第15席 バランスの話
前回、“冬に絶対風邪をひかない方法”なるものの話をしました。
ではもちろん、そんな話をしている私はこの冬風邪をひかなかったんだよね?と、お思いになるでしょう?
ところがどっこい。
私、この冬風邪をひいて1日寝込んでしまいました。
おい、だったら前回の話は嘘じゃないか!と、お怒りになるその気持ちも分かります。
ですがその前に、ちょっと言い訳をさせて下さい。
今日のお話はそんな言い訳から始まります。
“冬に絶対風邪をひかない方法”の一つは、“身体を冷やさないこと”でしたね。
その為に効果的なものの一つに、“お風呂”があります。
特に日本のように湯船に浸かって身体を芯から温める、というのは、免疫作用の活性化に非常に良いと言われています。
しかしながら、私にとってはここで一つ問題が生じます。
実は私、アトピー持ちなんです。
小さい頃からではなく、成人してから急に発症した、いわゆる成人性アトピーです。
だんだんとこの成人性のアトピーも増えてきているようですね。
それはともかくとして、アトピー持ちにとってはお風呂というのは注意が必要なことの一つです。
身体を清潔に保たなくてはいけないので、お風呂に入ることは重要なのですが、しかし皮膚を熱すると痒みが増します。
なので温めすぎないように気を付けなくてはなりませんから、熱いお湯に浸かることや長湯はできません。
逆に、民間療法の中には身体を冷やすために水ごりを勧めているものもあります。
私はそういう民間療法などもついつい試してしまいがちな質なので、この冬私はそれを実行してしまったわけです。
確かに、お風呂後に水ごりをすると、アトピーの調子はある程度はよくなりました。
しかしとにかく身体が冷えます。
免疫力はがた落ちです。
私はその分、水分補給をして喉を乾かさないことにはとても注意したのですが、睡眠中はどうしようもありません。
そうして、朝起きると喉の調子がおかしい、という日が何日か続いて、とうとう風邪をひいてしまったのでした。
バランス、というものはとても難しいものです。
身体を温めた方が良い面もあれば、冷やした方が良い面もある。
そしてどちらもやりすぎは良くないし、両方同時にはできません。
天理教には「二つ一つ」という教えがあります。
それこそ、前回お話しした神様のお働きの“火と水”のように、一見相反するような二つの働きが、互いを補い合うようにして一つとなるような場合に使います。
そこに大切なことは、“バランス”だと思います。
火が強すぎると水は沸騰して蒸発し、無くなってしまう。
でも水が強すぎても火を消してしまう。
どちらかに極端に偏ってしまうことは、あまり良い結果を生みません。
しかしそれらがちょうど良いバランスを保つところに、温かくて気持ちいいお風呂に入ることができます。
私は結局水ごりはやめました。
そして熱いお湯に長く浸かることもやめました。
アトピーの調子は、以前よりも今ずっと良い感じです。
右過ぎず、左過ぎず、上過ぎず、下過ぎず。
真ん中。
その中道のところに、真実の道があるのかもしれません。