【代表×クリエイティブチーム】ひとはなコンサルティングのリブランディング対談 / これから編(後編)
2023年で5期目となる節目に、リブランディングを行ったひとはなコンサルティング。そのリブランディングを手掛けられたクリエイティブディレクターの森田賢吾さんと、コピーライターの塩谷泉太さんとともに、今回のリブランディングプロジェクトを振り返りました。
後編は【これから編】。約10ヶ月におよぶリブランディングプロジェクトを経て、今後どのようにひとはなのブランドを育てていくかを語りました。
ひとはな リブランディング対談 【プロセス編(前編)】はこちら
ひとはなという人格をどう“自走”させていくか
田中:今回のリブランディングプロジェクトを経て、ひとはなってこういう会社なんですよということがスパンと言えるようになりました。人にただ「うちは話すことを大事にしている会社ですよ」と言ってもピンとこないと思うんです。でも目に見えるものができたことで、その裏付けができたというか。話すことを大事にしているって一見当たり前のことのようだけど、ここまで大事にしているのか、考えているのかということが伝わるものができたのはすごくよかったなと。
最近採用をした方も「話すことを本当に大事にされているんですね」と、その部分を評価したうえで入ってきてくれていたり、ひとはなというキャラクターをちゃんと見せることができ始めている実感があります。自分の発言にも想いをより強く乗せられるようになりました。
森田:僕はその人格をつくるうえで、極力どのポイントを触っても“同じひとはな”になっているのが理想だと思っていて。金太郎飴に例えるとどこを切ってもひとはなの顔が出てくるというか。なのでロゴやWebサイト、パンフレット、名刺など、いわゆるブランディングと言われるとつくるようなものももちろんなんですが、SNSの見え方とか、インナーブランディングのあり方とか、今後そういうことも一緒にやっていけるといいなと思っています。
あと僕はインナーブランディングがとても大事だと思っていて。田中さんが今後もいろいろやっていきましょうというスタンスでいてくれるのはとてもありがたいんですが、とはいえ今後僕がフルコミットし続けられるわけではないと思うんです。そうしたときに“自走”させることってやっぱり大事だなと。
田中:自走か。そうですね。ちなみにその自走って、僕のようにつくった人が頑張るべきなんでしょうか。あるいは社員さんに頑張ってもらうものなんでしょうか。
森田:関係者全員だと思います。今回は田中さんと僕たちでつくったので、今後は社員さんに浸透させていく時期が必要になると思います。そしてその後はきっと社員さんたちに自走させていってもらう。この部分については、時間をかけて一緒にやっていけるといいなと思っています。
いかにモチベーションを高められるかということ
森田:社員さんのモチベーションを上げることもそのひとつですね。今回田中さんの発案でリブランディングに関するインナー用の小冊子をつくりましたが、これもただ内容を説明するというよりは、モチベーションの向上につながっているんじゃないかなと。名刺も、社員さんそれぞれの誕生花の色をキーカラーにしてつくったんですよね。誕生花って調べるといくつかあるんですが、その中から「私はこの花、この色がいい」って選んでもらったりしながら。そういうちょっとテンションが上がる仕掛けをつくったり、そうした一人ひとりの個性を大切にするひとはならしさに触れてもらったりして。
田中:名刺の色もおかげさまで7種類になりました。このようなかたちで、ひとはなにはこんなにも多様な人々がいるんですということを伝えられるのもとてもいいですよね。
森田:あとは、そのみなさんにあらためて僕や塩谷さんからブランドのことをお話しする機会をいただくのもひとつだと思います。話を聞くだけでも気持ちが変わることもあると思うので。
塩谷:いかに社員さんのモチベーションを高めて、ブランドを好きになったり自分ごと化していってもらったりするか。ブランディングの活動として、それは欠かせないポイントですよね。
体験することと、そこから得られること
田中:会社の理想像をしっかりと伝えて、そのように働いていきましょうと。評価に結びつけたりすることも含めてすべてブランディングなわけですよね。あと最近、食をとても大事にしている企業さんを訪問する機会があったんですが、面白いのはその企業さん、ぜんぜん食品関係とかではないんです(笑)でも食にまつわる体験をお客さんや社員さんに提供するなかで、それがしっかりと営業活動や社内の雰囲気づくりにもつながっていて。それを見て、業務に直結する内容に限らずとも、企業の理念を体現する体験を提供していくことが、ひとつのブランディングのあり方なのかなと思いました。
森田:体験はとても大事ですよね。たとえば月に1度、とにかく話すイベントを企画してみたり、みんなで一緒にどこかに視察に行ったり、硬い感じではなくて体験を通してひとはなとは何か、ブランドのあるべき姿とは何かを学べる機会があるといいですよね。
田中:ひとはなは全国に社員がいて3ヶ月ごとにみんなで集まる機会を設けているので、そのときにできる「人と話す」ことをテーマにした体験型の何かを考えながら、ブランドの浸透を図っていきたいですね。
森田:それぞれの社員さんがいる地にみんなで赴いて、現地の職場見学をしたり、その土地ならではの食や文化を楽しんだりするのもおもしろいかもしれないです。話すことってとても頭を使いますし、そもそもネタがないと話ってできない。だからこそ体験したり、普段やっていないことをしたりする機会があるだけでずいぶん違うと思います。
スタートラインから見る、この先のひとはなの姿
森田:まずは一通り言葉やデザインをつくりはしましたけど、これが終わりではなくて。今の自走の話とか、体験の話とか、逆に今がスタートとも言えますよね。
塩谷:たしかに。どうでしょうか、あらためてそのスタートラインに立ってみて。
田中:先ほど話すことを大事にしていることの裏付けができたという話をしましたが、今後はそれをどう広めていけるかを考えています。ひとはなを調べてもらったときにどういう会社かを知ってもらうところから、中期的には知らない人にもなるほどと理解をしてもらったり、長期的には私たちの活動のファンになってもらったり。今回のプロジェクトが、その活動の布石になってくれたら嬉しいですね。
塩谷:言葉を考えるうえでも、世の中に対しても社員さんに対しても、田中さんの考えやひとはなの人格をいかに伝わりやすくできるかにとても気を配ったので、しっかりと実を結べられると嬉しいです。
コンサルティングってとても平たく言ってしまえば助言をしてくれることですし、そこには必ず“話す”ことが伴う。ただそのことをことさらに強調しているところって他にはあまり見当たらなくて。だからこそこれからも丁寧に差別化を図るとともに、際立った存在として認知されていってほしいですね。
田中:今のひとはなの状態はまさにまだ世間に認知をされていなくて、人で言えば子どものような時期だと思うんです。今が5年目で、これから成長期に入るタイミングというか。なのでたぶん5年後にはある程度大人になっているはずで。だとしたらそこには大人としてのひとはなの人格があるとも思っています。なので今回のリブランディングの成果もまずは5年使えればとも思っていて。5年後、人も増えてお客さんとのネットワークも広がってより楽しく仕事ができている状態で、次の5年や10年を考える機会があってもいいのかなと。今はそこに向けてとにかく上を目指しているような感じですね。
森田:またブランドを見直すことがあってもきっと“話す”みたいなところは変わらないですよね。ブランドの軸の部分は変えずに、他の変えていけるところを変えていくというか。人と同じようにブランドの人格もぱっとできるものではなく、時間をかけてできてくるものだと思うので、人も成長にしたがって着る服や思考が変わるように、ブランドもブラッシュアップを重ねながらつくっていけるとよいですね。また何か企画などでお手伝いできることがあればぜひ言ってください。
塩谷:いろいろとおもしろいことが考えられそうですよね。
田中:はい、ぜひお願いします。“話す”ということを軸にしている以上、どんなことでも話はしますしね(笑)いろいろとやっていきたいと思います。今日はどうも、ありがとうございました。
プロフィール
田中 祥一郎
金融業界や通信業界を中心に一貫してIT業界のシステム開発、プロジェクトマネジメント業務に従事。国内SIer、大手コンサルティングファームの経験を経て2019年1月より独立。自身の強みである「人と話すこと」「腹を割って顧客と話すこと」を経営理念の中核として、同年4月に合同会社ひとはなコンサルティングを設立。中小企業診断士、日本パートナーCFO協会認定パートナーCFO。
森田 賢吾さん
Hi! Design クリエイティブディレクター / アートディレクター / グラフィックデザイナー。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。大貫デザイン、デザインによるブランディングの会社 博報堂デザインを経て、2016年デザインユニットknot設立。2023年ブランディングをメインとするデザイン会社 Hi! Designを設立。NY ADC / D&AD / ONE SHOW / グッドデザイン賞など国内外の賞を多数受賞。
塩谷 泉太さん
THING コピーライター。日本デザインセンター、サイバーエージェントを経て、現在はTikTokのシニアコピーライターとしてByteDanceに在籍。フリーランスのコピーライターとしても活動し、ブランディングや商品開発に携わる。