転換値+基準値)÷2}を26日先行させて表示。
先行スパン2={(当日を含めた過去52日間の最高値+最安値)÷2}を26日先行させて表示。
遅行スパン= 当日の終値を26日後に表示。
一目均衡表の中でも、最も重要な要素といわれているのが「遅行スパン」です。当日の価格と26日前の価格を比較することになるため、遅行線がローソク足よりも上に表示されていれば上昇が強い相場、下に表示されていれば下落が強い相場と判断することができます。
一目均衡表において転換線と基準線は、それぞれ短期と中期の移動平均線的な役割となっています。使い方も同様で、以下のようになります。
特に、中期的な方向を示す「基準線」が重要で、上向きの場合は上昇トレンド、下向きの場合は下落トレンドと判断します。 また、上向きの基準線の上にローソク足がある場合は上昇の勢いが強いこと、下向きの基準線の下にローソク足がある場合は下落の勢いが強いことを示します。
遅行スパンは当日終値を26日逆行させただけ示しただけの単純なものですが、一目山人は最も重要なラインと言っており、相場の大きな転換を示すとされています。
時間論について
多くのテクニカル指標は、価格そのものや、価格の動きが主な要素となっていますが、一目均衡表というのは、「時間」という要素が含まれています。
時間論とは、相場のトレンドや安値から次の高値までの期間、相場の転換までの期間といった、「相場の変化(変化日)」は、ある程度の数値の組み合わせのサイクルによって形成されているというのが、一目均衡表の考え方です。
一目均衡表では、特に重要な基本数値として、「9・17・26」の3つの数字が使われています。
【単純数値】
9、17、26
数字自体に意味があり、相場と時間の関係を見ていく上で重要な要素。 この数値が、転換線と基準線、雲を形成するための先行スパン1・2、遅行スパンに用いられている。
基本数値は相場の転換点と予測できる。
波動論について
均衡表の「波動論」は、この価格変動によって自然に生まれる「波動」の形やパターンによって、相場を分析する方法です。 相場は上がったり下がったり波を形成しながら価格が推移していきます。
一目均衡表では、基本波動と言われる、「I波動」「V波動」「N波動」と、複雑な形をして「P波動」「Y波動」が有名です。
一目均衡表の波動論は、「すべての波動はN波動に集約される」と考えられる。
一目均衡表は都新聞商況部部長の細田悟一(一目山人)が私設研究所を設立して、7年の歳月と延べ2000人の人手をかけて開発した。
1935年(昭和10年)に「新東転換線」として同紙で発表されている。
戦後、細田がペンネームを「一目山人(いちもくさんじん)」と改めたのに合わせて、この「新東転換線」を「一目均衡表」と改名した。
現在では一目均衡表は日本発のテクニカル分析ツールとして海外の投資家にも参照され、「Ichimoku」として広く知られている。
「一目均衡表」は細田の遺族が経営する株式会社経済変動総研の登録商標である。
歴史
1935年(昭和10年)、都新聞商況欄で細田悟一が「新東転換線」の名称で発表。
1950年(昭和25年)、細田が知り合いの3人のみに有償で分析手法を伝授。
1969年(昭和44年)8月、細田が一目山人のペンネームで書籍「一目均衡表」を出版し、一目均衡表の分析手法を一般公開する。以降1981年までに全七部作が刊行される。(『一目均衡表 完結編』『一目均衡表 週間編』『わが最上の型譜』『一目均衡表 綜合編』『一目均衡表 綜合編 後編』『一目均衡表 真技能編』)
1991年(平成3年)、第三者による解説書が出版されたのを受けて、細田の子息が三部作(一巻から三巻)を増版する。
概要
一目均衡表は、時間論、波動論、値幅論、スパンなどで構成される。
時間論は、9・17・26…などの基本数値、あるいは、過去の幾波動の日数をとる対等数値、銘柄ごとに現れる習性数値に分類される日数を経過した日を変化日とするものである。
値幅論は、目標値としては、E・V・N・NT計算値、4~8Eの倍数値がある。また、相場の勢いや方向性を見定めるため、それ以外の値幅・陰陽数をも検討する。
各数値によって算出された変化日に計算値を実現した場合、相場が反転する可能性が高い。
スパンは、日々のローソク足と、次の計算式で算出した各数値をそれぞれをつないだ5本の線で構成される。
特徴
一目均衡表は「買い方と売り方の均衡が崩れた方向に相場が動く」という考えに基づいて作られている。また相場の変化の起こる時期を推測する意味でも「時間を重視する」「未来の動きも見る」点も特徴である。
従来の株価チャートの複雑さに対し、この一目均衡表は転換線、基準線 先行スパン1、先行スパン2、の5本の補助線を利用して相場の動きをチャートに表示している。そして、そのチャートを見ることによって、現在および今後の相場のトレンド、今は買いシグナルか、売りシグナルか、をパッと一目で見ることができる。これは、一目均衡表の名称の通り、まさに「一目で相場の均衡状態を把握できる」ようにしている点が画期的である。
一目山人みずから手がけた解説本は全七巻にも及び、身につけば非常に有用とされる一方、時間論・波動論・値幅観測論などを総合的に判断する必要があるため、習得までの難度は極めて高い。また、一部の巻が絶版になっているため、すべてを正しく把握できている者は極少数である。現在、前述の株式会社経済変動総研では勉強会等を開催している。
一目均衡表は海外では、"Ichimoku"の通称で海外のトレーダーたちに広く知られている。例えば、「メタトレーダー4」(Meta Trader 4)などのチャート分析ソフトでは、"Ichimoku"は最初から標準装備されているが、そのデフォルトの設定ではその数値の算出に一日のズレが生ずるなど、細部の実装に差異がある。
時間論(変化日)
一目均衡表は株価の騰落よりも時間を重視したテクニカル指標であり、時間論により導かれる変化日での変化の仕方が相場の行方を占うものとして重要視されている。ここで言う”変化”日を“転換”日と言わないのは、その日に相場が転換するだけではなく、加速や延長をする場合もあるためである。時間論には以下の二種類がある。
基本数値
時間論の基本となるもので、以下のような数値がある。
9,17,26,33,42,51,65,76…
これらの数値を相場の天井や底、或いは上昇・下降相場の途中の高値・安値を起点として数える。 また、一定の値段を相場水準と仮定して、その値段を初めてつけた日からの基本数値での現れ方を見る時にも使う。 その場合、起点の日から数えて基本数値の日において同じ値段あるいは高値、安値をつけやすい。 基本数値を導き出す明確な法則はなく数も多いため、同じチャートにおいても複数の解釈ができ、時間論の難しさ、複雑さの要因となっている。
対等数値
基本数値とは異なり、その相場自体が上げた・下げた日数を元に数える方法である。
以上、二種類共に波動論との関連で数えるものであり、以下の波動論も参照のこと。
なお、2本の先行スパンの交差する日を変化日として扱う事については、原著において均衡表各線の交差する日は特に重要と書かれているため、間違いとは言えないものの、上で述べたような基本数値や対等数値で変化日を導き出す方法が本来のやり方である。
波動論
一目均衡表の波動論には以下のような波動がある。(全て上昇相場について。下降相場であれば逆。)
I波動 上げ一本の相場。
V波動 上げて・下げる相場。
N波動 上げて・下げて・上げる相場。
P波動 時間の経過と共に高値は切り下がり、安値は切り上がる相場。いずれどちらかに離れる。
Y波動 時間の経過と共に高値は切り上がり、安値は切り下がる相場。いずれどちらかに離れる。
S波動 下げた相場が以前の高値の水準にて反発、上昇をする相場。
以上の6種類があるが、一目均衡表での基本は3波動のN波動である。「エリオット波動理論」などでは5波動が基本とされているが、5波動は3波動Nが2つ連なったものであり、7波動であれば3つ、9波動であれば4つ、とどんなに相場が続いてもN波動を基本とする。また、P波動やY波動もいずれどちらかに離れるため、大きな目で見ればN波動としてみることができる。
値幅観測論(計算値)
「値幅観測論」は、それまでの相場の動きから、このあとの株価がどれくらい上昇するのか、どれくらい下落するのかを予測する計算の理論のことです。 保有している銘柄が「どの程度まで上昇するのか、下落するのか」の目安とする。 「時間論」と組み合わせることによって、「どのくらいの時期に、どの程度まで株価が変動するのか」を予測することができる。
直近の高値や安値を使い、N計算値、V計算値、E計算値、NT計算値と、大きくわけて4種類の計算方法がある。
理解されにくい一目均衡表の中でも唯一具体的な数値が得られる計算値だが、価格差のみに着目し、需給には考慮していないため、計算値のみに拘りすぎるのは禁物である。
(以下5つの計算値の計算方法については、安値Aから高値Bまで上げ、高値Bから安値Cまで下げている上昇相場を元に考える。よって安値Cは安値Aよりも上位にある)
E計算値 安値Aから高値Bまでの上昇幅を高値Bに加えるもの。=B+(B-A)
V計算値 高値Bから安値Cまでの下落幅を高値Bに加えるもの。=B+(B-C)
N計算値 安値Aから高値Bまでの上昇幅を安値Cに加えるもの。=C+(B-A)
NT計算値 安値Aから安値Cまでの上げ幅を安値Cに加えるもの。=C+(C-A)
4E計算値(四層倍・四倍値) 安値Aから高値Bまでの上昇幅の3倍を高値Bに加えるもの。=B+3×(B-A)
P波動の計算値 上値を切り下げ、下値を切り上げる、その双方の値幅が同値となるもの。
Y波動の計算値 上値を切り上げ、下値を切り下げる、その双方の値幅が同値となるもの。
売買シグナル
注意事項:以下の売買シグナルは一般的にネット上や、書籍で紹介されている売買シグナルである。原著においても一目均衡表の各線の説明や、「三役好転」・「三役逆転」については述べられているが、これはあくまでも時間論・値幅観測論・波動論を全て考慮した上での判断であって、それらを考慮せずに単純に以下の売買法則を実際の相場に当てはめて取引をする事は非常に危険と言える。
転換線と基準線
転換線が基準線を下から上に抜けると「買いのシグナル」、上から下に抜けると「売りのシグナル」とされる。
解説: これは、過去26日間の売買価格帯(基準線)に対しての、過去9日間の売買価格帯(転換線)の高低を示しており、転換線の上抜けは直近、買い傾向が強くなっており、下抜けは直近、売り傾向が強くなっていることを表している。また、これは、出来高を考慮していないため、買い圧力、売り圧力、需給の強弱までは判断できない。このトレンドの意味を理解した上で、売買シグナルとして判断する必要がある。
基準線
基準線が上向けば「買い」。下向けば「売り」とされる。
解説: これは、過去26日間平均の移動平均線が上昇トレンドか、下降トレンドか、を表している
雲とローソク足
ローソク足が雲(クモ)より上にある時は、その雲(クモ)は「下値支持線」、ローソク足が雲(クモ)より下にある時は、その雲(クモ)は「上値抵抗線」と呼ぶ。 また、その雲の厚みは抵抗力の強弱を示すとされる。
解説: 先行スパン1と先行スパン2に囲まれたゾーンは雲(クモ)と呼ばれ、通常、その部分は色(網目)で塗りつぶされている。この雲(クモ)こそ、「パッと一目で雲(クモ)の状況がわかる」という一目均衡表の特徴でもあり、この表を見ることによって、雲(クモ)とローソク足との位置関係も簡単に把握することができる。また、「下値支持線」、「上値抵抗線」は、その時々の市場参加者たちの購入価格帯を表し、今、相場が上昇トレンドに向かっているのか、下降トレンドに向かっているのかという「トレンドの方向性」をビジュアルに確認できる。
雲(クモ)の厚さは抵抗力の大きさを示している。例えば、相場の動きがそれほど激しくなく、静かな状態が続く時に描かれる雲(クモ)は厚みはあまりなく、とても薄い。これは抵抗力が弱いことを意味する。一方、相場の動きが激しく、波乱のある状態の時に描かれる雲(クモ)は厚みがとても大きい。これは、抵抗力が強いことを意味する。しかし、その雲(クモ)が厚くても出来高が少なかったり、薄くても出来高が多いこともあるため、実際は、価格帯の広い狭いのみを表していることを理解した上での判断が必要となる。
また、雲(クモ)が厚い時、その厚い雲(クモ)を株価・ローソク足が上から下に突破した時、あるいは、下から上に突破した時は、それは大きなトレンドの転換を意味する。
遅行スパンとローソク足(日々線)
遅行線がローソク足を下から上に突き抜けていれば「買いのシグナル」、上から下に突き抜けていれば「売りのシグナル」とされる。
参考文献
ウィキペディアから抜粋
一目山人著「第一巻 一目均衡表」 1975.3
一目山人著「第二巻 一目均衡表 完結編」 1976.7
一目山人著「第三巻 一目均衡表 週間編」 1975.3
一目山人著「第四巻 わが最上の型譜」 1977.11
一目山人著「一目均衡表 真技能編」 1981.12
一目山人著「一目均衡表 綜合編」 1979.6
一目山人著「一目均衡表 綜合編 後編」 1980.5
佐々木 英信著「一目均衡表の研究」(ストックマーケットサービス,1996年11月30日)(ISBN 9784925152006)
三世一目山人著「一目均衡表の原理 (現代の錬金術師シリーズ)」(パンローリング、2010年8月5日)
緻密なデータに裏付けられた一目均衡表は、本来は株価を基に考案された指標ですが、FXの為替レートなどほかの銘柄にも応用することが可能です。
一目均衡表と他のテクニカル分析との大きな違いは、多くのテクニカル分析が価格の変化や相場の流れを重視して時間を二次的なものとして扱っているのに対し、一目均衡表は時間を主体として値段を二次的なものとして扱っている点です。つまり「いくら」になるかを分析するより「いつ」を分析することに特化したテクニカル指標といえます。
なお、現在は一目山人の遺族が経営する株式会社経済変動総研が一目均衡表の普及に努めており、一目均衡表の資料や原著の販売などを行っています。
・遅行スパン
遅行スパンは一目均衡の中で最も重要な要素と言われています。当日の終値を日々26日前に遅行させて記入します。つまり当日の価格と26日前の価格を比較しているということになります。
一目均衡表は、他のテクニカル分析に比べ多くの要素で構成されており、相場の状況を様々な観点から的確に分析することが可能です。
▼時間軸の選び方
一目均衡表はどの時間軸でも使うことができますが、発案者である一目山人は正確性を期すためには週足や分足ではなく日足でのみ使うべきと述べています。
▼線の組合せと基本的な分析方法
・転換線と基準線
基準線はその向きと転換線との交差部分に注目します。基準線単体での向きは相場のトレンドを示しているとされ、上向きの場合は上昇トレンド、下向きの場合は下降トレンドという見方をします。さらに、基準線が上向きでかつローソク足が基準線の上に位置している場合は上昇トレンドの勢いが強いことを表し、逆に基準線が下向きでかつローソク足が基準線の下に位置している場合は下降トレンドの勢いが強いことを表しています。
基準線と転換線を組合せて見る場合は、その交差地点が買いもしくは売りのシグナルとなるケースが多くあります。転換線と基準線が交わる部分は、相場の転換の目安とされ、代表的なのは次の2種類です。
・転換線が基準線を上抜く:買いシグナル(ゴールデンクロス)
・転換線が基準線を下抜く:売りシグナル(デッドクロス)
移動平均線と同様の使われ方をされ、基準線と転換線がそれぞれ長期線、短期線の役割をしています。
・先行スパン
先行スパンを用いて分析を行う際には、 先行スパン1と先行スパン2の間を塗りつぶしたゾーン「雲」と呼ばれる帯状のエリアとローソク足の位置関係に注目します。
ローソク足が雲の上に位置していれば強気相場、ローソク足が雲の下に位置していれば弱気相場であることを示しています。また、雲とローソク足の組合せは売買シグナルとしても活用することができます。
・ローソク足が雲を上抜けする:買いシグナル(上昇サイン)
・ローソク足が雲を下抜けする:売りシグナル(下落サイン)
そのため、ローソク足が雲の中に突入した場合は、雲を上抜けるか下抜けるかに注目が集まります。雲の厚みが厚ければ厚いほど、相場の反転は難しく、雲を上限下限として上下動するレンジになる可能性が高い傾向があります。その場合、雲が強固な上値抵抗線(抵抗帯)もしくは下値支持線(支持帯)になる傾向があり、そこを突破した場合には一気に上昇相場・下落相場になるなど相場が勢いづくことがあります。そのため、ローソク足が雲を上抜けたり下抜けたりする場合は、順張りでエントリーするのが定石となっています。
▼一目均衡表の3つの理論
一目均衡表の分析には時間論、波動論、水準論(値幅観測論)という3つの理論があります。この3つの理論それぞれの視点から一目均衡表を見ていくことで実際の取引に活用していきます。
・時間論
時間論では時間の視点から分析を行います。一目均衡表を分析するうえで最も基礎的な重要な視点と言われています。一目均衡表では「9」「17」「26」を基本数値と呼びこれらの数値を加減して組み合わせた「33」「42」「65」「76」を複合数値と呼びます。あるポイントからこれらの日数が経過したタイミングで変化が起きやすいといった考え方です。このほかにも対等数値とよばれる数値も存在しています。
・波動論
波動論は描写されたチャートの波形のパターンから分析を行います。波動論は単純に次の3つのパターンのみです。上げだけ、下げだけの「I波動」、上げ→下げ、下げ→上げの「V波動」、上げ→下げ→上げ、下げ→上げ→下げの「N波動」。I波動とV波動が推移し繰り返し形成していき最終的にN波動となります。
▼三役好転を狙う
三役好転とは次の3つの買いシグナルが揃っている状況を指します。
・転換線が基準線を上抜く
・遅行スパンがローソク足を上抜く
・ローソク足が雲を上抜く
この条件がそろった時には非常に強力な買いシグナル、となり強気相場の状態が続くことが予想され買い時といえるでしょう。また、この逆の条件がそろった際には三役逆転といい、強力な売りシグナルとなり売り時といえます。
一目均衡表は時間に主眼を置いたテクニカル分析です。トレンドの発生や売買シグナルを読み解く上で非常に強力なツールとなります。
とても奥が深いテクニカル指標で、日本でも熟知している投資家は数名しかいないと言われています。
一目山人著の一目均衡表1巻(まえがき)より
以下の文章は株式会社経済変動総研(一目均衡表公式ホームページ)からの抜粋である。
この均衡表は、私が都新聞社の商況部部長として勤務していました頃、相場変動の真髄を掴んで紙面をかざりたいと思い、 私設の研究所を造り、永年苦心の結果、昭和十年都新聞紙上に、「新東転換線」と称して発表したものであります。
この均衡表の製作は、極めて簡単でありますので、その製作方法は極秘にしていたのでありますが、終戦後、 朝鮮動乱最中の昭和二十五年に、友人の切なる希望によりまして、三人だけに限って伝授致しました。
相場は動かないか、動くか。動けば上げか、下げか。極めてカンタンなのでありますが、しかし実際にやって見るとなかなか儲からないのであります。
およそ相場をやる上におきまして、何が一番大事なことか。と言いますと、 申すまでもなく、『何を。何日。幾らでカウか、またはウルか。』ということであります。
この頃のように、余りにも極端な跛行相場におきましては、果たして「何を」選んだらよいか。 やや調子付いた。と思われる株が幾つかある時、何れを選ぶべきかは、決して容易なことではありません。 人為的な相場であればあるほど、ちょっと調子付いたと思って詰らぬものを掴む。 という結果に陥り易いことは誰しも良く感じられているでありましょう。それに対して、 この均衡表とスパンは、ハッキリと「これだ」と決めてくれるのであります。
次ぎには、この株が良い。と決まりましても、果していつ出発するか。それも決して容易ではありませんが、その順序を間違えますと、 何よりも回転が利かなくなります。しかしこの均衡表は、「これからいよいよ出発する」。という時期をハッキリ教えてくれるのであります。 さらには、新聞、雑誌を見ましても、人の意見によりましても、良く「押し目買い」「戻り売り」というのでありますが、 余りに抽象的でありまして、実際問題として、どこまでが押し目か。どこまでが戻りか。良く判らないのですが、 この均衡表とスパンは、何日、幾らになればカイ。幾らになればウリ。と決定的に教えてくれるのであります。 なお私が終戦後、一目山人というペンネームに改めましたのも、この均衡表において、 相場の帰趨は一目瞭然であるというほどの意味でありまして、この均衡表もまた一目均衡表と名付けた次第であります。
相場大衆の危険性と適応性
相場取引が危険であればあるほど、高度の適応性。いかなる取引でも、マスター出来る教養を身につけることが、とくに必要だと思うが、相場大衆の概ねは、意外にも、そうしたことには無関心である。
然らば、適応性とはどう云うことか。と云うことであるが、それは、ここに書くだけなれば、極めてカンタンであって、先ず第一に、相場そのものがわかり切ること。ついで、第二に、相場の仕方が良くわかることであって、この二つだけで、すでに充分である。
こう書いてみれば、極めてカンタンなようであるが、実際に即してみれば、初めのうちは、決して、爾(し)かくカンタンではない。
相場の仕方がわかれば、すでに相場がわかったことであり、相場がわかれば、仕方はもはや手のうちに在る。従って、先ず「相場」と云うものがわかる必要がある。
相場は生きものである。実に敏感であって、それはあたかも精神現象の如くであるからであるが、もちろん相場そのものは、あくまでも自然現象以上のものであってはならない。自然現象というものは、時間と空間と因果によるものであって、ただそれが、認識として成立するためには、時間と空間の形式によって規定されなければならないのである。
にもかかわらず、往昔以来今日迄、ほとんど、空間のみが重視されて、時間はあまり問題にされなかった。
時間と空間によりて、均衡の在り方を見れば、相場は極めてカンタンにわかる。
「相場」とは
相場とは、要するに上げるか、下げるか、保合うか、の三つしかないのであるが、実際には、保合って上げ、上げたものが下げて保合うのだから、上げか、下げかの、二つである。しかし、それ故に、最も大事であり、とくに注目すべきは、「保合い」である。保合いは、過去が現在し、さらに未来が現在しているからであって、その銘柄の過去の習性、保合いの位置、日足の長短、力量、陰連、陽連の数。などが研究対象となる。
最も注目すべきは、各波動における時間と値巾であって、それの拡大か縮小かである。さらに大事なことは、相場一般と、その銘柄における時間と空間(値巾)の中心点がどこに在るか。ということを的確につかむことである。
以上の外に今一つ。作為の相場を選び出す智慧が必要であって、一般者としては、とかく材料観や、新聞雑誌に、セールスマンのすすめなどに、もっぱらたよっており、しかもそれ故に、自らの心をみつめることが出来ないので、とかく損をし易いのは、この作為の相場に乗じられ易いからである。
相場の体(てい)は、相場自身であるから、相場を見んとすれば、相場以外のものであってはならぬ。
もちろんそれも、あなたが、相場そのものに精通するまでであって、アトは銘柄選定用の程度だと思うが、しかし、相場が良くわかり切る。ということよりも、さらに大いに大事なことは、取引の仕方であって、それに徹することさえ出来れば、作為の相場など、別に問題とする必要はないのである。
取引の仕方について
私が敢えて、相場大衆はその適格性に乏しい。と云うのは、相場そのものがわかり切っていないことは、まだ良いとしても、最も基本的な、取引の仕法が、ほとんどわかっていないことと、それを待つことが出来ないからである。ここに基本的というのは、商内をしかけるギリギリの場と時であって、それをジックリ待ちさえすれば、かりに相場が良くわからないでも、決して失敗はしないはずである。
基本的には、大底を確認しても、大部分の銘柄は、そこを買うべきではない。何故なら、「最少限の時間において、最大限の値巾を頂く」と云うわが一目均衡表の鉄則に、はまりにくいからである。
一番底を確認したのち、さらに二番底を確認して、其処で買うべきであって、それを利喰いするのは、上げ相場のテンポを見ながら、時間的には基本数値と対等数値において、空間的には、その銘柄の受動的習慣的値巾と能動的、計算値によるわけである。そのためには、何よりもその銘柄の、過去の習性を良く知る。ということが大事である。
要するに相場は、大底を買って、天井を売る。流を私流に云えば、若買老売である。相場がわかる。ということは、先ず老若がわかり、しかもそのわかり方がタイムリーである、ということである。最も大事なことを落した。ここらで一つ、読者の気を抜くために、少し雑談をすれば、相場の老いは、最も買い気の盛んな時であるだけ、きわめてウリ易いのであるが、その意味では、相場はカイ易い時にカイ、ウリ易い時にウル。ということも亦、一つの仕法である。しかし、人間の老いは、なかなかウリにくい。たしかに、低級な意味での時代遅れではある。私は電気機器のことなど、家庭用品ですら、ほとんど知らないし、また知ろうともしない。私の娘倅などでさえ、とかく現代は―と言いたげであるが、近年、とくに「敬老」ということが言われている。永い間、ご苦労さまでした。と云われることも、まことに有り難いことではあるが、しかし私は、敬老は承老または聞老、であるべきだと思っている。いかに時代遅れではあっても、明治、大正、昭和と、日本歴史未曽有の混乱時代を、とにも角にも、正しく生きて来たのである。ここまで生かされた社会の恩には、深く感謝しているが、それなればこそ、尚更、私の生活経験を聞いて頂き度いのである。只でも良いから、とにかく私の老を買って貰い度いのである。老いの生甲斐は、それ以外にはないからである。
老いの雑談には際限がない。この辺で仕法に戻るが、一番大事なことは済んだので、アトはやや箇条書きていどにして、先ず、かなり相場がわかるようになっても、一般者としては、引かれナンピンはいけない。カラウリを相場の若い時に行う人が、案外に多いようであるが、カラウリは値頃観は禁物。静中有動。というが、静はだいたいは、相場の始めと終りである。時間的に、老いの老いを見定めて、二番天井を待つことである。
生活設計として
とくに大事なことは、相場は、経済行為であるから、当然、生活設計のうちにあるものでなくてはならない。それも、一年や二年と云うことでなく、結婚後、二十年、三十年の、すくなくとも半生の生活設計の一つでなければならないが、そうだとすれば、少々の思いつきで、損をすることは許されない。今度は損をした。しかし僅かだから良い。と思う人は、私はどうかと思う。事実としての損は、一応損をした金額だけであるが、真実の損はどうか。その損金を授業料と為し得るとしても、それに費やした時間、つまり己れの命は取り返しがつかないのである。私はかねてから、相場は、銘柄は、必ず自分で見つけねばならぬ。と云っているが、そうでなければ、かりに儲けたからとて、自分のものにはならない。いわんや、損をした場合でさえも、決して授業料になるわけではないのである。ただし、相場を、生活設計のうちに入れるとすれば、先ず相場がよくわかり切ること、取引の仕法に徹底することを、とくに必要とするが、本来、真の生活設計というものは、男子一生の計画であって、それを決定することによって、己れの一生を規正する底のものである。だとすれば、先ず相場を生活設計のうちに入れれば、それ故に、相場が良くわかり、仕法にもやがて練達する。ということになる。つまり生活設計の立て方によって、その瞬間から、男の覚悟が違ってくるのである。今の世の中に、相場で利益するほど、これほどやさしいものは無いのであるが、それだけに、自己にきびしく、規正し、精進しなければならないのである。
近年、連休があれば、直ぐ観光と云う。家族づれなれば、それも善いことだと思うが、しかし善くても次善である。いやしくも、男子たるものは、己れの職業をもって、最上の楽しみとすべきであって、それ故にこそ、日曜、祭日がつまらなくて、しかたがないから観光にでも、ということで上善をはなれて、次善につくのかも知れないが、私はやはり、日曜、祭日こそは、大いに勉強すべきだと思う。真の生活設計を確立している者の生活態度は、それ以外には考えられないからである。
少し相場がわかるようになれば、馴染の株を選んで、それのみに力を入れること。今私は、仕手株、値嵩株、ツブレル心配のない株、大巾騰落の株、今年の株、などにより、三十数銘柄を限定して、他のものには目をくれないことにしている。猫のように動くものに目移りすることは、要するに待つことの出来ない人であって、それ故に、タイムリーに徹底出来ない人である。一期乃至一巡で大巾を頂ける銘柄を選ぶこと。一度大きく頂いたら、いつまでもその銘柄に即さないこと。三度、四度と頂いた銘柄は、その頂いた巾が順次縮小しながら、いつかは高値つかみに終るものであり、順次取引量が多くなっていれば、一層キケンである。どう調べて見ても、相場のわからぬ時は、わかるまで待つこと。幾ら書いてもキリはないが、先ずこれだけに徹して、待つことさえ出来れば、これで充分だと思う。
ただ、この草文は、おそらく私の最後のものとなるだろうから、私が若い時、とくに勉強した孫子の兵法、六韜三略(りくとうさんりゃく)、諸葛亮八陣とくに同八門遁甲((はちもんとうこう)八門遁甲とは占術の一種。八卦八門八星を立て、それに冬至より立冬に至る各節を配して盛衰、吉凶を占う法で、出陣や出向の際に用いた。古く中国の黄帝がはじめたとされ、太公望、張良を経て大成されたもので、諸葛孔明はよくこれを用いたという。)など、生活設計にも、非常に有益である。それを少し書いて見度いとは永い間の問題であったが、しかし、これを有益ならしめるのには、おそらく一千頁は必要であろう。何度も書き進んでは破棄してきたが、戦いと相場とは、プロはとにかく、一般者に取っては、大いに似て非なるものである。戦いは仕掛けるばかりでなく、仕掛けられる場合もあるので。さらに戦いの技術として、攻防の緩急、間絶が問題となるが、相場は、つねに仕掛けるのは戦者自身である。それ等の古書を、相場道に招来するためにも、また尨大な講究を要する。私のそれらの勉強はプロたらんとするためのものであったが、その精神と成果だけは、すでに三部作に盛り込んであるので、その程度で、自ら満足する外ないようである。
(一目均衡表は)読者にして、幾十回となく、反復して勉強さえされれば、必ずや、各自最大限の財形をとげさしめる。
終戦後の民主主義時代においても、富の不平等だけは、容易に是正出来ない。
政府も収入格差の是正を問題としてきたが、現代、一代でそれを可能とする道は、ただ一つ、相場に通暁する外にはない。
相場と云うものは、相場が本当にわかり切って、そして利益することが大事であって、ただ利益しさえすれば良い。というものでは決してない。にもかかわらず、一般者の、利益したい。ということだけでは、むしろ損をするのが当然ではあるまいか。
相場一般が良くわかるためには、やはり一目均衡表(三部作)の勉強に注力すべきである。尚、相場については、上げ、下げだけに捉われ過ぎて、一番大事な「保合い」の研究におろそかであるが、それは最もいけないことである。(一九七七・九月末) 一目山人著
一目均衡表の平成版増版にあたって
私は現在、技術屋として、ある製紙会社に勤務しております。技術屋と相場はおよそ無縁ですが、一方で私と均衡表との関係は古く、父が均衡表を公開する十年以上前のことですから、今から約三十五年になります。
相場とは無縁の環境下で、均衡表の徹底的研究をまずさせたい、と言う父の意志を継ぎ、実践して来たことになりますが、それ丈(だけ)に相場について公けに云々する資格はありません。名実共に二世を襲名するのはその資格ができた時であり、その時迄増版はすまいと決めておりました。 にもかかわらず今回、とりあえず名目のみ二世をつぎ、あえて増版に踏み切ったのは、主として次の二つの理由から、できる丈早く、できる丈多くの方々に、一目均衡表三部作原著を読んでいただく必要性を痛感したからであります。 その理由は、均衡表を誤解されては困る、と言う極めて単純なことであって、さし迫ってはとりあえず次の二つであります。
一、コンピュータによる株価分析システムには、はやくから一目均衡表チャートを採用したものが発売されていましたが、最近は証券会社、投信、生保、あるいは証券新聞等に迄、一目均衡表が広く受け入れられ、一目均衡表による相場観測記事が目につくようになりました。これはある意味で非常によろこばしいことではありますが、これらの読者がその記事を素直に受取る範囲は問題ないとして、読者が断片的な記事を勝手につなぎ合わせることによって万一、均衡表を誤解し、それによって相場に失敗するようなことがあっては、との懸念が強まったことが一つ、であります。
二、つい最近、一目均衡表絶版、と称して、「一目均衡表○○流利用法」なるビデオが当社とは全く関係ないところから発売されました。事態ここに至り、これをこの侭放置する訳にはいかなくなりました。
父一目山人の願いは、総ての読者一目均衡表を正しく理解して貰い、それによって総ての読者に資産を形成して貰うことでありまして、その為には、利用法は絶対に一目山人流、でなければなりません。百歩譲って、不幸にして読者の理解が足らぬ時は、最低限各読者流利用法でなければなりません。 ビデオの内容がどんなものかは知りませんが、もし○○流が全く一目山人流と同一であれば、著作権は真向から侵しているものの、その購入者には迷惑はかからぬので、この点は問題ありません。 しかし一方、一目山人流からもし少しでも逸脱している場合、即ちその著者独自の何かがほんの少しでも入っていると判断される場合は、一目均衡表の名に於て購入者に迷惑をかけることになるおそれがあり、それこそ大問題であります。
いずれにせよ、第三者による「一目均衡表○○流利用法」等というものの流布は、その発想がいずれにあるにせよ、一目山人の息子として断じてこの儘放置する訳には行きません。 しかし乍ら著作権問題はひとまず後に置いて、とにかく、一目均衡表の表面を触った丈で理解したと思った為、あるいは曲った形で利用した為に、一般者が害を被むること丈は何としても防がねばなりません。 それにはとにかく、増版を急ぐしかない、との結論に至り、この七月急拠二世をつぐこととし、会社を設立し、均衡表三部作の増版に踏み切った訳であります。 皆様の、一目均衡表原著の徹底的勉強、御研究と、それによる成果を祈念してやみません。平成三年七月一日 二世一目山人著
一目均衡表と商人精神
兜町で昔から店を開いている鰻屋は、大変ユニークな勘の持ち主です。 その日、お客が何人来るかが、早朝、店の前を通る証券マンの足音でわかる、というのであります。飲食業で働く方の多くは、曜日や天候、景気の善し悪しなどから、経験的な勘を働かせてお客の入りを計算しているそうですが、鰻屋の主人もこれらを踏まえた上で、「足音」を最後の決め手として仕込みの数を決定しているそうであります。 江戸時代の商人はこのような勘を大切にしました。勘の精度は一般的には経験によって高められるものですから、年配者の勘は特に注目されました。そして勘を働かせて一歩先を読み取る人を、碁の言葉を用いて一目(いちもく)先を読む人と称して尊敬したそうであります。
一目山人というペンネームには「相場がひとめでわかる」という山人の自負心があらわれていると同時に、「いちもく先を読む」という意味がこめられています。 それゆえに均衡表も、「一目でわかる」という直観と、「一目先を読む」という予測の二点が強調されがちであります。 しかし山人が最も誇りとしたのは「自分は何時、どんな時でも相場に適切に対処出来る」という事でした。その誇りを「いちもく」という言葉にこめたのであります。 適切に対処するための予測であり、その予測を助けるための直観、ということになりますが、江戸期の商人たちもまた勘そのものに価値を置いた訳ではありません。 何時、いかなる場所でも物事に対処しうる人、しようとする人ならば、勘も働くし、予測も正確であろう、という事で、その人のあらわれ方として勘を評価したのであります。
一目均衡表は実際の相場に役立つ、実質的な方法論を皆さんご自身に身につけて頂く為のものですが、それには商人の勘と同様の経験が必要ではないか、と私は考えております。 例えば兜町の鰻屋の場合、毎日足音を聞いているだけで勘が働くようになった訳ではないでしょう。人はどんな時に鰻を食べたくなるか、この鰻屋は大雑把な理屈を持っていたはずであります。心理的、身体的に鰻を求める人がどれぐらいいるのか、感じとろうとしながら足音をきいたはずであります。 合理的に思い整えたものを秤として、日々、現実と照らし合わせる、という経験を経てはじめて、勘は精度の高い、実質的なものになり、秤そのものも洗練されていくのではないでしょうか。
経済変動総研 平成一五年四月 三世一目山人(細田哲生)