chapter.01 : フィールドワーク(オンラインで工夫)
ここでは、2021年7月にYRK& / UCI Lab.と京都工芸繊維大学 櫛研究室の共同研究として開始した「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクトの活動風景をいち早くリポートしていきます。
「避難所の衛生ストレス」とは?→「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクト公式サイト
2021年8月26日(木)、27日(金)の2日間にわたり、chapter01に予定していたフィールドワークがおこなわれました。フィールドワークといっても、コロナ禍による全国的な緊急事態宣言を受け、様々な工夫のもとオンラインにて実施しました。
ひとごこちデザインラボ・メンバーと櫛研究室所属の学生のみなさん、あわせて総勢13名が2日間に渡りそれぞれの拠点から参加。現場で活躍される支援者の方や実際に避難所での生活を経験した被災者の方へのインタビュー調査や避難所運営を仮想体験するなどのユニークなワークショップなども実施し、多くの「気づき」を得ることができた”代替"フィールドワークになったと思います。
8月26日
講義:宮本裕子さん「災害を知る-part1」
簡単なアイスブレイクの後、ひとごこちデザインラボのメンバーのひとりである防災士の宮本裕子さんから、災害の種類や避難生活の様々な実態、また復興活動についてなど、災害や避難に関係する基本的なレクチャーがおこなわれました。
オンライン語り部:藤間千尋さん、浅野仁美さん「災害を知る-Part2」
現地に赴いてのフィールドワークが実施できない中でも、災害現場の手ざわりを知るために「公益社団法人 3.11みらいサポート」の藤間千尋さん、また東日本大震災当時、鹿妻小学校 避難所(当時)にてリーダーをされていた語り部の浅野仁美さんのご両名から被災当時のリアルな状況や避難所での苦労、その時の想いをお伺いしました。日々刻々と変化する現場と「なんとかうまくやっていく」実践的な知恵の数々は、これまでに私たちがニュースや資料でみたものとは違う温度感があり、一同、言葉ではうまく言い表せない衝撃を受けました。
「公益社団法人 3.11みらいサポート」
ワークショップ:避難所運営を仮想体験する
26日の午後からは、宮本さんがこの日のために用意した教材をベースに、一部「避難所運営ゲームHUG」も参考にしながら、「もしも自分が避難所の運営者だったら」と仮定したワークショップを3チームに分かれておこないました。目まぐるしく変わる避難所の状況下において、次々におこる問題などを限られた時間内で懸命に考えることによって、午前中に受けたレクチャーやインタビューの内容を「自分に起きた場合」として振り返ることができました。
オンラインインタビュー:坂井公淳さん「避難所運営について」
避難所運営を仮想体験した後は、実際にこれまで様々な災害の現場で避難所の運営などを経験されてきた感環自然村 代表 坂井公淳(さかい・きみあつ)さんに、避難所の様子や課題点などをオンラインでインタビューを実施しました。坂井さんは米国で救急救命士や消防士としてご活躍された大変ユニークな経歴をお持ちの方で、今回は特に本プロジェクトの核である「避難所の衛生面」について、災害の種類や場所によってどのような違いがあるのか、また共通して問題になっている点などを被災当時の写真を振り返りながらお伺いしました。
感環自然村ホームページ
8月27日
ワークショップ:これまでの振り返り
"代替"フィールドワーク2日目は、これまでのインタビューや資料をもとに、参加者それぞれが印象に深く残った事柄や、そこから発生する疑問やこれから調べてみたいことを書き出して共有するワークショップをオンラインホワイトボードを使っておこないました。これは今後、いろいろなことを考察しデザインしていくための重要な礎になるだろうと思います。
オンラインインタビュー:彌永 恵理さん「現場にみる衛生ストレス問題」
NPO法人つなぎteおおむた 理事長 彌永 恵理(いやなが・えり)さん
2日間にわたるオンラインでの"代替"フィールドワークの最後は、NPO法人つなぎteおおむたの理事長 彌永 恵理(いやなが・えり)さんに、コロナ禍の災害現場における衛生ストレス問題に焦点をあてたお話をお伺いしました。実は、彌永さんへのインタビューは今回2回目で、2021年初めにプロジェクトの本スタート前の試みとしての大学の授業「共創デザインアプローチ」でもお話をお伺いさせていただいた経緯があります。今回もまた快くプロジェクトにご協力いただきました。
まずは、これまでのプロジェクトの経過を彌永さんにご報告させていただくとともに、インタビューでは、今も現場で活動されているからこそのお話や気づきをお聞きすることができました。
NPO法人つなぎteおおむた ブログ
最後に・・・
現場のリアルなお話の数々をお聞かせいただいたインタビュイーのみなさまには心からお礼申し上げます。お伺いしたお話のひとつひとつを「避難所の衛生ストレス解決」のための貴重な資料として活用させていただきます。
今後も「活動リポート」と題して、いち早く本プロジェクトの活動風景をみなさんにお届けしてまいります。