ノートそしてアンチドート 三杯目
死んだら全て終わりだから。ってのは逃げの言葉だろ?
見渡す限り全員敵に見えた。
太陽の火が燃え移りそうなくらいあの夏に
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今から14年前
消えたいんだってわかった。
加速する残照の中ただひたすらにここから出たいと思った。
気がつくと海に来ていた。少し肌寒い。
衝動的に海に入ると足が止まらなくてみるみるうちに体が海に浸かっていく。
もういっそこの海の端っこまで行って死んでやるなんて思っていた。
が次の瞬間何か袋のようなものが腕に当たった
そして強烈な電撃が走るような痛み、気づけば呼吸がしづらくなっていた。
すぐにクラゲだとわかった。
死のうと思ってたのにしきりに海から出て触手を抜き、水で洗い流し、温めていた。
自分が嫌になった。死のうとしているのに死ねないと、まだ死ぬなと、もう少し苦しんでから死ねと言われているような気すらした。
そこでふと横を見ると同じように死のうとしているのか、虚ろな目で水平線をじっと見ている同い年くらいの子がいた。
他人なのだが、なにか懐かしさみたいなものを感じてしまって思わず話しかけた。
「なぜ死のうとしているの?」
自分は馬鹿なのか、死のうとしているかなんてわからないし何を話しかけているんだ?なんて自分を責めたでも相手の子は優しく
「あれ、あなたもなの…」
「死んだら全て終わりだから」
と微笑む。痛々しい笑顔が率直に、綺麗だ、と思った。
今思うとその子には生きていて欲しかったし、
死んだら全て終わりなんて逃げの言葉を発した君に目の前で死ぬ気もないくせになんて言いたかった。
また何かあの見るからに疲れたような痛々しい笑顔が見たかった
だがそれからその子とは会うことは無かった
最初で最後の18の夏だった
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恐らくこれは黒歴史になるであろうから、そんときは笑い話にして自分が過去にやってたこと全て無駄にしようかと思います。何だか自分のこんなバカバカしいことは心の底から笑える気がするので。