2021年11月6日(土)にpictSQUARE内で開催されたオンラインイベント「第三回紙本祭」にサークル参加致しました。スペースにお越しくださった方、ありがとうございました!紙本、紙ものオンリーのイベント、とっても楽しかったです! 当サークルは新刊、既刊、フリーペーパーのネットプリントで参加しておりました。 フリーペーパーは個人サイトにPDFをアップしておりますので、閲覧・ダウンロードして頂けます。また11月10日までコンビニでネットプリントも可能です。 【ネットプリン
長い坂道を抜けて 道路が 海岸に向かってふくらんでいく 八月下旬の空を溶かした 海は しずかに砂浜に打ち寄せて 誰かの時をきざんでいる 浜辺へ降りる石階段に 脱ぎ捨てられた二足のサンダル 若いふたりは冷たい水に足をひたして 手を繋いで歩く 転びそうになった彼女を 男の子が後ろから抱き締め ふたりは身体を揺らして笑っている 白い太陽の見下ろすさき 潮風があたり 光がひとつぶひとつぶに散らばって きらきらと かがやいている 夏の終わりの海のうえ ------- この詩を含む
フリーペーパー作成詩と散文を1編ずつ載せた「詩と散文のフリーペーパー ひとかけの朝」、このたび1枚目(第1号)を発行致しました。 この原稿は、大阪府にある古本と印刷のお店「ぽんつく堂」様の印刷交換会企画「すりすり会 第6回」で刷って頂きました。 半晒クラフト紙に青インクを選んだのですが、可愛く仕上がって嬉しいです。ヘッダー写真がそれです(光の加減で白っぽい紙に見えますが、実物は薄茶色です)。 オフラインのイベントに参加予定があれば配布できるのですが、今のところ予定がないので
日に褪せた畳の上を 夕陽が 時間をかけて這っていく 蛇口を閉めた後にちろちろと流れる ホースの底に溜まった水のように 染みていく夕焼け 昼と夜の境い目に 部屋はひそかに歳をとる 二人で書いたシナリオは天井に届きそう 現実が欲しいあなたと 誰にもなれなかったわたしのために こしらえた部屋 雲がゆっくりと動く オレンジ色の影が落ちる 隙間なく流れ込んで わたしの身体を組み敷いている やさしいちから 今日もわたしは 誰にもなれないな 子どもの頃 充分におままごとをしてこなか
音の聞き過ぎで 耳鳴りがする 静けさを避けて 何かをしてなきゃいけないっていう 強迫感みたいなもの 空気の抜けた自転車のタイヤ 歩道と車道の境目で ねじれた時 バランスを崩した時 思った瞬間に通り過ぎている いつの間にか出来るようになった 振り返る仕草 あの人の真似事を繰り返すうちに 私のものになった 息があがっても しばらくは 苦しくても 無理にでも意地を張って 何でもないようなふりをして 自分も周りもだましていく 悪気のない嘘は そのうち心地良くなる 健康のために飲