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最近の記事

日本を変えるジョブ型雇用とその課題

 日本の組織では、従来のメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への移行がトレンドになっている。この稿ではその背景にある理由と、移行がもたらす影響について考えてみたい。たぶん、この移行は、私たちが思っているよりもはるかに大きく日本社会のしくみを変えるかも知れないからだ。  日本の組織制度は、戦後からこれまで「メンバーシップ型」が主流だった。メンバーシップ型とは、組織のメンバーをまず選び、組織の中の仕事をメンバーに与える「人に仕事を割り振る」タイプの人事だ。  それに対し、ジョ

    • 明石家さんまさんから学んだ「アウトプットイメージ」の重要さ

      もう10年以上前になるが、筆者が日本の大学に勤めていたころ、単発でいくつかのテレビ番組に出させていただくことがあった。ニュース番組やバラエティ系情報番組で専門に関する解説をするような仕事が主だったが、特に印象に残っているのは明石家さんまさんの番組に出たときだった。 それは、さんまさんがホストを務める「ほんまでっか!?TV」という番組で、今でも特番でやっているので知っている方も多いかも知れない。当時はある分野の「専門家」がある種の「トンデモ理論」を話し、それを面白おかしく議論

      • 心理学の話:ステレオタイプフリーの人事評価は可能か?

        以下の文を読んで、10秒以内に答えを見つけてみてほしい。 「路上でトラックがある男性とその息子を轢いてしまう事故がおきてしまった。父親は即死、息のあった息子はすぐに病院に運ばれた。運ばれた病院で診察しようと駆けつけた外科医は、その子を見るなり、『私の息子だ!』と悲鳴を上げた。このとき外科医と息子はどんな関係か?」 すぐに答えられただろうか。答えは「外科医は息子の母親」である。 聞けば、ああそうか、と思うだろう。にもかかわらず、即答できなかった人は、思い込みに囚われてしま

        • よもやま話:【鬼滅の刃】と人を動かす力(変革力)についての考察

          こんにちは。ヒトラボジェイピーの村上です。 今日のテーマは、2020年12月現在、絶賛ヒット中の「鬼滅の刃(吾峠呼世晴氏 著)」です。 鬼滅の刃のキャラクターに焦点を当てて、●●のリーダーシップが素晴らしいとか、●●のコミュニケーション力が参考になるとか、そんな話は全く書きませんので、そういうモノが読みたい方のご期待には沿えないかもしれません。 この空前絶後の鬼滅の刃のヒットに際して、きっとこういう事を思った人がいるはずです。 いや、確かに面白いとは思うが、他にもっと

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          心理学の話:小さな無意識のバイアスが、大きな人事上の不公正を生むメカニズム

          以前にも書いたとおり、人間が情報処理を行う場合には、さまざまなバイアスが生じる。ここではその一例として、確認バイアスとそれに伴う差別行動の制度化について見てみたい。 確認バイアス(Conformation Bias) 人はたいてい、情報を探すとき、自分にとって、心地のよい、都合のよい情報だけを探そうとすることが心理学の研究でわかっている。これを確認バイアスと呼ぶ。確認バイアスは、自分の考えに沿う情報ばかりを無意識的に集めてしまい、それに反する情報を考えない傾向である。これは

          心理学の話:小さな無意識のバイアスが、大きな人事上の不公正を生むメカニズム

          課長のヒント:部下には議事録じゃなくて議前録(ギゼンロク)を書かせよう

          こんにちは。ヒトラボジェイピーの村上です。 今日のテーマは、議事録です。 筆者はコンサルタントとしての修業時代とても沢山の議事録を書かされました。 AI技術が進化して、会議の文字起こしをしてくれるツールが世の中にはとても充実してきましたので、今は昔と比べて随分と議事録を作成するのも楽になったんじゃないでしょうか。下手をしたらミーティングを録画・アーカイブしているので、議事録は不要になったという組織も増えてきている気がします。 旧時代の遺物として喪失されつつある議事録です

          課長のヒント:部下には議事録じゃなくて議前録(ギゼンロク)を書かせよう

          哲学の話:ハイパフォーマーが持つ「真・仮説思考」

          弊社のスタッフは長年のコンサルタント業務を通じて、多くの優秀な社員、つまり「ハイパフォーマー」を見てきた。ハイパフォーマーになれる人はどういう人だろうか。 それには多くの側面があるので、簡単には語り切れないが、その中でも、ハイパフォーマーと呼ばれる人が持つ共通の特長がある。本稿ではそのうちの一つを紹介したい。 それは「真・仮説思考」のできる人だ。仮説思考については一般的なロジカルシンキングの本にもよく書いてあるが、「真・仮説思考」は単なるロジカルシンキングではない。ハイパ

          哲学の話:ハイパフォーマーが持つ「真・仮説思考」

          育ちのヒント:オンラインワークでプレゼン力が上がる話

          こんにちは。ヒトラボジェイピーの村上です。 どこもかしこもオンラインワークで、ZoomやTeamsでのプレゼンも珍しいものではなくなってきました。 私は仕事柄、経営者の方へのプレゼンテーションやマネージャーの方への研修、ワークショップのファシリテーションなど、いわゆるプレゼンテーション・コミュニケーションの機会が多い方です。 今でも忘れられないのは、20年ほど前に受けたリーダーシップ研修でしょうか。プレゼンテーションの科目があり、全員の前でプレゼンテーションを行い、それ

          育ちのヒント:オンラインワークでプレゼン力が上がる話

          心理学の話:ハイパフォーマーになるための秘訣

          いまよりももっと仕事ができるようになるためには、どうしたらいいだろうか。 これは人事でも、もっとも重要でもっとも難しい課題のひとつだが、誰もが興味を持つ課題でもある。メディアでも毎日のように「デキる人が実践する5つのルーティン」や「予約の入れ方でわかる一流と三流」などといった見出しを流しているし、仕事術の本も山のように出版されている。 これだけたくさんあると、いったいどの方法が本当に仕事力を伸ばすのに役立つのかわからなくなってしまう。 だが、私たちが行ってきたコンサルテ

          心理学の話:ハイパフォーマーになるための秘訣

          社会学と経済学の話:人事評価における差別がなくならない理由

          以前の稿で、人事評価における差別(正確には統計的差別)がなくならない心理学的な理由を書いた。そして、その差別は心がけを変えようとしても避けられるものでないことも述べた。 ところが人事評価における差別の問題はもっともっと根深い。この差別にほとんどの人が気づいていながら、抜け出せないメカニズムが存在する。 この記事では、差別を放っておくと取り返しのつかないことになってしまうそのメカニズムを、社会学と経済学の観点で紹介する。 例えば、ある会社の人事が女性職員に対して根拠のない

          社会学と経済学の話:人事評価における差別がなくならない理由

          開発の現場から: 担当者の手抜き事件が開発ヒントになった話

          こんにちは。ヒトラボジェイピーの村上です。Note初投稿になります。 よろしくお願いします。 弊社では、私は主にソリューションの開発・実装を手掛けています。 いわゆるプログラミングやAIの実装ですね。 じゃあSEやプログラマーかと言われると微妙なところでして、人事・人材マネジメントに関するコンサルティングやリーダーシップ・マネジメント研修など、タレントマネジメントや採用コンサルティング、人材アセスメント、コーチング、組織開発、それらに付随するピープルアナリティクスやデータ

          開発の現場から: 担当者の手抜き事件が開発ヒントになった話

          心理学の話:人事評価における差別がなくならない理由

          差別の問題は、長く議論されてきた根の深い問題であることは皆さんご存じだろう。 ある程度教育を受けた人ならば、「差別はいけない」という言葉には誰でも賛同する態度を見せる一方、現実の差別は一向になくならない。 そしてこれは人事評価にも常についてまわる問題だ。学歴や性別による差別は、「正確かつ公正な人事アセスメント」の障害となる。だが、なかなかそこから脱することはできない。 それはなぜだろうか。 差別の構造には様々なものがあるため、一括りに論じることはできない。ここでは、特

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          ヒトラボジェイピー、Noteを始めます。

          これから、ヒトラボジェイピーでは、Noteにて情報発信を行ってまいります。 これまで弊社では、各種セミナーや書籍を通じて、弊社の取り組みや考えを発信してまいりました。 しかし、これらの媒体はコンテンツを発表するまでに時間がかかったり、オーディエンスが極端に限られていたり、発表後のコンテンツを弊社で管理できないなどの問題がありました。 そこで、より素早く、柔軟に情報発信できるNoteを活用し、弊社の取りくみや視点を述べさせていただこうと考えました。弊社サービスについてのア

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