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楽曲『MAGICAL』の話をしよう

これを書いているのは『みなこい港まつり』の日の朝なので、チームの人以外は2曲目『MAGICAL』を知らない状態なのですが、まぁいいでしょう

。今回も若干恥ずかしいですが作者による自分語りを披露してみます。

’ひとひらシステム’は「1つの振付を複数の楽曲で踊る」という、体験したことがない人にとっては謎のチームコンセプトなんですが、まぁそれについては追々書くとして、今年は1曲目『KAGAYAKI』に続いて『MAGICAL』が用意されています。

’ひとひらシステム’の2曲目を作るときは大体いつも「1曲目から『はみ出たメッセージ』を組み入れよう」と考えているように思います。
今年、『KAGAYAKI』では

夕暮れ過ぎは朧げで 迷い走り眠り過ぎていく歳月

暁を包む風 笑いはしゃぎ踊り過ぎてく日々
当たり前じゃない
一瞬一瞬がかけがえのない輝き

という歌詞で”よさこい祭り”についてタッチしています。1番がよさこいがない日々はつまらないな、2番はよさこいがある日々楽しいな、というイメージです。もちろん他の意味にも捉えられるダブルミーニングになっているんですが、ひとひらの歌詞はいつもよさこい祭りについてタッチするようにしているんですよね。去年はコロナ明けのリスタートだったから、よさこい祭りがなかった日々からの復活の意味合いを歌詞に込めていました。


で、『MAGICAL』は『KAGAYAKI』の中で表現できなかったよさこい的なメッセージを表現してみました。それは”変身”です。


衣装をまとうことで変身する

魔女→魔法少女

よさこいチームというのは様々な職種や年齢の人が集まるものです。企業チームであっても、そこに集まる人はやはり様々です。衣装を着てステージで踊っている踊り子さんが、普段はデスクワークをしていたり農業をしていたりするわけですね。

『日常から非日常へ変身する』という体験が、よさこい祭りにはあると思うのです。

ひとひらは巫女型よさこいチームですから、(多分)巫女に変身したい踊り子さんが集まるのですが、じゃあ巫女って何なのさというと、シャーマンなんですよね。自然や神のような存在からメッセージを人間に届ける、通訳のような役割が巫女には与えられていて、踊りによってそれを具現化するというのが太古の巫女でした。
現代では神楽といった一種のエンタメに包括されているのですが、長い歴史を見るにつけ巫女の役割は人や社会にとって必要なものだったようです。

昨年はこのシャーマン的な存在を女性がやっているからして、それは西洋では『魔女』にあたる存在だろうということで”荒天を告げる魔法を口ずさんで嵐と共に生きる”という歌詞にしたのですが、、、、、

『MAGICAL』はその続編のようなイメージかもしれません。昨年は魔女に変身していた、今年はもうちょっと明るくポップな魔法少女に変身するような曲を作ってみようと思い立ってから、曲想を固めていきました。


モチーフを組み替える

音楽的な話でちんぷんかんぷんかもしれませんが、’ひとひらシステム’のために作られた曲は1曲目と繋がるようにモチーフ(メロディの小さいかたまり)を流用します。『MAGICAL』は印象的な5thシンセがひとひらのサウンドロゴ、ちゃりらりんっというオルゴールの音のモチーフをなぞっていきます。導入部はできるだけキラッとしたサウンドを目指しました。シンセで曲作るのも好きなんですよね。

1番の歌詞は「風に揺れ」だけになりました笑
これは振付がウィンドミルになっていたので、まさに風の表現だということでここに歌詞を当てこみました。
1番サビの終盤が僕にとって一番の『変身ポイント』です!ここは踊りが時間差になってキメポーズをするのですが、第一印象は仮面ライダーの変身ポーズでした。かっちょいい音楽でポーズを決めるってだけでトキメキます。

2番歌詞は『KAGAYAKI』の1番歌詞の変形版になっています。巫女型魔法少女(?!)のアニメのOP曲みたいなイメージです。頭の中でPVを妄想してみてくださいね。
それから後は基本、何かと激しく戦っている感じですね(雑)


自分の”性能”に気がついてほしい

’ひとひらシステム’は踊りを見てから曲が作れるので、「ここでバーンって音があったら気持ちいいだろうな」とか「ここの雰囲気はふわっとしたサウンドにしたら合いそうだな」という、意味の後付けみたいなことができます。多分2曲目の演舞だけ見たら、なんて難しいことをしているんだと感じると思います。変なブレイクもあるし、キメの時に大きな音がバーーンっと入っているし。
けど実際は踊り子さんは、1曲目をしっかりカウント練習しているだけなんですよね。難易度は1曲を踊るのと一緒、2曲目以降はノリで踊ってもらうだけです。

踊りって「音」と「体」の共鳴反応が本来の形だと思うんです。アフリカの伝統音楽で踊る人たちの多くは即興で踊りますし、小さい子どもは音に合わせて勝手に体が動いて踊ります。人間の本来持っている性質のようなものなのでしょう。
よさこい祭りに初めて参加する踊り子さん、あるいは他のチームで踊っていた方にも、’ひとひらシステム’によってこういった『人間が本来持っている性能』に気がついて欲しいんです。普段の生活では気がつけない自分の性能を発見できたなら、それこそ踊り子さん本人が”変身”したことになり、その体験や自信を日常に持ち帰ってもらいたい。

そこには新しい自分と、その目で見る新しい世界になっているはずです。
そんな『MAGICAL』な体験になってくれたらなぁと、願っています。



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